40大滝の街
「これは…滝というよりも、大瀑布と形容する方がふさわしいですね」
リコリネが、感嘆の声を漏らす。
とうとうと流れる水…というよりも、どーどーと流れ落ちる河川、と表現するのがふさわしい光景が、目の前にあった。
大滝の街から見上げる位置にある川は、思った以上に横に太く、美しい滝を形作っていた。
ちょうど晴れ間なので、虹が見えるほどだ。
「すごい、見入っちゃうね…!」
そう漏らすユディの言葉は、しかし大部分を滝の音にかき消されてしまう。
「飛沫が涼しいです~~!」
リルハープに至っては、何を言っているのか全く聞きとれない。
もうしばらく眺めていたかったが、意思の疎通が困難なため、仕方なく3人はその場を離れた。
随分と滝から距離を取ったところで、リコリネがなるほどと一人で納得している。
「あの大瀑布の音にかき消されないようにするために、街のシンボルである鐘は、音色が大きく響き渡るものに作り上げたのでしょうね。ひょっとすると、我々が思っているよりもはるかに大きな鐘が待ち構えているかもしれません」
「そっかそっか、ちょっと楽しみだね…! こっちだったよね!」
意気揚々と歩くユディに、リルハープは胸ポケットの中で心配そうな声を出す。
「近くで聞いたら耳がどうにかなりそうなくらいの音が響きそうで、リルちゃんはちょっと怖いです~~っ」
「そうなると、主は少し離れていた方がよろしいかもしれませんね。耳に影響が出たら、オカリナの音色が狂う可能性がある。指も怪我できないと言いますし、つくづく音楽に携わる方は、繊細に扱う必要がありますね」
「ええ…? でも、さっきお昼の鐘が鳴ったんだから、普通は夕方と、後は朝の鐘の3回だよね? しばらくは安全なんじゃないかなあ」
「ほらほら主、また観光モードになっていますよ」
注意をするリコリネの声音は、しかし優しげなものだった。
ユディはハっと気を引き締める。
「そうだったね、ごめんごめん。…でも、ずっと平和そうな光景が続いてるし、モノオモイの気配がするだけなんだよね、この街。行方不明者のことと関係があるとしたら、もう数ヵ月前から何かが起きているはずなんだけど、拍子抜けするくらいにそうは見えないというか…」
改めて周囲を見渡しても、道行く人々は穏やかな表情を浮かべて生活しているようにしか見えない。
リコリネも、同意の頷きをした。
「確かに。なにか、悪さをする類のモノではなかったということでしょうか。焦る必要が無いというのは、かなり助かりますね。水脈の鐘とやらを見た後は、宿を探すべきかどうかと迷っていたのですが」
「あ、そうか。確かに滞在できるんだったら、じっくりと腰を据えて調査をしたいけど……っと、あれかな?」
中央広場と思われる方向に目をやると、間違いようがないくらいに、大きな鐘が堂々と中央に飾られている。
「まあ~~! もっと無骨なものを想像していましたが、思ったよりもずっと綺麗です~~っ」
リルハープが感極まった声を上げるくらい、それは陽の光を照り返して、美しくそびえ立っていた。
真珠のように穢れのない白い鐘は、翡翠色の空の下で、芸術品のような存在感を見せている。
近づくにつれ、丁寧に彫り上げられた細工模様が見えてくる。
「これは…言葉を失いますね」
リコリネも感動をしているようだ。
ユディは、「うん…」と頷くことしかできない。
やっぱり人間は凄い、と改めて思う。
一体頭の中に、どれほど美しいものばかりを仕舞い込んでおけるのだろうか。
そして、それをたった二本の腕で、現実世界に実現させる方法までをも編み出す。
決してたやすいとは言い難い道のりだっただろう。
だが、目の前にこうして叡智が形を成して存在している。
震えるほどの感動だった。
どれくらい、それを見入っていただろうか。
ふとリコリネが、残念そうに言葉をこぼした。
「しかし…やはりこの街は、おかしいようです」
ユディは驚いてリコリネを見る。
「主、陽の傾きを見てください。夕暮れが来ようとしています。しかし、我々は昼の鐘を聞いてから、そのままこちらに来たはずなのに…空腹を覚えていません」
「まあ~~、そういえばそうですね~~! 便利と言えば便利ですが~~…」
リルハープの言葉に、そういえば最後に空腹を覚えたのは何時だっただろうか…と、ユディはぼんやりと考える。
「…主? どうかなさいましたか?」
「ご主人サマ、またぼんやりさんモードに入っていますよ~~!」
「あ…ううん、なんでもない。どうしようかなって思ってて…」
「…そうですね。確かに、実害があるかないかの指標もありません。騎士団の詰め所に行ってみましょうか。まずは情報収集をしてから動くのも手かもしれません。こんなこともあろうかと、案内板の地図の内容は覚えています。こちらへどうぞ」
きびきびと歩き出すリコリネの背からは、よほど挽回をしたいのだろうということが伝わってきて、ユディはちょっと笑ってしまった。
「リコリネ、その後調子の方はどう? 空腹を感じない以外で、変調とかは?」
ユディは小走りに追いかけながら、全身鎧の背に問いかける。
リコリネは前を見たまま、むすっとした声音で答えた。
「そうやって気を使われてしまうと、先程の失態を思い出して恥ずかしいので、やめていただきたいです…」
「あははっ、ごめんごめん!」
鐘のある広場は中心地だったため、そう歩かないうちに、騎士団の詰め所までたどり着いた。
「頼もう!」
扉のない入り口を覗き込んでも、誰も居ない。
リコリネは、不思議そうに一歩入った。
「…見回りの時間、ということでしょうか?」
「今まで訪れた街の例を考えると、誰も居ないのはおかしいです~~。なかなか他の街とは勝手が違うようですね、ここは~~…」
「そうだね。そもそも重要書類とかがありそうなのに、これじゃ盗まれ放題だよ」
不用心な詰め所内を見渡してから、ユディたちは結局外に出た。
リコリネは、小さく唸り声をあげる。
「となると、街の人に聞き込みをしながら宿を探す…という流れで行きましょうか」
他に妙案もなかったため、ユディたちは頷いた。
それと同時に横合いから話しかけられる。
「兄さんたち、旅人さんですかい?」
見ると、ちょっと出っ歯な商人風のおじさんが、にこやかにリコリネに話しかけてきた。
「そうです、ちょうどよかった、この街の住民の方ですか?」
おじさんは、リコリネの声が女性のものだったことに、大層驚いている。
「こりゃ失礼、姉さんでやんしたか。へい、あっしはこの街で宿屋をたしなんでいやす。旅人さんと見て、勧誘に来させていただきやした!」
ユディは、渡りに船とばかりに微笑んだ。
「それは助かります、僕たちも今日の宿をどこにしようかと話し合っていて」
「ああ、それはそれは、女同士の旅でしたら不自由も多いでしょう、ぜひうちにどうぞ、歓迎しやすぜ!」
「いえ、僕は男なので、二部屋空いているかどうかをまずは聞きたいのですが…」
「! こりゃ失礼!」
おじさんは、参ったとばかりに手で頭を掻き、へらへらと笑っている。
リコリネは、今気づいたように声を上げた。
「そういえば、主と私はよく性別を間違われますね。ベストコンビかもしれません」
「どういう基準で!? まあ確かに、もうだいぶ慣れたよね。だから、気にしないでください」
後半は宿屋の店主へと言いながら、ユディは笑いかける。
おじさんは、二人が気を悪くしていないことに安堵の息を吐いてから、案内をするように歩き出す。
「そんじゃ、こちらへどうぞどうぞ、サービスしやすぜ! 二部屋どころか、今は観光客も少ない時期なんで、たくさん部屋が余っていやすからね、一部屋分の代金で勉強させてもらいまさあ!」
ユディたちは、おじさんの後ろをついていきながら、首を傾げた。
「観光客が多い時期があるんですか?」
「へい、特に結婚シーズンは人気でやすねえ。あの鐘の下で挙式すると幸せになれるとかで」
「へええ、ステキな話ですね! …本当に、こうして見てもすごくいい街で…。何か、最近変わったこととか、ありませんでした?」
ユディのさりげない質問を、おじさんは笑い飛ばした。
「まさかまさか! 穏やかで平和そのものですぜ! 誰一人ケンカもしねえ、盗みも起きねえしで、まさに笑顔の絶えねえ街ってなもんでさあ! きっとこういうのを、『ぱらいそ』って言うんでやしょうなあ」
「ぱらいそ…?」
「へい。誰が言い出したかはわかりやせんが、夢のように幸せな楽園を、そう呼ぶそうでやす」
「……そうですか」
ユディは、困ったように俯いた。
急に、山菜の村のおじじの顔が浮かんだからだ。
もし、この街が平和を保って居られるのが、モノオモイの力のためだとしたら?
それを自分が、使命のためだと取り除くことは、本当に正しいのだろうか。
今のところ、何の害も見当たらないというのが、こんなにも迷いを産むものだとは、思ってもみなかった。
リコリネは、一度ユディの様子を見ると、宿屋のおじさんに質問をする。
「店主殿、私は先程から空腹を覚えないのですが、これは不自然ではありませんか?」
「…? そういや、そうですな。あっしからすりゃ、客に出す食事代を節約できるってなもんで、イイコトにしか思っていやせんでしたがねえ。そんな細かいこと、本当に気にする価値はありやすかい? 誰も飢えねえってんなら、それが一番イイコトに思えやせんかい?」
「……たしかに、そう言われてしまうと、反論できませんね。不自然であるからと、敢えて飢えろというのは人道に反する気もします」
「そうでさあ姉さん、難しく考えなさんない。世の中ってのは、案外単純にできてるもんでさあ。そら、明かり雪だ。もうじき、水脈の鐘が鳴る」
おじさんは立ち止まり、高台から、街のくぼんだ中心地にある鐘を示す。
辺りはセピア色の夕暮れに染まっていき、シャリン、シャリンと光を纏ったオレンジ色の空気が降ってきた。
昼の翡翠から夜の紫紺へ、水に絵の具を垂らしたようなマーブル色に、空が混じっていく途中で。
リーンゴーン、リーンゴーン―――
ひとりでに鐘が動き出し、澄んだ力強い音で、街中を満たし始めた。
美しい光景だった。
初めて見る景色なのに、どこか郷愁を誘うような、いつまでも見ていたくなるような。
その時、ふと、空に動かない月が浮かんでいるのが目に入った。
時の大賢者ユルブランテのことを思い出し、ユディは我に返る。
ひょっとして、ぱらいそ…というのも、あの動かない月の影響で誰かが得た天啓なのだろうか。
隣を見ると、リコリネも、じっと水脈の鐘を眺めていた。
「リコリネ、体調に変化はない?」
念のためにユディが聞いても、リコリネは微動だにしない。
「リコリネ…?」
重ねて問うてから、ようやくリコリネはユディを見る。
「さあ、主、行きましょう、今日はもう寝ますよ!」
「ええ…? ど、どうしたの、いきなり」
「明日から忙しくなります。しっかりと休息をとらねばいけませんね。さ、店主殿、行きましょう」
リコリネがきびきびと指示して、店主は「へい、毎度あり!」と笑顔を浮かべた。
リコリネが急に張り切り出すのは、まあ大体いつものことなので、ユディは特に不審に思わず、後に続いた。
食事がなかっただけで、お風呂はあったし、寝床に不満もなく、いつも通りの宿での過ごし方を経て、ユディはそのままベッドに入る。
隣室のリコリネとリルハープの様子を見ようかとも思ったが、ここまでの旅路で思ったよりも疲れていたので、明日でいいか…と、目を閉じた。
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トントン、トントン!
扉を叩く小さな音で、ユディは目を覚ます。
窓からは既に陽が差し込んでおり、寝坊しちゃったな…とユディはぼんやり思った。
「ご主人サマ、起きてください~~っ!」
そんな声が飛び込んできて、ユディは一気に覚醒した。
リコリネではなく、リルハープが起こしに来るなんて、ただごとじゃない。
「リルハープ、どうしたの!」
飛び起きる勢いで、ユディは急いで部屋の扉を開ける。
リルハープはべそをかきながら、ユディの胸に飛び込んできた。
「リコリネが、リコリネが変なのです~~!」
「何かあったの!?」
ユディは優しくリルハープを両手で包み込むと、姿の見えないリコリネを探して廊下に出る。
「リルちゃんも、いまいちよくわからないのですが~~…。リコリネは物凄く張り切って目を覚ましたかと思うと、『それでは門番の仕事に行ってまいります』と言って、外に出て行ってしまったのです~~! 止めても聞きませんでした~~!」
「ええ? 何がどうしてそうなったのかわからない辺りは、いつも通りのリコリネって感じがするけど……門番ってことは、門の方だね、行ってみよう!」
ユディはリルハープを胸ポケットに入れると、全速力で走り出す。
宿のおじさんが何か挨拶をしてくれたが、それに応えている暇もなかった。
リーンゴーン、リーンゴーン―――
走る背後で、水脈の鐘の音が鳴る。
朝の鐘だ。
門に辿り着いた時には、すっかり息が上がってしまった。
それでも、いつもの全身鎧の姿が見えたとき、ユディは必死に声を張り上げる。
「リコリネ!」
リコリネは、いつものように背筋を伸ばした姿勢で、こちらを振り向いた。
「ああ、主。どうかなさいましたか?」
リコリネの傍で立ち止まると、ユディはぜーはーと息を整える。
「ど、どうかって、それはこっちのセリフだよ! どうしちゃったの、いきなりこんなところで!」
リコリネは、ユディの様子に首を傾ける。
「…? 見ての通り、いつもの仕事を行っているまでです。このような楽園を悪漢から守る、誇らしい仕事ですからね。全力を尽くす所存です」
「いつものって……」
ユディは、話の噛み合わなさに青褪めた。
しばらくじっとして、事態を飲み込んだ時。
ユディは突如として、指先が震えるほどの怒りに包まれた。
喉元まで込み上がってきたマグマのようなものを、なんとか嚥下しながら、ユディは必要以上に優しい声を出す。
「リコリネ……。あの鐘の音を聞いてから、そう感じたんだよね?」
「主…?」
「だってリコリネは、僕と旅をしていたじゃないか」
「……そういえば、そうでしたね……。……? しかし、主との旅も、ここでの門番も、どちらも私にとって、正しいことのように思えます」
「そう…。ありがとう、それだけ聞けたら大丈夫だよ。少しだけ待っていて。ちょっと行ってくるね」
ユディはぎこちなく笑うと、門に背を向けて歩き出す。
リルハープは心配そうに、ユディの硬い表情を、胸ポケットの中から見上げた。
「ご主人サマ、リルちゃんがここに居ますからね~~…リルちゃんは、ずっと一緒ですから~~…!」
「……ありがとう」
リルハープの必死の言葉に、ユディはそれだけを絞り出した。
だが、この街を睨みつけるような目つきは、鋭さを増すばかりだ。
(よくも…)
ふつふつと湧き上がり続ける怒りが、リルハープを焦がさないように、ユディは必死に言葉を抑え続ける。
(よくも、僕から、リコリネを奪ったな)
この街は、ユディにとって、今や敵以外の何者でもなかった。
一歩を進める度に、大きく、乱雑な足取りになっていく。
ユディはまっすぐに、街の中心地に向かっていた。
水脈の鐘がある、あの場所へ。
「お母さん、こっちこっちー! うわっ!?」
視界の端で、こちらに向かって走っていた子供が、つまづいて転がった。
それを認識した時、ユディはハっと冷静さを取り戻す。
「あ……大丈夫?」
ユディは反射的に、その子の方へと駆け寄って、助け起こそうとする。
その時、我が目を疑うようなことが起こった。
「…!!!?」
ユディの手が、その男の子の体を、すり抜けたのだ。
「ほら、走るからよ~?」
後から来た母親は、ユディなど見えていないかのように、男の子の体を助け起こす。
その時に、母親の手も、ユディの体を貫いた。
「うわあ!!!?」
ユディは驚きで、その場に尻餅をついてしまった。
「そんなに急がなくても、滝も虹も、逃げないわよ?」
「いいの! 急ぐの! 今日は暑いから、飛沫を浴びたいの!」
母親もその子も普通に会話を続けながら、終始ユディに気づかない。
そのまま、何事もなかったかのように、手をつないで歩き出していった。
尻餅をついたままのユディを、すり抜けながら。
ユディは母子を目で追うこともせず、ただ茫然としていた。
すると、リルハープは隠れるのをやめ、ユディの目の前まで飛び上がって、羽を震わせる。
「ご主人サマ、今の親子は、なんの匂いもしませんでした~~」
「え…? どういうこと? でも、昨日のおじさんは、ちゃんと僕たちと会話をしていたよね?」
「リルちゃんは、わかってきたかもしれません~~。おそらくですが、この街には今、二種類の人間がいるのです~~。ひとつは、今の親子のような、幻の存在です~~。そしてもうひとつが、リコリネのような、鐘の音に呼び集められた行方不明者たちだと思います~~」
「! そうか、じゃあ、昨日のおじさんは、行方不明者の方で…。でも、なんで?」
「そこまではリルちゃんにもわかりません~~。ただ、なんとなくですが~~…。街を、形作ろうとしていると、そのように感じます~~…。全員無事なことを考えると、害意はないのだとは思いますが~~…」
ユディは、服に着いた埃を払いながら立ち上がる。
リルハープの言葉に、目が座っていた。
「つまり、リコリネを『ぱらいそ』とやらの材料の一部にしようって? ふざけるなよ……。絶対に、阻止してやる」
リルハープは、ユディの冷酷な表情を見て、何も言わずにユディの肩に降り立つ。
歩き出すユディを見ながら、最後まで見届ける覚悟を決めた。
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ザッ。
ユディは、苛烈なほどに厳しい表情で、水脈の鐘の前に立つ。
シンボルマークとしての美しさは昨日と変わらないのに、印象がまるで違って見えた。
「迷っていた自分が馬鹿みたいだ。やっぱりモノオモイは、等しく竜の夢へと還さないといけないものなんだ」
首にかけたオカリナのペンダントを手に取る。
その時だ。
ガシャン、ガシャン。
聞き覚えのある、硬質な足音が、背後から響いた。
振り向かなくてもわかってしまうくらいに、聞き慣れたその音。
「―――主。なにをされるおつもりですか?」
「……リコリネ。何しに来たの?」
二人の声音はどちらも静かで、そして何かを抑え込むような響きすら似ていた。
前を見たままのユディの背後で、リコリネが武器を抜き放つ音がした。
「私は守り手として、この楽園の平和を乱す者へ、制裁を下さねばなりません」
「……へえ? そんなに大事なんだね、この街が」
ユディは、ゆっくりと振り向いた。
いつもの全身鎧と、視線を合わせる。
「リコリネ。僕からリコリネを奪うというのなら、例え君でも許さない」
バカみたいな本気の言葉を、ユディは静かに囁いた。




