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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第四章 FIRE失敗民 幻の財宝を求めて

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第44話 古代の刀:アラマサ

 ギルドへ戻る。


 装備品のチェックも必要だったが、より真っ先にすべきなのは、キナ子のメンテだった。


「じゃあ、ミツル。あたしは、キナ子のボディチェックをするから」


 キナ子はもう、ボロボロである。ムリもない。ずっと、【マジックバリア】を張りっぱなし。その上、アンドラスの攻撃を一手に引き受けていた。


 ロニやオーゼがほぼ無傷なのは、キナ子の奮闘のおかげである。

 

「悪いな。オレたちのために盾になってくれて」


『構いません。仕事なので』


 マリエはキナ子をストレッチャーに乗せて、メンテを急ぐ。

 キナ子のメンテルームは、ギルドにあるようだ。ドローンやドロイドを修理するスペースが、最近できたらしい。


 オレたちは、シュリやギルドの管理者に、拾った刀を見せた。

 

「これは【古代の刀:アラマサ】だな」


 管理者のおじいさんが、アゴに手を当てながら話す。


「じゃあこれが、平安時代に活躍したっていう武器なんだな?」


「もっと前だよ」


 かつて神様が、大蛇退治の際に使ったとされる武器なんだとか。


「ヤマタノオロチがどうの、ってのか?」


「そこまでは、わからないんだよ」


 ギルドのおっさんも、首を傾げた。

 

「オロチの撃退に使ったなら、真っ直ぐな刀身を持つ【剣】のはずなんだ。それは形状が、【刀】なんだよ」


 誰かがアラマサを刀に鍛え直したのか、元々こういった形なのか、ギルドでさえ検討もつかないらしい。


 そんな伝承があるとは。


「言い伝えでは、『一振りで一〇回攻撃できる』って言われているよ」


 グネグネした特徴的な刀身は、「パワーの余剰放出によって、折れ曲がってしまった」のだろう、とのこと。


「たしかに一〇箇所、折れ曲がっているぜ」


「うむ。素材があれば、多少は復元できるかもしれないね。優秀な鍛冶屋は……このコがいるから大丈夫だろう」


 おじいさんは、シュリに絶対の信頼を寄せていた。


「あるぜ。素材なら、わんさかだ」

 

 巾着型の【アイテムボックス】に触れると、眼の前にウインドウが広がる。


 ヒガンの力が戻って一番うれしかったのは、【アイテムボックス】を買わなくて済んだことかも。


 アイテムボックスは、最高だ。自動より分け機能があるし、腰に下げる巾着型だから、戦闘中にも邪魔にならない。

 ロニのようなポシェット型もいいが、オレは巾着型で十分だ。


「どれがほしいか、指定してくれ。用意する」


 オレはヒガンのアイテムボックスから、様々な素材を提供する。


「おーっ。どれも貴重な素材ばかりだぞ」


 やはりシュリなら、このアイテム郡の効果がわかるようだ。


 オレだと名称は判別できても、用途や効果はわからないんだよなあ。


「足りるか? 不足しているなら、取りに戻るぜ」


「いい。三回復元できるくらい、揃ってるぞ」


 シュリはさっそく、ギルドの工房を借りて作業を始めた。


「できたぞ」


 あっという間に、サビついた刀がきれいな形状に戻る。一瞬で装備品が完成する辺りは、リアルじゃなくてゲームぽいな。ストレスがなくて、利用する側としてはいいけどね。


「こんな姿をしていたのか」


 刀が、手に吸い付いてくる。


[【古代の刀:アラマサ】を手に入れました。【魔法戦士】にクラスチェンジしますか?]


 なにやら、謎のアナウンスが流れてきたぞ。


 魔法戦士だと?

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