第51話 無接続バザー
子作りがしたいと言ったら、マリエが仰天する。
「ミツル、アンタねえ。思春期の子どもだって、こっちに住まわせてるのよ? 聞き耳を立てられていたらどうするのよ!?」
「ロニは、里帰りさせただろう?」
今後、いつ異世界の方へ帰れるかわからない。ロニには出かけられるうちに、家族サービスをしておけと送り出した。
オーゼも、同様である。
「ロニちゃんがお留守の間に仕込みましょうとか、考えていないでしょうね!?」
「そんな発想はねえよ! オレをなんだと思ってやがる!?」
まあ、冗談はさておき。
「そっちの『無接続バザー』の方は、どうよ?」
「大儲け。物々交換界隈に、革命が起きているわ」
【フュージョン・ワールド】において、過疎っているサービスが一つだけあった。バザーシステムである。
アイテムをバザーに設置して、ユーザーとの間で同等のアイテムかリアルマネーで取引をするのだ。
このシステムが、なんともクソ仕様だった。
まず、売る側も買い手もオンライン上にいる必要がある。
アイテムをショップに置いて後はご自由にとはいかない。オンライン上で、両者が取引しなければならない。商売スキルも必要になってくる。
このやりとりが面倒で、「ショップを利用するくらいなら自分でアイテム掘りをする!」というユーザーが溢れかえった。
このクソ仕様は、リアルにダンジョンができた世界でも起きている。
そこでオレは、「レンタルBOX型フリーマーケット形式でアイテムを売買できるようにしてほしい」と提案した。
ギルドが設置したボックスに売りたいアイテムを預けておけば、勝手に商売をしてくれる。
このシステムは、近年のオンラインゲームで採用されたシステムから、拝借した。RPGの冒険者間で情報を交換し合って、発見したアイデアである。
この作戦は、思いの外うまくいったらしい。
「まあ、出るわ出るわ。自分のクラスでは使い物にならない素材や装備、消費アイテムなんかがズラズラーっとショップに並ぶようになったわ」
おかげで、こちらのアイテムはバカ売れ。また、こちらも必要なアイテムをオンライン上で集められるようになった。必要なら、ギルドのロッカーに送ってもらえる。
「素材とかは、シュリに渡したわ。装備を改造してもらえるわよ」
「ありがたいな」
素材掘りは、楽しい。しかし手分けして集めるには、少数では面倒だったからな。
「……それで、闇バイト利用者の割合は?」
「減ったわ」
よし、読み通りだ。
「ミツルのフリマ改革のおかげで、マーケットが活性化したおかげよ」
金の流れがスムーズになったことで、税関はあろうともビジネス自体は成立するようになってきた。
低所得者層が、潤うだけじゃない。アイテムが充実することにより、ダンジョン攻略も容易になってきたようだ。
おかげで冒険者たちの依頼達成度が、跳ね上がっている。ムリせずそれなりのダンジョンで稼いだら、まあまあの収益になったわけだ。
闇バイトの世話になることも、減少するだろう。
オレは低所得冒険者たちが闇バイトに転落するまでのシミュレーションをし、彼らが道を踏み外さないように方向性を導いた。人知れずに、だ。
解説しては、説教になっちまう。
なので、道筋を作ってやる。




