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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第四章 FIRE失敗民 幻の財宝を求めて

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第47話 天羽々矢

 山の裂け目からロニが手に入れた装備は、【アーマーリング】という種類らしい。

「金属製の指サック」と言えばいいのか、「指だけを覆う甲冑」と言えばいいか。

 とにかく金属製のプロテクターが、人差し指だけを覆っていた。


「私はまだチキュウに来て、日が浅くてさ。ニホンのカンジは、ニュアンスが難しくて読みづらいんだ」


 オレが言うと、手に入れたアーマーリングをロニが見せてくれた。

 

 装備品のテキスト画面を、確認する。


 

【天羽々矢】と、漢字で表記されていた。


 

「なるほど」


 オレでも読めん。


 てんはねや? 違うよなぁ。

 

 

「これは珍しい。【天羽々矢(あめのはばや)】か」


 

 ロニが人差し指にはめている指輪に、ギルドのおじさんが反応した。


「アメノ、ハバヤ、デスカ?」


 カタコトの地球語で、ロニはおじさんと会話する。


 ちゃんとギルド証に、翻訳機能があるでしょうが。


「神々が使っていたとされる、矢だよ」 


「そうなんだ、すごいね。こうやって、【レイジ・オブ・エレメンタル】ってスキルを打てるよ」


 対するロニも、スキルの発動方法を実践してみる。


 たしかに、ロニの指にハマっている装飾は、矢のように鋭い。


 妖精たちの怒りは、天の裁きなわけか。


「この【黄金鹿の皮】を使って、フードを強化してくれ」


「いいな、それ。最高クラスの素材じゃーん」


 オレの持つ素材を見て、シュリもノリノリになる。


「どんな効果があるの?」


「脳みそが、二つになる」

 

「……???」


 ロニが首をかしげた。説明が、ヘタくそすぎたな。


「つまり、この素材で強化した頭防具を装備したら、魔法が二つ撃てる」


「すっご」


 つまり、【レイジ・オブ・エレメンタル】を発動しながら、別の属性魔法も発射できるわけだ。これでは、もはやチートに近い。


「よし。完成したぞー」


 シュリが、ロニに完成したフードをかぶせる。


「鹿の皮を、裏面に縫い付けたぞー」


「ありがとう。これ、すごくかぶり心地がいい」


「そりゃそうだよなー。女の子だもんなー。おしゃれは気にするよなー」


 うっとりしているロニを、シュリが茶化す。


「からかわないでよね。でも、ありがとう」


「似合ってるぞー」


 オレたちの装備を更新し終えたところで、キナ子が帰ってきた。


 キナ子の隣にいるマリエが、青ざめている。


「はしゃいでいるところ悪いんだけど、すぐに戻りましょ。とんでもないことになったわ」


「どうした?」


「不在票が届いていたから、荷物を取りに行っていたの。高級和牛を、お中元にもらったわ」


 お中元とか、いまどき律儀だな。


「誰から?」



「ベリトからよ」

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