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第74話 たった一人の部隊

 社内車でかっ飛ばしていく。

 パンダ号でだ。


「今回。たくま隊長さんに確保をしてもらうのは……ぇ、っと?」


 ジャンさんがバインダー端末で探していた。

「『何とドンくさい。それでもおんしは異人だったのか? 管理も出来ないとは嘆かわしいことじゃな』」

「! どぉしてっ?? っそ、それ‼」


 動揺した、ジャンさんのせいでパンダ号が、左右に揺れてしまう。

 事故っちゃうじゃないか。


「あのぅ? そのやり取りいいんでぇ、早く~~お願い出来ませんかぁ?」


 思わず、口調が翡翠さんになってしまう。

 俺の憧れはおじさんもだけど、翡翠さんもだ。


 だから、似させてしまうのか。

 ちょっと、恥ずかしいかもだけど、いいよな。


「俺ぇ……早く戻んなきゃなんでぇ」


 少し、苛立ってしまってるから、口調は強張ったまんまだ。

 一刻も早く、早く、早くって。


「まず。隊の編成はどうするつもりだ? 《死星のたくま》」


「……その恥ずかしい二つ名は止めてくんないかなぁ?」

「『いいではないか。ま、名前負けをしてしまうがなwwww』」

「とーとーなぁ~~?!」


 でも、その言葉に俺は言うことを決めている。


「……隊員は必要ないよぉ」


 俺は額に巻いていたタオルを口許に下した。

 目許にはゲーセンでのアイパッチを点けた。

 前髪はリーゼントにしたが落ちてくる様子にジャンさんが、

「はい、ワックスで悪いんだけど。使うかい?」

 ポケットから取り出した。


「ども」


 ねちゃ、ねちゃ、と塗って固めた。


「カッコイイね、さっきとは別人みたいじゃないか」


「どもぉ」


 ここから人格ぜんぶ、切り替えていこう。

 この先、何があってもいいように自身にあった戦術を学ぼう。


 《牛男たくま》としての戦法を。


「俺と一緒に来るのは……スタートト……かずまだけでいい」


「『と言う訳だ。わしを許可せよ、《牛男かずま》とな』」


「無理。それはそれ、これはこれ。ね? 異人なんだから規則ルールもご存知でしょうが」


 パグのトトナが威嚇の声を上げるけど。

 やっぱり、今回は俺だけで行こう。


「いい。今回はお留守番してて、扉のボタンを押してよ」


「『……分かった。いいか? たくま! 必ず、戻るんじゃぞ!』」

 すり、とトトナが俺の顎に頭を寄せて、グリグリとしてくる。

 とてもくすぐったい。


「もちろん♪ 俺を誰だって思ってんの? ドペーペーなんだよぉ~~……どうなるかは知んないけど……四肢がなくなっても、戻って来るよ。約束するよぉ~~」


 トトナを抱き締める俺。


 キ。


 キキキキキ――……


「ほら。ここが商品倉庫ね! 《クエストクエッション》ってPS9のソフトが今回の商品確保の対象物だ!」


 つまりはおもちゃの倉庫ってことか。

 中が、ちょっと楽しみかもしんないけど。


 中は――戦場だ。


「行け! 牛男たくま隊長っ!」


 バン! とジャンさんが俺の肩を叩いた。

 とても痛いけど、

「……――牛男行きますっ‼」

 どこかスイッチが入っちゃったかのように。


 心臓音が穏やかだ。

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