大丈夫か?
そう言ったシュンは一瞬、思い詰めたような表情だった。
シュンが勤めてる、広告系の会社で激務だと言ううことは聞いていた。
上司のパワハラも多いらしい。
それに。ちょうどその時、シュンの浮気が原因で、好きだった彼女に振られたようだった。
「まぁ、元気出せよ。ほら」
俺はそう言って、シュンのグラスにイモ焼酎を注いだような気がする。
その時期からか?
シュンに対して俺が妙な心配をしてしまうのは・・。
いや、大丈夫だ。
再びネットニュースの見出しが頭に浮かぶ。
【自粛による自殺者の増加】
いや、まさか、そんなことあるはず無い。
俺は自転車を漕ぎながら問いかける。
なぁ、シュン、一体お前今、何してんだよ・・。
***
シュンの住むマンションに着き、待ち合わせしていた五十代くらいの管理人の
おっさんから鍵を受け取った。
シュンの父親がその管理人に事情を話してくれたそうだ。
ヒロがシュンの父親に昨日連絡したそうで、ここ最近、シュンと連絡が取れないと、シュンの両親も心配していたようだ。
数ヶ月ぶりに来た、シュンのマンション。
シュンは部屋にいるよな?
お前らどうしたんだよ?って驚きながら、笑って俺らを迎えるよな。
「ユウスケ!」
エントランスの前でつっ立っていた俺は振り向き、マスク越しの見慣れた顔をとらえた。
ヒロとリエがこっちに向かって歩いてくる。
「おう!」
変わらず元気そうな二人を見て俺は安心する。
俺は少し喉が渇いていたので、マンションの横に設置された自動販売機で
ペットボトルにはいった水を購入し、口に含んだ。
俺は少し緊張していた。
喉を潤し、落ち着かせる。
「ごめん!お待たせ」
ちょうどサエが来たようだ。
「サエも来たことだし、シュンの部屋に行くか」
俺はそう言って、エントランスのドアを開けた。
**
エレベーターに乗り込み、【3】のボタンを押す。
シュン、無事だよな?
大丈夫だよな?
エレベータが開き、シュンの部屋【303】の部屋に向かう。
俺は再び喉の渇きを感じた。
エレベータから降りて、いつも無意識で部屋に向かっていたのに、
今日は別の場所に行くような、そんな錯覚に見舞われる。
【303】の部屋の前に着き、インターホンを押す。
応答が無い。
続けて三回鳴らすが、やはりシュンから応答が無い。




