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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第四章 FIRE失敗民 幻の財宝を求めて

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第36話 耐久ミッション

[耐久ミッション:森の試練を切り抜けろ]


 思ったとおりだ。これは、耐久ミッションである。


 耐久ミッションは、一定時間、魔物の猛攻を耐えればいい。

 

「ミツル、大丈夫!?」


「心配するな、ロニ! お前は、お宝を探すことだけに集中しろ!」


 引き返そうとしてきたロニに、オレは声をかけた。

  

「キナ子、ロープを支えておいてくれ。オレが始末する!」


 大型の【タワーシールド】を構えて、耐久ミッションに備える。


 前回の登山で、さっそく【クレイモア】より強い武器を拾った。【バスタードソード】という、片手でも両手でも持てる剣である。


 うむ。バスタードソードの切れ味は見事だ。

 あれだけ苦戦していたシカの角を、簡単に両断しちまうとは。


 とはいえ、数が多いな。


 一体のシカが、妙な動きをしている。

 クマの手に、自分の角を当てていた。


 シカから魔力を受け取ったのか、クマの手が竜巻をまとう。

 

 あのヤロウ、クマに【エンチャント】してやがる!


「ぐお!」


 風属性エンチャントを受けたクマの攻撃が、オレの盾を突き抜けてきた。


【ヒドラスーツ】がなかったら、危なかったかも。


「このヤロウ! 【シールドバッシュ】!」


 クマのアゴに、盾でパンチを食らわせた。


 そのまま、クマは崖へと落ちていく。



『大丈夫ですか、ミツルさん? 【マジックオーラ】をどうぞ』

 

 キナ子がオレを、薄い魔力の膜で覆ってくれる。


「おお、すまん」


  続けざまに襲ってきたクマも、腹に一撃を食らわせた。


 絶命したクマが、アイテムを二つドロップする。


 どうやら、落ちていったやつの分までは吐き出したらしい。


『ミツルさん、わかりますか? 上空になにかいます』


 キナ子が、空を見上げる。


 上空には、山伏の格好をした人間が、腕を組んでいた。カラス頭のメットか頭巾を被り、仁王立ちをしている。人間なのかどうかも、怪しい。

 アイツが、この魔物たちを操っているのだろう。

 

「ああ。あれは、上位存在のようだな」


 ヤツを倒さないと、この耐久は終わりそうにない。

 

 

 それにしても、早くも【ヒドラスーツ】が限界に来ているぞ。


 耐久が低いわけではなく、防御力だってまったく申し分ない。

 炎、氷結、雷など、すべての魔法に対して、わずかながら耐性もある。

 この上ない、最強装備の一つだ。


 ただ、このスーツはタンク向けの装備である。

 オレのファイトスタイルと、致命的に合わない。


 ファイトスタイルを検証してみて、オレは「物理で殴るタイプ」の戦士になりたいんだよな。タンクになりたいわけじゃないのだ。


 さっそく、オレはここの魔物たちが落とす装備のほうに惹かれているし。


 シカの角でできた杖に、皮を使った【上質なディア・レザーアーマー】、クマは【ボルケーノ・ベア】より若干弱いものの、落とす装備の属性を選ばない。

 

 アイテムのドロップ率も、格段に上がった。【ウサギの足】という、木の枝を拾ってからだ。幸運を呼ぶ、アイテムなのだろう。


「しかし、タンクは慣れない!」


『戦局の見極めは、完璧ですが?』


「それだけでも、まだ不十分だ」

 

 タンク担当なら、【モンク】のキナ子がいる。自分を回復しながら、【マジックオーラ】で、みんなを守護することができるわけで。

 とはいえ今後は、キナ子も攻撃担当になったほうがいいかも。


 物理的に、人が足りていない。そろそろ少数精鋭というわけには、いかなくなったきたな。

 

 オレが暫定的にやってはいるが、適任者を探さないと。


「おらあああ!」


 魔物たちが、槍から放たれた氷属性魔法の一撃で、吹っ飛んでいく。


 魔法を撃った人物が、オレの前に降り立つ。


「アイザックじゃ! 神妙にせえよオラぁ!」

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