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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第五章 FIRE失敗民、最後の戦い!?

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第62話 同時刻、魔王城にて

 ギルド直属の討伐隊が、魔王城に到着した。


 ミツル・ヒガによる、ベリト討伐も期待している。

 討伐できなかったときの戦力も、一応確保していた。


 今回のミッションは、ベリトを少しでも弱体化させることが目的だ。


 隊長は、責任感で押しつぶされそうになる。


 選りすぐりの討伐隊を結成し、ベリトの配下を排除していった。


 ダンジョンに持ち込めない重火器の所持も、認めている。 


 傭兵である冒険者たちは、ダンジョン内では火器より刀剣のほうが優れていると証明した。

 魔族たちの硬い装甲は、アサルトライフルの弾丸など容易く跳ね返す。レッサーデーモンにさえ、刃が立たない。


 対して、傭兵団の剣術は、魔族たちに届いた。

  

「チームアルファ、クリア」


「こちらチームベータ、異常なし」


「傭兵団、こちらも問題なしや。あんたらは早いところ退散して、ギルドに帰り」


 リーダーである冒険者が、余裕の笑みを浮かべる。

 アイザック騎士団のベテラン戦士、バウス隊長だ。


「そういうわけには、いかない。ミツル・ヒガだけに、負担をかけるわけにはいかないんだ」


「せやけど事実、ミツルやないと切り抜けられへんで。ワイかて、あのベリトなんかに勝てる見込みはないんや」


 玉座に続く通路を、爆撃で破壊した。


「あなたがたでさえ、か」


「あんなんが相手やと、あんたら自慢の近代兵器とやらも通じへん」


 先頭に立って、バウス・アイザックがベリトの前に立つ。

 

「アイツは、規格外や。ダンジョンボスの範疇を超えとる。そもそもヤツは、【ダンジョン・ショック】を起こした張本人やからな」


「まさか……来るぞ!」


 

 玉座に座っていたベリトが、消えた。


 途端、周囲にいた数名の軍隊が沈黙する。Tシャツと短パンという出で立ちの男性ベリトに、蹴り殺されたのだ。


「クソお!」


 兵隊の一人が、アサルトライフルを乱射する。


「よせ! ムダ弾を使うな!」


 隊長はベリトに、手榴弾を投げつけた。


 ベリトは榴弾の爆撃を、足の裏で受け止める。爆発とともに、跳躍した。ライフルを撃った兵士に直下し、首にヒザをめり込ませる。


「この程度の攻撃で、ボクを止められると思うな」


 ベリトの照準が、こちらに向く。


「だから言うたんや! 【魔神召喚】!」


 騎士団長バウスが、スイカほどの大きさを持つ宝玉を、地面に叩きつけた。

 一際大きなゴリラが、ベリトに拳を叩き込む。

 その拳は、ベリトより遥かに大きい。


 ベリトは自分の数倍はある拳を、片手だけで受け止めた。


「これで攻撃のつもり? 攻撃っていうのは、こういうものだ」


 もう片方の腕を振り上げて、ゴリラの腕を破壊する。 


「逃げんかい! これはもうアカン!」


 騎士団長が、自分を連れて魔王城から脱出した。


 ただでさえ老けていた顔が、さらに二〇歳くらい年老いて見える。


「アレは、アカン。ミツル・ヒガに……ヒガンに頼るしか、ないとは……」


 自分も、不甲斐ない。


 部下を大量に死なせて、自分たち二人しか生き残らないとは。

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