第33話 ダンビラ山
そうだ。ひとつ忘れていた。
「シュリ、コイツを渡しておこう」
ロニに、ペンダントを渡す。【蛇毒の瞳】という、毒攻撃を緩和するアイテムだ。
毒を無効化する【ヒドラスーツ】を手に入れたので、必要がなくなったのである。
「ありがとう、ミツル」
最後に、ステータス振りを行う。
そろそろ本格的に、攻撃が通用しなくなってきた。攻撃力や耐久力に振っていく。
自動回復アイテムを、ロニの母親からもらっている。魔力を優先する必要は、なくなった。
「よし。これで行くぞ」
オレたちはポータルを使って、【ダンビラ山】に到着する。
ダンビラ山は異世界に現れたダンジョンだが、平安時代から存在はしていた。
難易度はCであり、冒険者の数も制限されている。上級の修験者用のダンジョンとして、平安時代から霊能力者の間で活用され続けてきたという。
『ミツルさん。霊能力者って、本当にいたのですね?』
「そのようだな」
驚くところって、まずはそこだよな。霊能力者が実在していることこそ、公表すべきだと思うのだが。
「修験者用のダンジョンだから、あまり荒らされてこなかったわけか」
「こんなパワースポットには、強力なアイテムが眠っていることが多いんだって。私の故郷でも、魔法科学校でそういう山に登らされたよ」
ロニが、山のTIPSを確認した。
誰にも触れられず荒らされず、自然界のエネルギーを取り込める、と。
「禁忌に触れるな的妨害とかは、あるだろうな」
「かもしれない。モンスターが仕掛けてくるかもね」
ならば、慎重に行こう。
登山用の装備は、特に必要ないって言われたけど。
「大丈夫そうか、ロニ?」
「たぶんね」
ロニはブーツだけ、登山用に履き替えていた。
『ここはかつて、不法冒険者が度々訪れていたそうです』
身分を偽って、多くの冒険者がレアアイテムを求めてこの山に入ったらしい。
「そいつらは、どうなった?」
『誰も、帰ってこなかったそうですよ』
キナ子は、首を振る。
「こんな光景じゃあな」
コケだらけの山を見て、オレは登るのを断念しそうになった。
「ここを、這い登るのかぁ」
山を見上げながら、オレは腰に手を当てる。
登れそうなスポットを探すが、ツルツル過ぎてとても上がれそうにない。迂回するしかなさそうだが。
「これは、ひと仕事だぜ」
『問題ありません。ワタクシがサポート致します。ご安全に登山いたしましょう』
「お前さんは、飛んだりはできないんだよな」
『はい。飛行機能も搭載は可能でしょうけど、すぐにエネルギー切れを起こすと、マリエ様が』
だよね。キナ子は、精密機械の塊だ。機能を停止してしまったら、オレたちは帰ることすら困難になるだろう。クソ重いキナ子も連れて帰らなければならない。
「遠回りだが、安全なルートを行こう。登れそうなポイントがあったら、登る」
「そうしようか」
オレとロニは、迂回ルートを選んだ。
キナ子だけ、コケむした岩を登り始める。
「いけそうか、キナ子?」
『ワタクシは手のひらに、接着機能がございます。一旦岩から登ってみて、皆様をサポートいたしますね』
色々と試しつつ、登っていくつもりのようだ。好奇心のほうが、勝ったか。
「気をつけろよ、キナ子。魔物も潜伏しているからな」
『お二方も、ご安全に』




