はぁ・?
俺は管理人から預かった鍵をポケットから取り出し、鍵穴に差し込んだ。
ガチャっという音がして鍵が開いた音がした。
「開けるぞ」
俺はそう言って、いつもより重く感じたドアを開けた。
玄関に入ると、部屋の奥で人が立っているのが見えた。
シュンだ。
シュン!よかった無事だった。
シュンの胸元が一瞬光った。
はっ?
光ったのは包丁だった。
俺は瞬時にシュンに向かって走り出した。
「おっおいーい!!」
俺は大声で叫んでいた。
一秒でもシュンの元に早く行くために俺は全力で走り、シュンのやせ細った
手首を掴んでいた。
その手首の先には包丁が握られ、シュンの首の方に向けられ、後、数センチで
シュンの喉に刺さるところだった。
後ろでヒロが叫んでいる。
「お前、何してんだよ!おい!何やってんだよ!ウイルスにかかりたくないから、
ウイルスにかかりたくないから、自粛生活してんじゃねーのかよ!
自殺なんかしたら、自粛してる意味ねーじゃんかよ!!」
俺はシュンに向かって叫んでいた。
シュンの手首を左手で力いっぱい握り、右手で包丁をシュンの手から抜き取った。
最近始めた筋トレのおかげか、俺はシュンの手を力強く抑えることができた。
なんだよ。これ。シュン、何してんだよ・・・。
**
「で・・そのヒカリって女がお前に毎日会いに来たのかよ・・」
俺はシュンの話を聞きながら、頭の中でその話を順を追って整理していた。
ビデオアプリの誤作動で知り合って、その会った事のない女と毎日会っていた・・。
おかしくね?
「なんか頭がぼーっとしてさ・・。みんな、なんかごめん・・」
話の途中でシュンは泣き出した。
「俺さ、この先どうしようとか不安に毎日を過ごしてたんだよな。仕事も転職したくて転職活動もしてんだけど全然決まんなくてさ。彼女にも振られたし、なんか俺辛かったんだよ。だから・・なんか・・」
「おう、わかった。大丈夫だ。シュン。ちょっと水飲んで寝ろよ。疲れただろ」
俺はそう言ってシュンの肩を抱き、泣きじゃくるシュンをベッドに連れていった。
「シュン、ちょっと休め」
そう言ってベッドの上に寝かせた。
シュンは仰向けになり、目を閉じた。
テレワーク用のデスク以外は部屋の内装は以前のシュンの部屋と変わらないが、
空気が少し重い気がした。
洗濯物が山積みになっている。




