第42話 伝説の一撃
「これは、おちおちと過去のオレと戦っているヒマはなさそうだ。おい、いいかげんやられちまえ」
オレはジョーク半分で、ヒガンのデータ集合体に呼びかけてみた。
だが、ヤツは心などないという風に、攻撃を繰り返してくる。
『ムダです、ミツルさん。相手はデータの集まりなんですから』
「ホントに、ゲームキャラみたいなヤロウだな! なんて、融通のきかねえ!」
あっちは、あっちで大変だってのに。
キナ子もオーゼ・アイザックも、アンドラスとやらの攻撃に苦戦している。
アンドラスとやら、かなり強い。魔法障壁である【マジックオーラ】も、一撃で軽々と剥がしてしまう。
防御を上げておいて、よかったぜ。
「レイジ・オブ・エレメンタル!」
唯一まともに戦えているのは、ロニくらいだろうが。
「私に気を使わないで! 二人で攻撃を!」
「大丈夫や、やっとる! せやけど、通じへんのや!」
丸太さえ軽々と持ち上げるオーゼの攻撃も、硬いアンドラスの皮膚を抜けきれない。
キナ子の攻撃力も、かなり上げたつもりなのだが。
ココに来て、規格外の敵が現れたな。
キナ子とオーゼでアンドラスの動きを止めて、ロニの雷撃をかますくらいの攻撃しかできない。ガチで、妖精頼みだ。
あのままでは、ロニの魔力回復が追いつかないぞ。
「ムダだ。オレサマとマトモに戦えるのは、ヒガンのみ。そのヒガンさえ、もはやオレサマの敵ではないようだ」
そうかよ。
「マジでくたばれって、ヒガン! 空気読もうな!」
こっちはこっちで、ヒガンに一撃も与えられないってのに。
切り込んでも、懐にヒジを食らって、投げ飛ばされてしまう。
やっぱり、惚れ惚れするほど強いぜ。かつてのオレは。
「だが、そこが狙い目だ」
ようやく、ヒガンの動きにも慣れてきた。
相手の追撃にも、オレは対処する。
「お前はしょせん、過去のオレ。今のオレは、未来に生きている!」
オレはバスタードソードを逆手持ちにして、ヒガンに斬り掛かった。
だがヒガンは、オレの剣を蹴る。
剣は、上空を飛んだ。
「ミツル!?」
「問題ない。おらあ、【天啓】、からのぉ【ヒート・スマッシュ】!」
オレも、宙に浮いた剣を蹴り飛ばす。確定クリティカルと、魔法による加速攻撃も乗せて。
さらに、ヒガン……ではなく、アンドラスに向けて。
「ぐお!?」
アンドラスの目に、オレの剣が突き刺さった。
「いけぇ、ロニ!」
「レイジ・オブ・エレメンタル!」
ロニが放った電の光は、アンドラスの目に刺さった剣に殺到する。
「ぎょおおおおお!」
体の内部を焼かれて、アンドラスが絶叫した。
だがヒガンは、オレへの攻撃をやめない。足に風属性の魔法をまとわせて、キックを放つ。
「おのれえ! この程度で、オレサマが、がぁ!?」
アンドラスの首が、「ヒガンのキック」によって打ち落とされた。




