第五話 ペット探偵開花?
「んで?犬は見つかったのか?」
「見つかるわけねぇだろ。ペット探しなんてやった事ねぇんだから。やり方が分からねぇよ。」
俺は愚痴を吐きながらタバコの煙も吐いた。
俺と後輩はあの後花ちゃんと連絡先を交換した後にそのまま帰路に着いた。
「続きは明日だ。どうせしばらく依頼もねぇよ。」
ダッシュボードに足を乗せて、散々な目にあった今日を振り返る。
「ラジオつけて良いか?」
車内は退屈で、後輩は気分転換が欲しかったのだろう。聞いてきた。
「ああ、い《ップFM!ウェザーインフォメーション!》」
「早えな!!まだ返事の途中だったろ!」
俺達は少し笑いラジオに耳を傾けた。
明日は天気の崩れるところがあるようで、曇り時々晴れの予報らしい。
「傘持って行ったほうが良さそうだなぁ〜。」
俺は欠伸をしながら言った。
「明日暇だから付き合うよ。」
「給料出るかどうか分らねぇぞ?」
「厄介事持ち込んだの俺だしな。詫びだ詫び。」
「そういえばそうだったな。テメーこのやろう。」
俺達はまた、少し笑い合ってすっかり日の沈んだ国道41号線を小牧方面に向かって車を走らせていた。
花ちゃんは阿部とたまに飲みに行く間柄で、今度は俺も誘ってもらえる事になった。
途中でコンビニ寄りタバコを買い、国道沿いのラーメン屋に入った。
「ここあんまり美味しくねぇじゃん。」
後輩は車に鍵をかけながら言った。
「そうか?俺は結構好きなんだけどな。」
そんな会話をしながら店に入り注文を済ます。
2人でしばらく会話をしていると、店のテレビから甲高いアラーム音が鳴る。
ふと視線をテレビに移すと、《速報》の文字。
続いて流れてきた文字。
《名古屋駅で爆発騒動。本日午後20時05分頃、名古屋駅北改札側。金時計付近で爆発騒ぎがありました。現在原因を調査中。》
「またか。」
俺はため息をついて頬杖を着いた。
「今回はどっちなんだろうな?」
「さぁな。故意じゃねぇか?あの辺にはカメラもあるだろう。すぐに分かるさ。」
そうして注文した品がテーブルに運ばれてきたので俺達はいただく事にした。
家に帰り、後輩と解散して俺は風呂に入りその後は特に何もせずに就寝した。
スカイボート周辺にて俺達は聞き込みを再開する。
2時間ほど粘っただろうか。
1人の女子大生からやや有力な情報を聞くことが出来た。
「あの時私も現場付近に居たんですけど、後ろから突然爆発音が聞こえてきて驚いてしゃがみ込んだんです。それからしばらくして振り返りながら立ち上がって音のした方に歩いて行く時に足元を何が通った気がして見てみると多分、犬だったのかな?が走って行くのが見えて…。」
「その犬はどっちの方向に?」
「スカイボートの通りを東に向かって駆けていきながら道路を南に渡ったのは見ましたが、そこからは分かりません。」
「そうですか。ありがとうございます。大変有力な情報になりました。」
俺は女子大生にお礼を言って後輩を呼び出した。
「なんか分かったのか?」
後輩が合流した。
「ああ、少し場所を変えて聞き込むぞ。あっちの方に向かって走って行った可能性がある。」
俺は先ほど教えてもらった方向を指差した。
大した移動はしていないが、街中という事で交差点が多い。犬がどちらに走って行ったか確かな情報が出て分からない以上は交差点ごとに聞き込みをしようという事だ。
俺達はまた二手に分かれて聞き込みを開始する。
30分ほどして、ふと色んな店舗が目に入った時に思った。
(店の人間なら場所を動かないし、当日も店にいた可能性が高いな。)
俺は通りにある店に聞き込みをする事にした。
「すみません。責任者の方居ますか?」
「えぇーと。どういったご用件でしょうか?」
俺は名刺と写真を出した。
「私、こういうものでして。この写真の犬を探しているのですが、一応責任者の方に聞き込み調査のお断りを入れようと思いまして。」
「少々お待ちください。」
若い女の店員は奥へ消えた。
ここは道路沿いのカフェだ。
黄色いエプロンをした店員が数名居て、席はそこそこ埋まっている。
店内はとても静かな感じで落ち着いており、雰囲気が良い。
奥から50代ぐらいだろうか。
女の人がスーツ姿で出てきた。
「店長の吉永です。そちらの空いている席でも構いませんか?」
「わざわざすみません。」
店の1番角の席に案内される。
なかなか良い席でここから通りを眺めることが出来る。観葉植物とガラスと大通りが視界に入る画になる席だ。
「早速なんですが、この写真の子を探しています。先日あったコンビニの爆破事件の時に逃げ出したようで、この通りを走って行ったという目撃者が居ました。当日に勤務していた店員の方にお話お伺いしたいのですが、よろしいでしょうか?」
「承知しました。シフト表を確認してまいります。少々お待ちいただいても?」
「かまいません。お手数おかけして申し訳ありません。」
俺は頭を下げた。
結論から言うと有力な情報は得られなかった。
当日勤務していた5人の店員は皆、
爆発音には気付いたが、周辺は騒然としていて自分達の対応に追われていたと。
(そりゃそうか。)
しかし、調査の方法自体は何か手応えを感じた。
外で聞き回るよりもよほど話は聞ける。
俺はアイスコーヒーを1つ頼んで店を出た。
そしてすぐ隣の店に入る。
時刻は14時26分。
本格的な聞き込みが始まった。




