第59話 対戦のアナウンスが鳴る
ファイトクラブが行われるのは。
いつも、17時以降だった。
俺達が来たときに始まった。
◆
「っひ……み、ミドリさん……」
俺は人の目もあって、偽名で呼んだ。
「ぅん? 何ぃ、たくま君」
「ぉ、俺……俺も、参加するんですよねぇ? これに……」
「ぇ、あったりまえじゃあ~~ん♪」
依然として、おじさんを背負ったままの翡翠さん。
喜々として、俺に大きく頷いた。
「まずはぁ。相手と相手の動向を見ようねぇ」
「……そぉではなくて。あの、きちんと――~~」
俺が翡翠さんに言っていると。
「えぇ~~あんた知らないの?? あんた、新人の人なの??」
横にいた男の人が。
驚きと、興奮に俺に聞いて来たから。
俺も、軽く頷いてしまう。
「ぁ、あぁー~~……はい。うん、ペーペーです」
「じゃあ! 説明してやるよ!」
彼が言うには――こうだ。
◆
《模擬体験》のアミューズメント版。
60分ではなくて。
3分間程度の、模擬体験の復習も兼ねているアーケードゲーム。
付属のヘッドギアを頭に装着させる。
それにはカメラの機能もあった。
カメラの様子は、店内至る場所の。
設置されたテレビからも、見ることも出来る。
その動画は。
本人によって動画サイトにも投稿が可能だった。
ひとたび動画を上げれば。
いいね! も、視聴者も、ウナギ上がりで。
割といい。
おこずかい稼ぎにもなるらしい。
何と、これには《武器専科》が使える。
だが、それは会員カードの登録が必要で。
今、この場で使うには、俺は登録をしなきゃなんない。
CPUとの対戦や、全国対戦に店内対戦。
ここでは主に――店内対戦オンリーで。
仲が悪い従業員も、仲がいい従業員も。
ペーペーも、プロも入り交じって。
その3分間。
勝者と敗者を決め。
お互いを認め合う為の、勝負にも活用されている。
そして。
ストレスの発散の場としても活用されている。
ただ、勝者は。
その敗者に対して、どんなことも言えるとのことだった。
人間性にもよる対価を。
求めることが可能で。
それらは。
戦う前に宣誓するとのことだ。
◆
「ぃ、いやいやいや! っみ、ミドリさぁんンん??」
話しを聞き終えた俺は、
「ないない! 何か勝てる気がしませんンん!」
必死に翡翠さんに言った。
初心者で、こんな上級者LV.な難易度の高いゲームに。
参加なんか、俺には無理だ。
「ぉ、おじさんを起こしましょう!? ぉ、おじさんなら――」
「無理ぃ。この子ってばぁ、反射能力ないのよねぇ、興味もないのぉ」
「ぉ、俺だって興味ないですヨ?! ないんですがっっ??」
そうこう言い合うも。
アナウンスが、店内に鳴り響いた。
《エントリーNo.81でご登録された。牛男たくま様、牛男たくま様。順番が早まりましたので。筐体まで起こし下さいませ。来られなかった場合、次の挑戦者へと飛ばさせて頂きます、予めご了承下さいませ。繰り返し、お呼び出しを致します――》
戦いのゴングが。
俺を手招きをした。




