第62話 同時刻、魔王城にて
ギルド直属の討伐隊が、魔王城に到着した。
ミツル・ヒガによる、ベリト討伐も期待している。
討伐できなかったときの戦力も、一応確保していた。
今回のミッションは、ベリトを少しでも弱体化させることが目的だ。
隊長は、責任感で押しつぶされそうになる。
選りすぐりの討伐隊を結成し、ベリトの配下を排除していった。
ダンジョンに持ち込めない重火器の所持も、認めている。
傭兵である冒険者たちは、ダンジョン内では火器より刀剣のほうが優れていると証明した。
魔族たちの硬い装甲は、アサルトライフルの弾丸など容易く跳ね返す。レッサーデーモンにさえ、刃が立たない。
対して、傭兵団の剣術は、魔族たちに届いた。
「チームアルファ、クリア」
「こちらチームベータ、異常なし」
「傭兵団、こちらも問題なしや。あんたらは早いところ退散して、ギルドに帰り」
リーダーである冒険者が、余裕の笑みを浮かべる。
アイザック騎士団のベテラン戦士、バウス隊長だ。
「そういうわけには、いかない。ミツル・ヒガだけに、負担をかけるわけにはいかないんだ」
「せやけど事実、ミツルやないと切り抜けられへんで。ワイかて、あのベリトなんかに勝てる見込みはないんや」
玉座に続く通路を、爆撃で破壊した。
「あなたがたでさえ、か」
「あんなんが相手やと、あんたら自慢の近代兵器とやらも通じへん」
先頭に立って、バウス・アイザックがベリトの前に立つ。
「アイツは、規格外や。ダンジョンボスの範疇を超えとる。そもそもヤツは、【ダンジョン・ショック】を起こした張本人やからな」
「まさか……来るぞ!」
玉座に座っていたベリトが、消えた。
途端、周囲にいた数名の軍隊が沈黙する。Tシャツと短パンという出で立ちの男性ベリトに、蹴り殺されたのだ。
「クソお!」
兵隊の一人が、アサルトライフルを乱射する。
「よせ! ムダ弾を使うな!」
隊長はベリトに、手榴弾を投げつけた。
ベリトは榴弾の爆撃を、足の裏で受け止める。爆発とともに、跳躍した。ライフルを撃った兵士に直下し、首にヒザをめり込ませる。
「この程度の攻撃で、ボクを止められると思うな」
ベリトの照準が、こちらに向く。
「だから言うたんや! 【魔神召喚】!」
騎士団長バウスが、スイカほどの大きさを持つ宝玉を、地面に叩きつけた。
一際大きなゴリラが、ベリトに拳を叩き込む。
その拳は、ベリトより遥かに大きい。
ベリトは自分の数倍はある拳を、片手だけで受け止めた。
「これで攻撃のつもり? 攻撃っていうのは、こういうものだ」
もう片方の腕を振り上げて、ゴリラの腕を破壊する。
「逃げんかい! これはもうアカン!」
騎士団長が、自分を連れて魔王城から脱出した。
ただでさえ老けていた顔が、さらに二〇歳くらい年老いて見える。
「アレは、アカン。ミツル・ヒガに……ヒガンに頼るしか、ないとは……」
自分も、不甲斐ない。
部下を大量に死なせて、自分たち二人しか生き残らないとは。




