第38話 ロニの必殺スキル 【レイジ・オブ・エレメンタル】
◆ 幕間 ロニと妖精たち ◆
ミツルたちが戦っている間、ロニは岩山を降りていった。
本当なら、今すぐにでもミツルを助けに行きたい。
だが、自分が行ったところでどうにもならないだろう。
それに、オーゼ・アイザックという頼もしい騎士も助っ人に来てくれた。
ならば自分ができるのは、急いで財宝をゲットすることだけ。
しばらく降りると、映像にあった裂け目が見えてくる。ここに、財宝があるに違いない。
身体を横に向けて、ロニは縦に割れた岩の隙間を這って進んでいく。
「よし。着いた」
少し進んだ後、ロニは開けた場所に到着した。
そこには、石でできた小さな祭壇が。
ポワア、と、光る珠が置かれていた。珠には、紐が通っている。
「これは……うわ!?」
ロニが持っていた【妖精の指輪】が、光を放つ。
指輪から、一体の光る小さな物体が現れた。
背中に蝶の羽が生えているその姿に、ロニは見覚えが。
「あなたは?」
この物体は、ロニが助けた妖精である。
妖精は、珠に近づいていった。フヨフヨと波を打つように飛んで、珠の上に座る。
仲間だろうか、妖精と同じような物体が次々と珠から生まれてきた。
ロニに向けて、妖精が手を差し伸べてくる。
「この珠に、触ればいいの?」
頭に直接、そう言われた気がした。
導かれるままに、珠に触れる。
珠が、スキルであることがわかった。
これは、【レイジ・オブ・エレメンタル】というのか。
魔力をまとった妖精たちが、敵めがけて体当たりをしてくれるスキルらしい。
「よし」
急いで山の頂上へ戻り、ミツルの加勢に向かう。
◆ ◆ ◆
「いつまで続くんや、これは!」
さすがのオーゼも、これだけの数をこなすのは骨が折れるか。
「魔物は人間と違うて、脅しがきかんさかい難儀や!」
「ロニが戻るまで、ガマンしろ!」
「せやな!」
せっかく一区画をすべて駆除しても、また別のところから魔物が湧く。
やはり、ロニが戻ってくるまでの耐久無限湧きらしい。
無事に帰ってきてくれよ。
「みんな、力を貸して、レイジ・オブ・エレメンタル!」
背後から、ロニの声が。
振り返った瞬間、轟雷が真横に飛んできた。
その場にいた魔物たちを、地を這うイカヅチが一気に蹴散らす。
無限湧きかと思われた魔物たちが、一撃で消し飛ぶ。
「ようやく戻ったか」
「遅くなってごめん、ミツル!」
ロニが、無数の妖精たちを引き連れて帰ってきた。魔物まで追っ払って。
「アイツだね? 行け!」
妖精たちがロニの指示で、山伏まで攻撃する。
高みの見物を決め込んでいた山伏にも、ダメージが通ったようだ。山伏は森の奥へと、逃げていく。
「おまたせ、ミツル」
「おかえり。すげえな、ロニ」
ロニの元に、妖精たちが戻ってきた。
「【レイジ・オブ・エレメンタル】だってよ、すげえな」
「嬢ちゃん、ちっこい顔の割に、物騒やないか。せやけど、おかげで助かったで」
俺もオーゼも、ロニに礼を言う。
「妖精たちの怒りを、ぶつけていいんだね」
これで、ロニもパワーアップしたようだ。
まさしく、伝説の武器にふさわしい攻撃力である。
だが、妖精たちが勝手な行動をし始めた。フヨフヨと、山の奥へと飛んでいくではないか。
「……呼んでいる?」
まだ、先があるらしい。




