08 後輩
入社して三年目?四年目だったか、山本次長の机の写真について聞いたことがある。
「次長。ずっとこの写真ですね。わたしが入社した時はもうこれでしたから、十年?確かにいい写真ですね。気に入ってるんですね」
次長は優しく笑って写真を撫でながらこう言った。
「一番可愛い時だからね」
「そうなんですか」とわたしは言うと自分の席に戻った。
翌日、犬の写真が家族写真に重ねられていた。
「おぉ、可愛いですね」
「ミッキーって言うんだ」と次長が言った。みんなが、さりげなく次長の机の犬を見に来た。
そして声を揃えて
「可愛い」と言って去って行った。
その後わたしも結婚して二児の父になった。わたしも机に家族の写真を飾った。それを子供の成長に合わせて取り替えていった。
子供は成長するに連れて生意気になり、一緒に写真を取ってくれなくなった。気がついたら写真はずっと同じになり、わたしは写真を片付けた。
「部長、この写真はお孫さんですか?いや古いから子供さんですか?」と新入社員が山本部長に聞いていた。わたしもこの質問をしたことがある。あの時はまだ独身で・・・いやぁ子供なんて者は。と思っていたら部長は優しく答えた。
「一番可愛い時期だからね」同じだ。あいつ、いまいち飲み込めてないな。あの時はわたしもそうだった。
あいつもそのうちわかるだろう。
翌日から山本部長が有休を取った。いきなりのことで驚いた。部長がいないとなんとなく不安だと気づいた。
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