思い
教室に行くと、毎回、ランダムに四・五人くらいでグループ分けがされる。
たまたま、同じ教室の金曜の夜のクラスをとっていたのが同じだったので、義昭とはよくグループが一緒になった。
料理が終わるとそのグループで作ったご飯を食べて帰るのだ。
義昭とはご飯を食べながら、結構美味しくできましたね、なんて最初ぎこちなく話してたな。
それで帰る時に、義昭とエレベーターが一緒になって、
「よかったら今度。ご飯行きませんか?」
って言われて、その日から私たちは距離を縮めた。
優しくて、ちょっと女々しくて、そんな義昭に自然と惹かれていった。
背も高く、目鼻達も整っていて、それを自覚していない、そんな感じの男性だ。
義昭とは一年くらい付き合って、義昭が仕事でタイに駐在することになって別れることになった。
義昭が私に言った言葉。
「遠距離になるから、サエとの関係を続ける自信が無い」
義昭の家の近くのスペインバルでこの言葉を聞いた。
瞬間、胸が締めつけられたような気分になった。
なんとなく、今日は最後かも、そんな言葉が義昭の口から出るかも。
そんなことを頭の隅で思っていた。
予感はしていたけど、もしかしたら、遠距離でスカイプとかしながら、義昭との関係を続けていけるかもしれない。そんなかすかな期待もしていた。
でも、義昭の選択は、終わり だった。
「わかった」
その後、義昭と何を話したかあまり記憶に無い。
覚えているのは皿に盛られた生ハムと、飲み終えたサングリアのグラスに残されたフルーツ達。
真面目な義昭だ。悩みに悩んだような答えだろう。異論を唱えることはできなかった。
運命なのだろう。そう納得することにした。
そういえば義昭は今元気だろうか?結婚はもうしているのだろうか?
自分に男性のストックが無いと昔の男に思いを馳せてしまう。
週末は会社の後輩に誘われて毎週飲みに出かけていた。立ち飲みバー等に行き、声をかけてきた男性と知り合いになりデートしたり、飲みの会に行ったりした。
ここ最近は仕事で飲みに行ったりもしていないので、出会いも減ってしまい、気がついたら自粛生活が始まっていた。
恋愛に発展しそうな男性のストックは当にきれていて、時間だけが過ぎていく。
二十八にもなると、結婚を意識してしまう。
正直、結婚はしたいが、本当にしたいかどうかはわからない。




