第49話 パーティの選択
宅配が届くということは、オレたちの住所が相手に知られているってわけだ。
「ミツル、どうしてそんなことに?」
「おおかた、ベリトが闇バイトでも雇ったんだろうな」
冒険者の一部が、ベリトに協力していると思っていい。
「後をつけられていたってこと?」
オレは、ロニからの質問にうなずく。
ギルドに知られず尾行するくらいなら、とくにリスクがなくても可能だ。
「これ以上違法ダンジョンに、関わるなってことか?」
「多分、そうかも知れないわね」
このしゃぶしゃぶセットも、アメとムチってわけか。
下手をすると、オレたちがダンジョンを巡っている間に、留守をしているマリエや、オーゼの家族に被害が及ぶかも。
「ダメだよ、そんなの」
「せやで。ワイの嫁はんやったら、冒険者くらい子ども抱きながらボコれるで」
オーゼの奥さんって、会計士だろうが。なんで力技ですべてを解決しようとしてるんだ?
「しかし、ロニのおふくろさんだって」
ロニの母親だって、標的にされているだろう。
オレが言うと、ロニも黙り込んだ。
「のんびりお肉をつついている場合では、ないわね」
それでも、マリエは肉を大量に茹でで口に運ぶ。
「言ってる側から、しゃぶしゃぶを堪能してんじゃん」
「悩んでいたって、仕方がないわよ。せっかくいただいたんだし。ミツルもほら。食べなさい。ほらほら、オーゼくんもロニちゃんも」
「若い衆にメシを食わせるおじさん」のように、マリエはロニたちのお椀にも肉を詰め込んでいく。
「ガンガン食べて、それから考えましょう」
「ああ。マリエだって、とっくに答えは出てるだろ? オレは出てるぜ」
「ええ。決着を付けましょう」
さすがマリエだ。結論が出てくるのが早い。
「大元は、ベリトでしょ? ベリトを倒せば万事解決するわよ」
闇バイトの支払い元も、ベリトのはず。
ベリトさえ叩けば、他の闇バイトさえ手出しはできまい。金だけで動いているはずだから、「親分を倒されて報復活動」なんてやってこないだろう。
「それに、ベリトのほうもそれを望んでいる」
「マリエ、どうしてそれがわかるの?」
興奮するロニを、マリエが「まあまあ」とたしなめた。
「ベリトがホントにロニちゃんの家族に危害を加えるつもりなら、とっくにやっているからよ。アイツは、そういう性格よ」
やるときはやる。しかし、今はその時ではないと、ベリトは判断したってわけだ。
「オレも同感だな。アイツは直接対決を望んでいるように思う」
特に、オレが強くなるのを待っている気がしてならない。
「だから、まだ時間はあるはずよ」
食事を終えて、オーゼは帰ることになった。
「嫁と娘が待っとるさかい、ワシは帰るわ」
「鹿肉を楽しんでね」
「おおきに。ほな」
オーゼが帰った後、オレはみんなに向き直る。
「しばらく、自由時間にしよう」
(第四章 完)




