第21話 新たなる商品確保へ
何も考えていなかった兄弟。
そこにびっくりしたのもつかの間で。
◇
『父ちゃんにちょっとシフトの確認するねぇ』
『え゛ー~~』
◆
翡翠さんがおじさんの親父さんに連絡したようだった。
多分、そうしないと人では確保出来なかったとは思う。
俺は蜘蛛の倉庫車内から、そのやり取りを見ていることしか出来なかった。
おじさんは本当に嫌そうに、不貞腐れて頬を膨らませているけど。
おじさん、さっきその親父さんに頼って行ったじゃんか。
◆
「はい。確保をしましたっよっとぉ」
倉庫前に呼び出された2人の従業員。
1人は大きな目に、鼻のそばかすが特徴的で。
色素の薄い前髪をバンドで上にしていて左右の毛がぴょんと跳ねていて。
猫の耳見たいになっている――律ほむらさん。
名前は可愛いけど、24歳の男の人だ。
1人はおじさんよか垂れ目でフチなしの細い眼鏡をかけている。
薄い髪を全部後ろに上げている。
口には煙草が咥えられていて、白い煙が上がっていた。
今いる面子の最年少となる19歳の青年――後方未来さん。
「ぅっわ! 似てない! ぇえー~~ちっとも群青さんに似てない!」
律さんの第一声がこれね。
「噂はかねがね聞いています。初めまして、後方未来っス」
後方さんの第一声がこれだ。
手を伸ばしてがっちりと結ぶんで、
「その髪型。お似合いっスね~~リボンが可愛いっス」
おじさんの髪の毛に手を伸ばしたのを。
思わず俺が塞いでしまった。
「――……っと! ぁ、あのぅ~~ぇへ?」
俺自身もびっくりしちゃったよ。
でも、それは後方さんも同じだったよな。
塞がれ止まってしまった手を握って下すと、
「あンたは~~どんな従業員なの? 何年目だよ?」
俺に、そう質問をしてきた。
言い淀む俺に律さんが、
「未来殿。止すでござるよ」
「分~~ったよ。ほむほむ隊長」
短くそう言ったんだけど、言い方が時代劇口調なんだけど。
俺の表情を見ると律さんが苦笑いした。
「ああ。すまん。時代劇が好きでさ……たまに、こぅやって出ちゃうんだよね」
少し個性のあるこの隊で。
俺達は商品確保に向かうことになった。
◇
各、それぞれの倉庫前には赤いボタンの台があって。
行くときはそれを押してから中へと入る。
「中の時間と外の時間を遮断するシステムなんだ」
おじさんが俺に説明をしてくれたんだけど。
俺の頭には小難しいものだった。
「要は某少年漫画のような精神とアレな間ってことなんだー」
何、そんな漫画俺は読んだことはないけどメジャーなのか。
よく分かんないものを例えで言われても。
それこそアレだよ。
「時間はくっきり60分。その間、この倉庫内で対峙した《魔物》を駆逐してぇ、商品を確保してからの《P通貨》及び《Δ硬貨》の獲得でーただ、気をつけなきゃいけないのは」
おじさんに変わって、今度は翡翠さんが言う。
その言葉が一番が、正直に重かった。
「倉庫内で致命傷の場合は外に出たら完全回復だけどねぇ。死亡した場合は……永遠に眠ったままに、植物人間になっちまうんだよねぇ。ネットゲーム以上の興奮と課金で、高い給料と配当が約束される。架空じゃない現実に身体を張った体力と装備勝負の職場。そんな地獄にようこそぉ~~恵比寿君」
◆
バクバク。
バクバクバク――……
【60:00:00】
バッコン‼ と律さんが赤いボタンを押した
「――律ほむら隊! いざ、出陣でござる!」
「ほむほむさー~~ん。口調、口調!」
「! む゛っ」
◇
「はい。恵比寿君は今回の役割は《ワルツダンサー》ねぇ」
◆
そう翡翠さんから渡されたナース愛用の懐中時計に似たもの。
逆向きから分かる時計だ。
ただ、これは数字がデジタル式。
ガ。
ガガガガ――……ッッッッ‼
開いていく倉庫の扉。
今回確保に向かうのは《パステル46色セット》
だから、ここの倉庫は文具エリア。
「行っくよぉ。手前らぁ!」
そう腕を宙に伸ばして翡翠さんが言う。
「「「おう‼」」」
律さんと後方さん、おじさんが声を合せて宙に腕を上げた。
よく分からない俺は、三人を翡翠さんを見ることしか出来ない。
すると、どうだ。
全員の身体が光って――《変態》化した。




