第30話 焼肉パーティ
オレとロニ、マリエで焼肉屋の個室へ。
キナ子を見て、ちびっこが「お給仕ロボを連れている」とはしゃいでいた。
事情を知らない人から見ると、そう見えちゃうんだな、キナ子って。
オレたちの外見は冒険者風ではない。
装備品はすべて、ギルド管理のロッカーに預けている。
異世界の品物は、地球に持ち出しても作動しない。魔素がないためだ。
「では、ロニちゃんの無事生還を祝して、乾杯」
マリエの音頭で、乾杯になる。
全員飲めないので、ソフトドリンクだが。
「意外だった。運転手のマリエが飲まないのはわかっていたけど、ミツルもお酒がダメだなんて」
「飲めそうな顔しているから、よく催促されちゃうのよね」
そうなんだよなあ。友人たちも、不思議がっていた。
「基本的にアルコールは苦手なんだ。頭が痛くなるんだよな」
「軽いデバフだね」
「二日酔いの場合、毒よりキツいぞずっと続くから」
キナ子は、ずっと肉を焼く。
「キナ子もお肉を、食べられたらいいのに」
ロニがキナ子が焼いてくれたハラミをパクリ。
『お気遣いなく。焼くのがスキなのです』
キナ子は楽しげに、肉を焼き続けた。ホルモン系の焼き加減も、バッチリだ。
「キナ子は大活躍だったから、今日の戦果で新しいパーツに取り替えてあげるわ」
捜査協力費用で、特別手当が出たらしい。
「ざっとこれくらい」
マリエが、指を数本立てる。
「おお、結構もらえたな」
そりゃあ、焼肉パーティにもなるわけだ。
「それはそうと、戦利品のリストを見せて」
「おう」
オレはノートPCを開き、手の甲にあるコードをカメラでスキャンさせる。
これで、ノートPCと現在のオレのステータスが連動するのだ。
「【ヒドラスーツ】を取れたのは、デカいわね。今回のアイテムではとびきり大当たりレアよ」
「この【雷】と【土】のジュエルがついた杖も、イケルと思うけどな」
アイテム名は、【避雷針の杖】という。
片手杖なので、これにシールドを装備させてもいいかも。
「そっちは、ロニちゃんにあげましょう。ロニちゃんはずっと、初期の杖なんだもの」
マリエがリストを操作して、ロニのアイテム欄に杖を収める。
「じゃあ、残った素材などの品はマリエ所有で」
「いいの?」
「今更なんだよ。共有財産だろうが」
オレはマリエと結婚したので、金に困らなくなった。
「だが、心配なことがあるんだ。とうとう【ファイアソード】が、お荷物になってきた」
敵が強くなったことで、武器の貧弱さが目立つように。
また、単独の魔法がエンチャントされてる武器の欠点が浮き彫りになった。
属性の相性が悪い場合、切れ味に差が出てしまう。
どれだけ強化をしても、属性の相性はどうにもならず。
誤算だった。これでは同じような相反する属性の敵と、戦えない。
「ヒドラが相手じゃなくても、同じことだったわ。もともとあの層のボスは、火属性の【ボルケーノベア】だったんだから」
「魔法で倒す予定だったんだよ」
ボルケーノベア相手に魔法の練習を、と考えていたんだが。
「せっかく作ってもらったのに。属性ばっかりはどうしようもなくてな」
「無属性でもちゃんと強い武器が必要、ってわけね?」
「それなんだけどな。まともな物理攻撃武器が、ドロップしなかった」
ヒドラから落ちた武器は、型落ちの短剣や、斧ばかり。
【ヒドラスーツ】や【避雷針の杖】に、すべての幸運を取られてしまったらしい。
「じゃあ、武器素材を取りに行きましょう」
「そんなエリアがあるのか?」
「調べたら、いい感じのエリアを見つけたわ。ちょっと遠いけど」
県外の山奥に、山登り系のダンジョンができたらしい。
(第三章 完)




