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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第四章 FIRE失敗民 幻の財宝を求めて

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第41話 伝説 対 現役

◆ 幕間 ミツルの真の実力 ◆


 ロニから見て、ミツルとヒガンの戦いは、異次元そのものだった。


 ヒガンの繰り出す拳やケリを、ミツルはすべて剣や盾で防ぐ。

 その光景は、まるで二つの竜巻がぶつかり合っているかのようだ。

 同じ力で拮抗しあい、それでいて混ざり合うわけでもない。根っこのところで、譲り合おうとしていないのだ。


 ヒガンは、ただひたすらに相手を崩す。決定打を狙うためだろう。

 

 対するミツルは、防御一辺倒だ。


 攻撃を受け止めるミツルの姿は、鏡に向かってシャドーでもしているように映る。


 攻撃のクセなどは、ヒガンもミツルも似たようなものだった。

 しかし、相手が風魔法などを付与して攻撃してきたら、自身も風属性を武器に付与して防いだ。


 いつもはロニの指導で、魔法攻撃などを専門的に扱うのに。

 

 ロニは、ミツルの本当の強さを見た気がした。


 やはりミツルは、魔法に頼らなくても強い。

 魔法に対抗するため、ロニに魔法を習っていたのだろう。



◆  ◆  ◆



「ひいい、強え!」


 拳の素早さに、追いつけない。

 自分で作っておきながら、結構屈辱的だぜ。

 過去の自分に、押されているなんて。


 どんな構成にしたんだよ、過去のオレは!


 こうなったら。


 オレは、わざと盾に蹴り込ませた。


 防具を失ったオレに、ヒガンが必殺の抜き手を繰り出す。


「甘いんだよ!」


 オレは前進して、抜き手を胸の装甲で受け止めた。


「おっごお!」


 アバラが二、三本やられたか。


「ミツル!?」


「問題ねえ! 【ヒート・スマッシュ】!」


 オレは武器に魔法付与を行い、剣を加速させた。ヒート・スマッシュで上がるのは、攻撃力だけではない。周辺に漂う空気を破裂させることで、剣の速度も上げるのだ。


 袈裟斬りで、ヒガンの胸部を斬り裂く。


 しかし、ヒガンはすぐ後ろに下がって、致命傷は避けた。

 

「浅かったか」


【バスタードソード】のリーチでは、ヒガンに傷をつけるだけで精一杯か。


「【天啓】でも、かましておけばよかったぜ」


 とはいえ、すばしっこいヒガンを相手に、魔力の大半を失う天啓を使うのは大博打だ。


 じっくり、殴り合うしかないか。



「珍しい戦をしているものだ」


 別の魔物が、岩場に出現した。フクロウの顔を持ち、ドラゴンの鱗に覆われている人型の魔物である。


「オレサマは、魔王バールの側近だった者。アンドラス。違法ダンジョン開発を邪魔するお前たちを、排除しに来た」


「ベリトの指示か?」


「ハン。ベリトのなんぞ生ぬるい。もっと積極的に違法ダンジョンは作られるべきだ。望む冒険者も多いのだから、すべて犠牲にしてしまえばよい」


 どうやらコイツは、ベリトの別働隊どころか、対立勢力のようだ。しかも、コイツらのほうが話が通じなさそう。

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