第61話 旧友の最期
ロニは拳を腰に引き寄せて、魔力を収束させる。
喰らうがいい。【アメノハバヤ】と、精霊たちの複合技を。
「【フレア・スマッシュ】!」
青白い魔力弾を、拳から放つ。
ロニが繰り出せる、単体最強攻撃魔法だ。
「防御をし――」
キャトレイは、AIムルルを一体犠牲にしようとした。
ムルルごと、光球がキャトレイに炸裂する。
光球の爆発に、キャトレイは飲み込まれていった。
「こんなところで、死ぬなんて。脅威と思わなかった」
「あんたの悪いところは、そうやって閉じこもっていたところだ。安全圏に居座って、私と正面から向き合おうとしなかった」
これまでロニは、自分でも倒せないほどの強敵と戦ってきている。
戦闘力の違いが、如実に現れた。
「けどね、アタイの呪いは止まらな、いぃ!」
全身にやけどを負って、キャトレイは今度こそ倒れる。
キャトレイは、息をしていない。
これで終わりなのか?
息を整えていると、AIキャトレイたちがまた襲ってきた。
「どうして!? 術師は倒したのに!?」
「我々は、AI! 主人が死んでも、AIが記憶を引き継ぐ!」
これが、キャトレイの狙い! キャトレイの、呪いか。
永遠に続く、戦い。
「【アラマサ】!」
一〇体以上いたAIキャトレイが、一瞬で消滅した。
◆ ◆ ◆
「来るのが遅いっ」
「悪い。対策していたら、遅くなった」
オレは、刀をしまう。
「コイツは、お前さんの同級生だったんだな?」
ムルルの亡骸を、見下ろす。
一人だけ、服装が違う個体があった。コイツが、キャトレイとか言うやつだろう。ムルルを操っていた、本体だ。
「誰よりも優秀だったけど、そのせいで孤立して、悪いやつに利用されて」
「それなんだけどな。マリエが集めた情報によると、意図的だったらしい」
ベリトがキャトレイを自分の配下にするため、孤立させていったという。
「キャトレイは、最初から狙われていた?」
「コイツが、というより、自分の手足になってくれる【冒険者】を、集めていたようだな」
魔族は、ダンジョンから出られない。魔素が強すぎるため、外へ出ると魔力がすぐに枯渇する。外に出るなら、人間レベルにまで魔力を落とす必要があるのだ。
だが冒険者なら、強い力を維持したまま、ダンジョンの外でも活動できる。
「なんてヤツ……許せない!」
「オレも、頭にきている。ちょうどよかった。ご丁寧に、案内状が来たぜ」
ロニに、ベリトからのメールを渡す。
「魔王城にて待つ」としか、書かれていない。
オレからすれば、これだけで十分だ。
「魔王城、場所わかるの?」
「ああ。ラストダンジョンだからな」
ヒガン時代も、そこが最後のフィールドだった。
嫌でも、覚えている。




