第60話 生成AI対策
「威勢がいいのはいいけどさ、この数をどうやって倒しきるかね?」
「たしかにね」
これだけの数のムルルを倒すのは、至難の技だ。
『ロニちゃん、聞こえる?』
「マリエ!」
端末を通じて、マリエから連絡を受ける。
「どうすればいい? 敵が、ものすごい数。精霊たちでも、捕まえられない!」
ロニは、事情を説明した。
『わかったわ。生成AIね。だったら、対策は簡単よ』
マリエから、アドバイスを受ける。「地球のテクノロジーを学ぶなら、ミツルより自分が適任だ」、と。
「あんたはすごいよ、キャトレイ。性根は腐っても、スキルまではザビついていない。この根性を、他に活かせばよかったのに」
「アタイを受け入れてくれる場所なんて、どこにもないさ。冒険者ギルドって言っても、まだまだ平等ってわけじゃない。どんな手段を使っても、のし上がるしかないのさ!」
配信者となったのも、手っ取り早く稼げると思ったからか。
そんなはずがないのに。まだ、夢にすがりついているとは。
「それでも、あんたの負けだよ。キャトレイ。【レイジ・オブ・エレメンタル】!」
ロニは、ムルルたちに向かって精霊の雷撃を放つ。
「また、バカのひとつ覚えを……なんだと!?」
AIムルルが、キャトレイを見殺しにした。
精霊の雷撃をすべて喰らい、キャトレイが悶える。
「ど、どうして、勝手に避ける! アタイを守れよ!」
「ムリだよ。AIってのは、覚えたとおりにしか動かない」
なまじ知性があるだけに、クセを植え付けるのが容易なのだ。
何列もの雷鎚は、AIキャトレイたちを捉えた。
シュリによって鍛えられた、とっておきの雷撃だ。威力は、申し分ない。
たとえかわされたとして、どこまでも追い詰める。
「でもね、正確無比なガードで、アタイにはまったく攻撃は通らないよ!」
それは、どうか?
「レイジ・オブ・エレメンタル!」
全力の雷撃を、「AIのほう」へ叩き込んだ。
「一体ずつ倒すつもりかい?」
「そうじゃない」
AIのムルルたちが、自慢のデコった爪で雷を弾く。
弾かれつつも、ロニは雷撃をコントロールした。
電撃は、なおもAIムルルに向かっていく。
そのたびに、ホムンクルスたちは爪で弾き飛ばした。
「なにさ、一体も倒せ……がはあ!」
キャトレイの背後に、雷撃が直撃する。
「バカな!? どうしてアタイに!?」
「あんたの配下の防御が、正確無比すぎるんだよ!」
ちょっと軌道を変えてあげただけで、本命の敵を狙ってくれるのだ。
この戦法はかつて、ミツルがアンドラス相手に繰り出したスキルである。ヒガンと戦っているフリをして、アンドラスの首をヒガンのスキルで跳ね飛ばした。
「こんな芸当を教えてくれたのは、キャトレイ! あんたが散々バカにした男だよ!」




