第48話 詫び肉
帰宅前、オレたちは郵便局により、荷物を預かった。
オーゼも、いっしょである。
送り主は、やはりベリトだ。間違いない。
「見なさいよ、ミツル。『高級黒毛和牛』って書いているわね」
「マジかよ。早く帰って食おうぜ」
こちとら、戦闘で空腹状態だ。この際、食えればなんでもいい。
本来なら鹿肉を大量ゲットしたので、ジビエって気分だった。
とはいえ、こちらを食わねば無礼というもの。
「余った鹿肉は、誰か持って帰る?」
ロニは、いらないと言った。
「ワイが、嫁と娘にプレゼントしょう。こんなん、絶対に喜ぶさかい」
「お前さん、家族がいるのか?」
意外である。てっきり硬派な人間だと、勝手に思い込んでいた。
「せやで。騎士団の会計士やってん。子どもができて、家庭に入ってるねんけどな」
地元の冒険者ギルドに、立ち寄る。鹿肉を直接、オーゼの家族に転送してもらうことに。
家に戻って、さっそく発泡スチロールの箱を開けた。
「うわあ。しゃぶしゃぶようのお肉よ。すごいわ」
「手紙もあるな」
封筒には、「詫び状」と書かれていた。
それよりも、メシだ。しゃぶしゃぶをスタートさせる。
「悪いな、キナ子。帰ってそうそう、野菜まで切ってもらって」
キナ子はまだ、修復が間に合っていない。ところどころ、痛々しかった。
『他のドロイドたちが手伝ってくれていますから、ご心配なく。それに動いている方が、気が紛れますし』
健気なやつだ。
キナ子のおかげで、オレたちは肉にありつく。
「いただきます……おいしい」
ため息を漏らすように、ロニが肉を頬張りながらうなずいた。
「たしかに。すき焼きダレで食っても、ウマいな」
生卵といただくと、これまた格別である。
「ホンマや。チキュウはええな。玉子を生で食う習慣なんて、ワイらの世界ではありえへん」
もの珍しそうに、オーゼは生卵に挑戦していた。
「そうなのか?」
「いくらチキュウの文化や習慣が流れてきてるっちゅうても、限界があんねん」
あちらの世界にも、許容できない文化などがあるわけか。
「それじゃあ、読み上げるわね」
マリエが、肉に同封されていた手紙を読む。
「仲間が勝手な行動をして、すまなかったね。この肉はお詫びということで、食べてくれ。ですって」
手紙を読み上げて、ようやくマリエも食事を取り始めた。味わってはいるが、箸は進んでいない。
アンドラスの行動は、ベリトの指示ではなかったという。神域【ダンビラ山】への違法ダンジョン建設予定も、白紙にしたらしい。
「特になんの問題も、ないじゃないか」
『なにを言っているんです? ミツルさん。大問題ですよ』
キナ子が、オレの発言をたしなめる。
「そうよ、一大事なんだから」
マリエまで。
ロニの箸が、急に止まった。
「そっか。わたしたちの居場所が、ベリトに特定されている」




