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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第五章 FIRE失敗民、最後の戦い!?

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第61話 旧友の最期

 ロニは拳を腰に引き寄せて、魔力を収束させる。

 喰らうがいい。【アメノハバヤ】と、精霊たちの複合技を。

 

「【フレア・スマッシュ】!」


 青白い魔力弾を、拳から放つ。

 ロニが繰り出せる、単体最強攻撃魔法だ。


「防御をし――」


 キャトレイは、AIムルルを一体犠牲にしようとした。


 ムルルごと、光球がキャトレイに炸裂する。


 光球の爆発に、キャトレイは飲み込まれていった。


「こんなところで、死ぬなんて。脅威と思わなかった」


「あんたの悪いところは、そうやって閉じこもっていたところだ。安全圏に居座って、私と正面から向き合おうとしなかった」


 これまでロニは、自分でも倒せないほどの強敵と戦ってきている。


 戦闘力の違いが、如実に現れた。


「けどね、アタイの呪いは止まらな、いぃ!」


 全身にやけどを負って、キャトレイは今度こそ倒れる。


 キャトレイは、息をしていない。

 


 これで終わりなのか?


 

 息を整えていると、AIキャトレイたちがまた襲ってきた。


「どうして!? 術師は倒したのに!?」


「我々は、AI! 主人が死んでも、AIが記憶を引き継ぐ!」


 これが、キャトレイの狙い! キャトレイの、呪いか。


 永遠に続く、戦い。


「【アラマサ】!」


 一〇体以上いたAIキャトレイが、一瞬で消滅した。


 

◆  ◆  ◆


 

「来るのが遅いっ」


「悪い。対策していたら、遅くなった」


 オレは、刀をしまう。


「コイツは、お前さんの同級生だったんだな?」


 ムルルの亡骸を、見下ろす。


 一人だけ、服装が違う個体があった。コイツが、キャトレイとか言うやつだろう。ムルルを操っていた、本体だ。


「誰よりも優秀だったけど、そのせいで孤立して、悪いやつに利用されて」


「それなんだけどな。マリエが集めた情報によると、意図的だったらしい」


 ベリトがキャトレイを自分の配下にするため、孤立させていったという。


「キャトレイは、最初から狙われていた?」


「コイツが、というより、自分の手足になってくれる【冒険者】を、集めていたようだな」


 魔族は、ダンジョンから出られない。魔素が強すぎるため、外へ出ると魔力がすぐに枯渇する。外に出るなら、人間レベルにまで魔力を落とす必要があるのだ。


 だが冒険者なら、強い力を維持したまま、ダンジョンの外でも活動できる。

  

「なんてヤツ……許せない!」


「オレも、頭にきている。ちょうどよかった。ご丁寧に、案内状が来たぜ」


 ロニに、ベリトからのメールを渡す。


「魔王城にて待つ」としか、書かれていない。


 オレからすれば、これだけで十分だ。


「魔王城、場所わかるの?」


「ああ。ラストダンジョンだからな」


 ヒガン時代も、そこが最後のフィールドだった。

 嫌でも、覚えている。

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