第63話 魔王城
オレたちが冒険者ギルドに到着した途端、傷だらけの騎士が現れた。
「おじい、どないしてん!?」
オーゼが対処しているあたり、アイザック騎士団の関係者らしいが。
「魔神を使っても、負けてしもうた」
「ワイら自慢の、魔神が!?」
聞くところによると、ギルドはオレたちに負担をかけさせまいと、ベリトの撃退に赴いたらしい。
「昔取っての杵柄や思うてたけど、露払いしかできんかった。すまん」
「なにを言うてんねん! 年寄がムチャしおって! はよ病院に行け!」
ギルド職員たちに担がれながら、老騎士はストレッチャーに乗せられていった。
「オーゼ、ついて行ったほうが」
「アカンわい、ミツル。ここでおじいを看病しとったら、騎士団としての恥や。おじいかて、覚悟の上やってん」
オーゼは、オレたちについていくつもりだ。
「絶対帰ってくるって、嫁にも娘にも約束してん。死亡フラグに、せんとってくれ」
「わかった。行こう」
オレたちは、魔王城に到着した。
【フュージョン・ワールド】のラスボス、バールの根城だ。
今はすっかり、廃城になっている。レアアイテムがあった尖塔も、軒並み崩壊していた。トラップ床も壊れて、魔物の大群も気配すら感じない。
玉座手前にある玄室で、よくレベル上げをしたものだが。
「いよいよ、これが最後の戦いだ」
『ゾクゾクしますが、ワクワクもしています』
機械が、緊張と興奮をするほどの相手だ。一筋縄ではいかないだろう。
「前は任しとけ。壁になったる」
オーゼ・アイザックが、手に拳を当てる。【ヒドラスーツ】も、【ヒドラアーマー】にアップデートした。ベリトの配下ムルルから、上級のヒドラ素材を手に入れたのである。
ロニは黙ったままだ。ムリもない。今回、一番溜め込んでいるのがロニだ。
「ぶつけちまえ、ロニ」
オレが声を掛けると、ロニは無言でうなずいた。
ロニもオレも、アホほど強化を済ませている。
キナ子に至っては、感情まで搭載された。マリエが施したのではない。キナ子が勝手に、命を持ったのだ。
魔王の間に到着する。
天井が壊れて、玉座が剥き出しになっていた。
誰もいない王の間に、ベリトが座っている。
「来たね。魔族が自由に世界を行き来できるようにする計画が、キミらのせいで三〇〇年遅れた。たとえキミを倒したとしても、この遅れは取り戻せない。確定事項だ」
「一生、遅れてもらいたいね。決着をつけよう」
オレが言うと、ベリトが立ち上がった。
「ベリト! お前だけは絶対に、許さない。キャトレイに、あんなことをさせて!」




