第36話 耐久ミッション
[耐久ミッション:森の試練を切り抜けろ]
思ったとおりだ。これは、耐久ミッションである。
耐久ミッションは、一定時間、魔物の猛攻を耐えればいい。
「ミツル、大丈夫!?」
「心配するな、ロニ! お前は、お宝を探すことだけに集中しろ!」
引き返そうとしてきたロニに、オレは声をかけた。
「キナ子、ロープを支えておいてくれ。オレが始末する!」
大型の【タワーシールド】を構えて、耐久ミッションに備える。
前回の登山で、さっそく【クレイモア】より強い武器を拾った。【バスタードソード】という、片手でも両手でも持てる剣である。
うむ。バスタードソードの切れ味は見事だ。
あれだけ苦戦していたシカの角を、簡単に両断しちまうとは。
とはいえ、数が多いな。
一体のシカが、妙な動きをしている。
クマの手に、自分の角を当てていた。
シカから魔力を受け取ったのか、クマの手が竜巻をまとう。
あのヤロウ、クマに【エンチャント】してやがる!
「ぐお!」
風属性エンチャントを受けたクマの攻撃が、オレの盾を突き抜けてきた。
【ヒドラスーツ】がなかったら、危なかったかも。
「このヤロウ! 【シールドバッシュ】!」
クマのアゴに、盾でパンチを食らわせた。
そのまま、クマは崖へと落ちていく。
『大丈夫ですか、ミツルさん? 【マジックオーラ】をどうぞ』
キナ子がオレを、薄い魔力の膜で覆ってくれる。
「おお、すまん」
続けざまに襲ってきたクマも、腹に一撃を食らわせた。
絶命したクマが、アイテムを二つドロップする。
どうやら、落ちていったやつの分までは吐き出したらしい。
『ミツルさん、わかりますか? 上空になにかいます』
キナ子が、空を見上げる。
上空には、山伏の格好をした人間が、腕を組んでいた。カラス頭のメットか頭巾を被り、仁王立ちをしている。人間なのかどうかも、怪しい。
アイツが、この魔物たちを操っているのだろう。
「ああ。あれは、上位存在のようだな」
ヤツを倒さないと、この耐久は終わりそうにない。
それにしても、早くも【ヒドラスーツ】が限界に来ているぞ。
耐久が低いわけではなく、防御力だってまったく申し分ない。
炎、氷結、雷など、すべての魔法に対して、わずかながら耐性もある。
この上ない、最強装備の一つだ。
ただ、このスーツはタンク向けの装備である。
オレのファイトスタイルと、致命的に合わない。
ファイトスタイルを検証してみて、オレは「物理で殴るタイプ」の戦士になりたいんだよな。タンクになりたいわけじゃないのだ。
さっそく、オレはここの魔物たちが落とす装備のほうに惹かれているし。
シカの角でできた杖に、皮を使った【上質なディア・レザーアーマー】、クマは【ボルケーノ・ベア】より若干弱いものの、落とす装備の属性を選ばない。
アイテムのドロップ率も、格段に上がった。【ウサギの足】という、木の枝を拾ってからだ。幸運を呼ぶ、アイテムなのだろう。
「しかし、タンクは慣れない!」
『戦局の見極めは、完璧ですが?』
「それだけでも、まだ不十分だ」
タンク担当なら、【モンク】のキナ子がいる。自分を回復しながら、【マジックオーラ】で、みんなを守護することができるわけで。
とはいえ今後は、キナ子も攻撃担当になったほうがいいかも。
物理的に、人が足りていない。そろそろ少数精鋭というわけには、いかなくなったきたな。
オレが暫定的にやってはいるが、適任者を探さないと。
「おらあああ!」
魔物たちが、槍から放たれた氷属性魔法の一撃で、吹っ飛んでいく。
魔法を撃った人物が、オレの前に降り立つ。
「アイザックじゃ! 神妙にせえよオラぁ!」




