↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

第六話 ストーカー容疑

「記録が残っていればですが、防犯カメラ見て見ましょうか?」


「あぁ〜。その手があったか。」


店舗中心に聞き込みを開始し3件目。カラオケ店の店員がファインプレーを見せてくれた。

レジ裏の扉からお邪魔して、従業員用の部屋に入る。

モニターのある部屋に入り、責任者とバイトリーダーと俺の3人でモニターに食いついた。


当日の映像が残っていて、店舗外のカメラ映像に注目する。

爆破のあった時刻からコマ送りにし注視していると、茶色い小さな影が猛スピードで駆けてくるのが分かる。

リードを引きずりながら走るその犬は道路を横切りながら店の前を通過した。


「あ、コイツだな。」

俺は呟く。


「このスピードだとまだまだ先に行ってそうですね。」

店長が言った。


「そうですね。この先の店舗を何件か当たってみます。ご協力ありがとうございました。」


俺は礼をいって店を後にした。


後輩と合流して、店の防犯カメラに捜索を縛り、しばらく調査したところ、

とある店の防犯カメラから犬の姿が消えた。

最初は角度が悪いのかと思ったが、どうもそうじゃ無いらしい。


「一個手前の店に行くか。」


「手前って…。あの店?」

後輩は、俺に問う。


「この店から犬が消えたんだ。そうなれば、ここの店に聞き込むしか無いだろ。」


そうして俺と後輩が立つ目の前にはキャバクラがある。

営業時間は夜の20時からだ。


「とりあえず、20時までは自由行動だ。またここに集合な?良いな?」


そうして、一度解散した。


俺は喫煙所を探しながらフラフラと歩く。

最近の喫煙者は肩身が狭くて仕方がない。


「…ちっ…。生きづらい世の中になっちまったもんだな…。」


そう愚痴を垂れながら、ドン・○ホーテに入った。

店内をしばらく散策した後。


「んだよ!喫煙所ねぇのかよ!」

そう言って店を出ようとした時。


ボーーーン……。


少し地響きがした。


「…?…なんだ?」


外に出ると、悲鳴や叫び声が聞こえる。


「なんだ?なんだ!?」


人々が逃げ惑う方向と逆を見る。

黒い煙が上がっていて、ガラスの割れた店舗が目に入った。


「マジかよ…!」


俺は走ってその店に向かう。


店の前には数人の人々が倒れている。

流血が見られ、店内にも人影があった。


「誰か!救急車!」

俺はそう叫びながら店の中に飛び込んだ!

ドン・○ホーテと同じ通りにあるコンビニで爆発が起きた様だ。


煙が視界を塞ぐ。

何かが足に当たった。

人だった。


「おいおいおいおい!マジかよ!?」


俺は慌てて抱え上げて店の外に連れ出す。


「おい!おい!アンタ!意識あるか!?おい!」


俺は連れ出した人物に声を掛ける。

少しだけ反応があった。

しかし、声は出せない様だ。


「生きてるか!?声は出さなくて良い!」


その時後輩が目の前を駆けてくるのが見えた。


「まだ中に人がいるかもしれない!」

俺は後輩に向かって声を掛ける。

後輩は、走りながら軽く右手を上げて、そのまま店の中に入って行った。






事情聴取を受ける事になった俺達と、その他数名は、店の外で警察官と対面していた。


俺と後輩は、花ちゃんと望まぬ再会を果たした。


「とんだ再会になっちまったな。」


「うん。ほんとね…。2人とも怪我は無い?」


「運良く、なんとかな。事件性はありそうか?」


「まだ、なんとも…。」


俺たちは、店の方に目を向ける。

辺りはすっかり暗くなっていて、消化活動も終わった後の店の中はぐちゃぐちゃだ。


「俺達が助けた人は?無事ですか?」

後輩が口を開いた。


「今のところはまだ情報が無いの。でも病院に運ばれた時は意識はあったわ。貴方達のおかげね。」

花ちゃんは答えた。


聴取が終わった時にはすでに22時を回っていた。

とりあえず俺たちは解放されて、また、聞きたいことがあれば連絡するということで花ちゃんは仕事に戻った。


「とんでもねぇ事に巻き込まれたな。」

俺は踵を返しながら言った。


「ああ、そうだな。」

後輩は俺の後に続く。


「とりあえず、気持ちを切り替えて例のキャバクラに行こう。今日は、それだけ行ったら帰るか。」


そうして俺達は歩き出した。


例のキャバクラの扉を潜る。


「いらっしゃいませ〜!2名様ですね?ご指名などありますか?」

黒服にそう声を掛けられたが、すぐに制して聞き込みをする事にした。

写真を取り出して、黒服に渡す。


「あー。すまない。客じゃ無いんだ。この犬を探しているもので、どうもここら辺で行方が分からなくなったみたいで。防犯カメラを確認させて欲しい。」


俺がそういうと、黒服は少し怪訝そうな顔を向けて俺達を見た。


「はぁ…。少々お待ちください。」

そう言って店の奥に消える。


しばらくして店長らしき人物が出てきた。

どうも堅気には見えない。


「犬探し?ウチのカメラには映ってないよ。」

そう言って男は写真を投げてよこした。


(なんだコイツ。態度デケェな。)


「そうですか。それは失礼。」

俺は店の外に向かう。

こんなところで言い争っても仕方がない。

それに、カメラの映像に関しては、俺達の権力で見れるものでも無い。

相手も堅気じゃ無さそうなので、ここは大人しく引き下がる事にする。


店を出てしばらく歩いていると、誰かに尾けられていることに気付く。


「…?俺たちか?」

俺は後輩に聞いた。


「多分な。ちょっと変則的に動いてみるか?」


そうして、俺達はぐるぐると街を歩くが、やはりついてくる。


「はぁ…。今日は疲れてるから勘弁して欲しいんだけどな。」

そう言って俺達は裏路地に入った。


足音が近づいてくる。

少し開けたスペースがあったので、そこに入り込む。

足音は速まる。

タイミングを合わせて、俺は建物の角から飛び出して、背負い投げをした。


ドスン!「ぐぇ!」


鈍い音がして、お尻を抑えるスーツ姿の男だ。

ペン型のライトで照らしながら顔を確認すると、さっきの店に居た黒服だった。


「あぁ?お前、なんでここに居るんだ?」


そう聞いたのも束の間、裏路地の方から、4人の黒服集団が現れた。


「お前、ユキのストーカーだろ?」


集団の中に居た1人がそう言ってこっちに近づいてくる。

さっきの店長だった。


「は?ユキって誰だよ。」

シンプルな質問が出てきた。

俺はユキと言う人物は知らない。


「まぁそう言うわな。」

店長はジャケットを脱いで腕を捲る。


「いやいや、なんか勘違いしてるぞ。俺はストーカーじゃ無い。探偵だ。名刺もある。」


「終わってから聞いてやるよ!」

その言葉が合図となり、黒服達は襲いかかってきた。


「結局こうなるのかよ!?」


俺は中年不良探偵。

名古屋の治安の悪さに舌を巻く、今年36歳の残念なおっさんだ。

俺のスローライフはまだまだ遠いようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。