第79話 オペレーション代打 翡翠
「翡翠部長っ!」
「!? ……あァ~~……」
翡翠が種を使う前に、放った術式を無効化したらしい登別が、
「っふざけないで下さいっ!」
腕を強く握り、彼を睨んでいた。
「さすがは、……書類課の課長代務君だよねぇ……」
苦笑交じりに言う翡翠に登別がつま先を立てると。
「ンンん?? の~坊君??」
拳を、腕を勢いよく振りかぶった。
「へぇ?」
◆
【46:31:47】
俺は、とりあえず突き進んでいた。
よかったことと言えば、敵さんが来ないということじゃないかな。
俺は《英雄の拳》を発動させて万全の対策をとっている。
(それでも……心もとないのは――多分)
俺の脳裏にはおじさんや翡翠さんや、あべこさんが浮かんで消えた。
「やっぱ……大事なんだ。失敗したなぁ~~」
俺はがしがしっと頭を掻いた。
でも、それを気づけてよかったのかもしんない。
まだ。
「次があるもんなっ!」
意気込んだ俺を他所に、天井の照明が点滅をしだしたんだ。
大きく左右にも揺れてることに、俺の心臓もバクバクもんだよ。
嫌な予感しかしないよな。
いいことなんかじゃないのは。
「丸っと御見通しなんだかんなっ!」
勢いよく俺は顔を天井に向けちまって、大後悔をしたんだよ。
あり得ないじゃないのかよ、こんなことってのは。
びっしりと、天井を這う無数の――多分、人形だ。
「ぅ、ぁあ゛あああ゛っっっっ‼」
思わず絶叫をしてしまったのが合図になったようで。
一斉に振って来たんだ、敵さんだと思う人形が。
怖い。
怖い怖い怖い怖い怖いっ。
――たくま君? 防御ぐらい出来るんじゃないのぉ?
「!?」
切ったハズの回線から、陽気な翡翠さんの声が拳から聞こえた。
さっきの琥珀じゃない、安心の出来る声だった。
「翡翠さぁああんンんっ!」
――……いいからよぉ。とっととオイラに従いなっ!
「っは、はァいぃいい゛~~」
【44:49:05】
「《流れ堕ちる穢れた何かに粛清をっ!》」
俺は一つ星を押した。
カッチン! 音が鳴る。
っぼ
ボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボッボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボっっっっっっ‼
宙が真っ赤に染まった。
ぱらぱら、と破片が降ってくるかと思ったのに、だ。
予想を遥かに超えて。
「んっぎゃあああああっっっっ‼」
――ん。ま、そんなもんだよぉ? ドン☆マイ♪
「ドンマイとか、そうレベルじゃなぁいぃいいっ!」




