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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第五章 FIRE失敗民、最後の戦い!?

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第63話 魔王城

 オレたちが冒険者ギルドに到着した途端、傷だらけの騎士が現れた。


「おじい、どないしてん!?」


 オーゼが対処しているあたり、アイザック騎士団の関係者らしいが。

 

「魔神を使っても、負けてしもうた」


「ワイら自慢の、魔神が!?」


 聞くところによると、ギルドはオレたちに負担をかけさせまいと、ベリトの撃退に赴いたらしい。


「昔取っての杵柄や思うてたけど、露払いしかできんかった。すまん」


「なにを言うてんねん! 年寄がムチャしおって! はよ病院に行け!」


 ギルド職員たちに担がれながら、老騎士はストレッチャーに乗せられていった。


「オーゼ、ついて行ったほうが」


「アカンわい、ミツル。ここでおじいを看病しとったら、騎士団としての恥や。おじいかて、覚悟の上やってん」


 オーゼは、オレたちについていくつもりだ。


「絶対帰ってくるって、嫁にも娘にも約束してん。死亡フラグに、せんとってくれ」


「わかった。行こう」

 

 

 オレたちは、魔王城に到着した。


【フュージョン・ワールド】のラスボス、バールの根城だ。

 今はすっかり、廃城になっている。レアアイテムがあった尖塔も、軒並み崩壊していた。トラップ床も壊れて、魔物の大群も気配すら感じない。


 玉座手前にある玄室で、よくレベル上げをしたものだが。

 

「いよいよ、これが最後の戦いだ」


『ゾクゾクしますが、ワクワクもしています』


 機械が、緊張と興奮をするほどの相手だ。一筋縄ではいかないだろう。


「前は任しとけ。壁になったる」


 オーゼ・アイザックが、手に拳を当てる。【ヒドラスーツ】も、【ヒドラアーマー】にアップデートした。ベリトの配下ムルルから、上級のヒドラ素材を手に入れたのである。


 ロニは黙ったままだ。ムリもない。今回、一番溜め込んでいるのがロニだ。


「ぶつけちまえ、ロニ」


 オレが声を掛けると、ロニは無言でうなずいた。


 ロニもオレも、アホほど強化を済ませている。


 キナ子に至っては、感情まで搭載された。マリエが施したのではない。キナ子が勝手に、命を持ったのだ。


 

 魔王の間に到着する。

 天井が壊れて、玉座が剥き出しになっていた。


 誰もいない王の間に、ベリトが座っている。


「来たね。魔族が自由に世界を行き来できるようにする計画が、キミらのせいで三〇〇年遅れた。たとえキミを倒したとしても、この遅れは取り戻せない。確定事項だ」


「一生、遅れてもらいたいね。決着をつけよう」


 オレが言うと、ベリトが立ち上がった。


「ベリト! お前だけは絶対に、許さない。キャトレイに、あんなことをさせて!」

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