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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第四章 FIRE失敗民 幻の財宝を求めて

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第42話 伝説の一撃

「これは、おちおちと過去のオレと戦っているヒマはなさそうだ。おい、いいかげんやられちまえ」


 オレはジョーク半分で、ヒガンのデータ集合体に呼びかけてみた。


 だが、ヤツは心などないという風に、攻撃を繰り返してくる。


『ムダです、ミツルさん。相手はデータの集まりなんですから』


「ホントに、ゲームキャラみたいなヤロウだな! なんて、融通のきかねえ!」


 あっちは、あっちで大変だってのに。


 キナ子もオーゼ・アイザックも、アンドラスとやらの攻撃に苦戦している。

 アンドラスとやら、かなり強い。魔法障壁である【マジックオーラ】も、一撃で軽々と剥がしてしまう。

 防御を上げておいて、よかったぜ。

 

「レイジ・オブ・エレメンタル!」

 

 唯一まともに戦えているのは、ロニくらいだろうが。


「私に気を使わないで! 二人で攻撃を!」


「大丈夫や、やっとる! せやけど、通じへんのや!」


 丸太さえ軽々と持ち上げるオーゼの攻撃も、硬いアンドラスの皮膚を抜けきれない。


 キナ子の攻撃力も、かなり上げたつもりなのだが。


 ココに来て、規格外の敵が現れたな。


 キナ子とオーゼでアンドラスの動きを止めて、ロニの雷撃をかますくらいの攻撃しかできない。ガチで、妖精頼みだ。


 あのままでは、ロニの魔力回復が追いつかないぞ。


「ムダだ。オレサマとマトモに戦えるのは、ヒガンのみ。そのヒガンさえ、もはやオレサマの敵ではないようだ」


 そうかよ。


「マジでくたばれって、ヒガン! 空気読もうな!」


 こっちはこっちで、ヒガンに一撃も与えられないってのに。

 切り込んでも、懐にヒジを食らって、投げ飛ばされてしまう。


 やっぱり、惚れ惚れするほど強いぜ。かつてのオレは。


「だが、そこが狙い目だ」


 ようやく、ヒガンの動きにも慣れてきた。

 相手の追撃にも、オレは対処する。


「お前はしょせん、過去のオレ。今のオレは、未来に生きている!」


 オレはバスタードソードを逆手持ちにして、ヒガンに斬り掛かった。


 だがヒガンは、オレの剣を蹴る。


 剣は、上空を飛んだ。


「ミツル!?」


「問題ない。おらあ、【天啓】、からのぉ【ヒート・スマッシュ】!」


 オレも、宙に浮いた剣を蹴り飛ばす。確定クリティカルと、魔法による加速攻撃も乗せて。

 さらに、ヒガン……ではなく、アンドラスに向けて。


「ぐお!?」

 

 アンドラスの目に、オレの剣が突き刺さった。


「いけぇ、ロニ!」


「レイジ・オブ・エレメンタル!」


 ロニが放った電の光は、アンドラスの目に刺さった剣に殺到する。

 

「ぎょおおおおお!」


 体の内部を焼かれて、アンドラスが絶叫した。


 だがヒガンは、オレへの攻撃をやめない。足に風属性の魔法をまとわせて、キックを放つ。


「おのれえ! この程度で、オレサマが、がぁ!?」


 アンドラスの首が、「ヒガンのキック」によって打ち落とされた。

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