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世界にダンジョンができたせいでセミリタイアに失敗した男、冒険者になって無双  作者: 椎名 富比路
第四章 FIRE失敗民 幻の財宝を求めて

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第32話 専属鍛冶屋 シュリ・エビハラ

 シュリは、オレたちに名刺を配る。

  

「ほんじゃ、改めて。オイラはシュリ。鍛冶師エビハラ一族の末っ子なー」


 聞くと、エビハラ家は冒険者ギルドの鍛冶屋全般をサポートしているらしい。

 その規模は、異世界だけではなく、地球にも及んでいる。


「今日から、ミツルのパーティでお世話になるぞー」


「そんなすごい人が、どうしてオレたちのような弱小パーティの専属に?」


「面白そうだからだぞー」


 というのはシュリの弁だが、実際はそういう仕様らしい。


 ある一定のレベルになると、鍛冶屋を専属で雇えるという。

 ここまでくると、ギルドや他パーティと鍛冶レベルの共有とはならない。独自の進化を遂げていく。


「昔は【レジェンダリ】クラスのアイテムくらいなら、自力で作れたらしいけどなー」


 太古の昔、神様から依頼されて、最強の素材でアイテムを作っていたという。


「今はそんなこと、できないけどなー。素材も少なくなったし」


「でも、今回行くダンジョンは、【神域】に近い素材が手に入るそうじゃない」

 

「らしいけどなー。オイラもわかんねえんだよなー。伝説っていうくらいだから、あくまでも伝説なんだよなー」


 その伝説とやらを、シュリは話してくれた。


「【ダンビラ山】っていってな。平安時代とかそういった時代から存在する神山なんだよなー」


 そこには、伝説のカタナが眠っているというのだ。


「しかしなー。そんなカタナを打ったっていう鍛冶屋の存在も、忘れられていてなー」


 ドワーフ族の間でも、伝説のカタナの存在は知られていないらしい。


 また、レジェンダリ級と言っても、めちゃくちゃ強いわけではないという。


「アイテムの等級ってなー。『珍しさ』が最優先なんだ。だから『単に珍しいだけで、アイテムとしては大ハズレ』って可能性もあるんだよなー」


「ハズレアってやつだな」


 オレも、よく掴まされた。


 激レアアイテムだから、さぞ強い効果があるのだろうと思ったら、ただの換金性が高いアイテムだったことはよくある。高い効果があるものもあるが、デバフのほうが目立つアイテムも。

 

 よくオレも、泣かされたっけ。


「ロニは、聞いたことがあるか? カタナって言えば、異世界では魔道具なんだろ?」


 サブ武器としてロニが所持しているのも、守り刀である。


 だが、ロニは首を振った。


「魔道具に関しては、専門外でさ。私も、詳しくないんだ」

 

「まあ、今は手持ちでなんとかやってやるぞー」


 さっそく、装備品の見直しをしてもらう。


【ファイアソード】などの単一属性持ちの武器が、敵によっては使い物にならないとわかった。


「物理で強化して、エンチャント効果が増すように改造するぞ」


「頼むよ」


 慣れた手つきで、シュリはファイアソードを【クレイモア】に戻す。


「なににしようかな。コイツがいいな」


 オレが拾ったアイテムから、シュリは適当なものを見繕う。


「ほい。【クレイモア + 三】な。クレイモアの強化は、これが限界だからなー。より装備が欲しかったら、敵から拾って調達してくれなー」


「助かる」


 後は、キナ子の装備を更新した。オレが使っていた鉄の胸当てに、さらなる魔法耐性を付与する。

 

「お前の手甲は、炎以外の属性攻撃ができるようにしたぞー」


『感謝致します。シュリさん』


 ボルケーノベアが落としたレザーは、ロニの新しいフードとマントに変わった。


「ありがとう、シュリ」


「お互い、新天地でもがんばっていこうなー」


「うん」

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