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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第四章 FIRE失敗民 幻の財宝を求めて

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第49話 パーティの選択

 宅配が届くということは、オレたちの住所が相手に知られているってわけだ。


「ミツル、どうしてそんなことに?」


「おおかた、ベリトが闇バイトでも雇ったんだろうな」


 冒険者の一部が、ベリトに協力していると思っていい。


「後をつけられていたってこと?」


 オレは、ロニからの質問にうなずく。


 ギルドに知られず尾行するくらいなら、とくにリスクがなくても可能だ。


「これ以上違法ダンジョンに、関わるなってことか?」


「多分、そうかも知れないわね」


 このしゃぶしゃぶセットも、アメとムチってわけか。


 下手をすると、オレたちがダンジョンを巡っている間に、留守をしているマリエや、オーゼの家族に被害が及ぶかも。


「ダメだよ、そんなの」


「せやで。ワイの嫁はんやったら、冒険者くらい子ども抱きながらボコれるで」


 オーゼの奥さんって、会計士だろうが。なんで力技ですべてを解決しようとしてるんだ?

 

「しかし、ロニのおふくろさんだって」

 

 ロニの母親だって、標的にされているだろう。


 オレが言うと、ロニも黙り込んだ。


「のんびりお肉をつついている場合では、ないわね」


 それでも、マリエは肉を大量に茹でで口に運ぶ。


「言ってる側から、しゃぶしゃぶを堪能してんじゃん」


「悩んでいたって、仕方がないわよ。せっかくいただいたんだし。ミツルもほら。食べなさい。ほらほら、オーゼくんもロニちゃんも」


「若い衆にメシを食わせるおじさん」のように、マリエはロニたちのお椀にも肉を詰め込んでいく。


「ガンガン食べて、それから考えましょう」


「ああ。マリエだって、とっくに答えは出てるだろ? オレは出てるぜ」


「ええ。決着を付けましょう」


 さすがマリエだ。結論が出てくるのが早い。


「大元は、ベリトでしょ? ベリトを倒せば万事解決するわよ」


 闇バイトの支払い元も、ベリトのはず。

 ベリトさえ叩けば、他の闇バイトさえ手出しはできまい。金だけで動いているはずだから、「親分を倒されて報復活動」なんてやってこないだろう。


「それに、ベリトのほうもそれを望んでいる」


「マリエ、どうしてそれがわかるの?」


 興奮するロニを、マリエが「まあまあ」とたしなめた。

 

「ベリトがホントにロニちゃんの家族に危害を加えるつもりなら、とっくにやっているからよ。アイツは、そういう性格よ」


 やるときはやる。しかし、今はその時ではないと、ベリトは判断したってわけだ。


「オレも同感だな。アイツは直接対決を望んでいるように思う」


 特に、オレが強くなるのを待っている気がしてならない。


「だから、まだ時間はあるはずよ」

 

 食事を終えて、オーゼは帰ることになった。


「嫁と娘が待っとるさかい、ワシは帰るわ」


「鹿肉を楽しんでね」


「おおきに。ほな」


 オーゼが帰った後、オレはみんなに向き直る。


「しばらく、自由時間にしよう」



(第四章 完)

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