野望
男どうしの裸の付き合い
Mr.スズキは久しぶりにJ国の隠れ温泉宿にお忍びで日々の激務の疲れを癒しに来ていた。ただ森に囲まれたしなびた、人里離れやた山奥にひっそりとした趣の宿。唯一近くにあるのは山寺。秋も深まり、人っ子ひとりいない、まさに秘境ともいえる風景にMr.スズキは精神は穏やかに包まれた。人も通らななくなった、廃道ともいえる道が足跡が残っていた。Mr.スズキは不思議に思い、足跡をたどっていった。いけどもいけども、足跡はなくならず、ただ、廃道の真ん中に一歩一歩と刻みつけられている様子は、こっちにこい。ついてこいと言っているようだ。暗示にかかったようにひたすら、足跡をたどる。何時間ったったのかもわからない。ついに山奥を抜け、開けた場所に出たと、ふと、周りも見回せば湖があった。日も傾きかけ、Mrスズキは我に返って、よくこの山道を何も考えずに登ってきたなと感心した。しかし、あまりにも喉が乾いてしまっていたことに気づき、湖の水を飲もうとした。その時、一人の女性が湖の中から現れた。いや違う!現れたのではなく、死のうとしてるんだ!湖の中を歩いている。静寂に包まれた湖のほとりに、ぽつんと一つ明かりが灯りはじめた。その明かりは対岸から、真っ直ぐ沈み始めた女性のもとに、湖面をかけ抜ける人物が現れた。女性を抱え上げるともう一度、またしゃがんだ。女性を抱え直し手を湖面に突っ込んで、呪文を唱え始めた。すると、まだ幼い子が湖の中から現れ、女性とともに天空に光とともに消えてしまった。
目の前で、何が起こったのかわからないMr.スズキは茫然とした。何かのお告げなのか・・・この湖に、何しに来たのかもわからなかった。日も沈みかけた山道を急いで戻り、古宿に戻り、しなびた温泉につかって汗を流そうと浴場に入る。しばらくして、露天風呂に移動をしようと浴槽から出ると、露天風呂には誰か入っていた。Mr.スズキはここで人に会うなんて珍しいななんて思いながら、露天風呂に向かうと、みたことのある人物が使っていた。なんと、C国のフィクサー陳だった。
「・・・・・・」
「すいません。ちょっと待っててください。」
「・・・・・・」
ひょいっとMr.陳はイヤホン型の翻訳器を手渡しした。あわてて、Mr.スズキは翻訳器を装着する。
「防水機能は完璧ですね。ってどうして、あなたがここに・・・」
「あわてるなよ。Mr.スドウならこうして温泉に一緒につかる隙もないけど、お主程度ならこうして、裸でも話ができると思ってな。」
「それは、ほめられてませんよね。絶対。裸の付き合いは大事とは言いますが、危険を感じないんですか陳さん」
「危険を感じてるらしいね。あらかじめ翻訳器を用意して見せたのは単なる張ったりよ!しかし、ここまでスズキが用心しないとは何かあったのかね。」
「いや、つまらない話ですよ。ちょっと白昼夢を見たもんで、ボーとしてただけです。そちらこそどうして?」
「あわてるな小僧。まずは、面白そうだから白昼夢の話を聞いてやる。汗を流しにきたのではないのか?ゆっっくりつかりなされ。」
Mr.スズキは幻術がようやくとけた気がして湯船につかりながら白昼夢のような湖の話をした。
「Mr.スズキその話はもう他でしないほうがいいぞ。わしも誰にも話さんから安心しなされ。」
「なんか意味があるんでしょうか?」
「神から啓示と思え。お前の行く末かもしれんがな。お前はゆくゆくはこの国のフィクサーになるんじゃろ。だからじゃ。」
「理解できません。よもや話をするような若輩者は足元をすくわれるのですか。」
「いやいや。そうじゃない。例え話をしてやろう。ある青年がどんな困難な事でも山あり谷ありの人生という道を一歩一歩つらかろうが悪いことがあろうが汚く廃れてても、時間を忘れるようにがんばった。行き着いた時に道が開けた。日が沈むかのように国も傾き、目の前にあるのは広がった海だけ。その海にも人が沈みかけている。しかし、どんなに遠くても、まっすぐに沈むこともなく情熱をともし、助け出す。海の中に沈んでいる子供でも・・・そして、自分のぬくもりを人に与え、広がった海にも語り掛ける・・・そして空に光とともに導かれる。・・・・そんな話をフィクサーが話してみろ。」
「・・・・・・」
「白昼夢は正夢になるなんて言うからな。お前の未来と思って、人に話さず胸の奥に大事にしまっておけ。」
「ありがとうございます。いい休養が取れました。」
「おいおい、スズキの休養の手助けをするためにわざわざきたわけではないわ。たわけ!」
「では、Mr.陳・・・ここにはいい娼婦もいませんよ。」
「お主・・・我のイメージはそこらへんのスケベ親父か!」
「もしかして。この俺の体が・め・あ・て?」
「よーくわかった。Mr.スズキからかってるな。」
「裸の付き合いしますか。Mr.陳。」
「も~わかった。勘弁しろ。本題を話す。J国は既に地球連合国家の首都となる大都市ができているのもしっている。だからこそ、Mr.陳にも少し力を貸してくれないか。」
「力を貸せとは、どういうことですか?陳さん。」
「C国というのは何よりも面子を重んじるのは知っての通り、だからこそ上手くいくこともいかないこともあるんじゃ。しかし、地球連合国家ができた今、背に腹は代えられん。また、世界から取り残され、国が分断し、民が虐げられるようになるのは望んでないのじゃ。」
「C国は大国ではないですか。大国ならではの悩みですか。」
「そんな生やさしいものではない。極論ともいえる数の理論が存在することがどういうことになるかわかるか。」
「たとえば・・・もし2つの勢力があったら・・・多いほうが有利になるだけではないのですか。」
「そう思いがちだが、本質はもっと残酷じゃ。もし2つに分断するようなことがあれば、内戦にも発展する。・・小さな争いが派閥を作り、お金が動き、人がだまし騙され、いじめ・差別につながり、そして裏切り殺され恨み恨まれ・・・蹂躙された挙句、弱いほうが消滅・滅亡する・・・」
「そんな・・・建前と本音を使い分ければ済むでしょ。」
「和を尊ぶ少国ならそれでいいだろうが、我C国は多民族で宗教も言葉も肌の色も違うような民が集まった国なんじゃよ。もし今、地球連合国家あって、異世界人が移民してきたら同じようになるだろうがな。」
Mr.スズキは先日Mr.スドウとした話を思い出した。
「その話をいったんおいて、私の話を聞いてもらえますか陳さん。」
「その前に、飯でも食いながら話すのはどうじゃ。お前が協力すればだがな!」
「わかりました。そのかわり、そちらも協力してくださいよ。」
二人は露天風呂から上がり、着替えると宿の食事をとることにした。秘境の宿には、につかわしくない懐石料理と陳が持参した老酒を頂いた。
「話ってなんじゃ小僧。酒が不味くなったら許さんぞ。」
「酒のつまみか酒のあてだと思って聞いてください陳さん。最近の地球というか、世界各国の動きを見て陳さんの極数の理論を当てはめて考えてたことが・・・思い当たることがあるというか・・・」
「おいおい、もう酔っ払てるのか!それとも、さっきの温泉でのぼせたままなのか!しっかりしろスズキ。」
「陳さんもし、地球連合国家がある異世界を侵略する場合、どのように異世界を攻略しますか。もしくはある大国を侵略するとき最前な方法はどうしますか。」
「スズキ!C国を侵略しようって魂胆か!」
「違いますよ。もうすでにC国は異世界人に侵略されてるのか知りたかったんですよ!」
「!!!!どういうことじゃ。スズキ?C国に異世界の間者がもぐり込んでるとでもいうのか?
「まったく可能性はないですか。もしくは、過去の歴史で異世界人に侵略しかけたことがあるんじゃないですか?」
「・・・・」
「地学的なところからの推測です。あくまでも。人を隠すなら人ごみという具合に、少数の民がいるところより多くの民がいるところに紛れやすいように、小国より大国に異世界人はいきたがります。もしくは、独裁国家で、あれば他の国に干渉されにくいメリットもあります。」
「そうじゃが・・・」
「陳さんが言われた極数の理論を使うと、たとえば、2つのいい物があれば片方しかC国には残らないでしょ。でも、いいものであれば、近隣のこのJ国に民と共にわたりさらに良い物に発展する。当たり前ですがね。少国であれば似たような物も共存できて、さらによりよい物に発達出来た結果ですがね。」
「言われてみれば、技術力も高いし、文化レベルや教養も・・・温和で何から何まで...」
「でも、それでも、このC国ではじかれJ国でもはじかれるようなものはどうなると思いますか。」
「それは本当に残したい物なのか?」
「言い方を変えます陳さん。盗んだ物やおおやけに出来ないものはどうしますか?でも本国に置けないんですよ。」
「属国でもおいとくしかなかろう。」
「そうなりますよね。C国も我が国はある意味その道を極めた者がいるとして、半端者やはじかれた者が行く国にはそういうものが集まりますよね。しかし、そんな国でも、成り上がれば大国を目指しますよね。」
「そういうことかスズキ。大国で侵略者がいるとしたら成金の商人。昔は武力で大国で覇を争ったかもしれんな。もしかしたら、異世界人の名残かもしれんということか。」
「今、もし、ある程度、知的な異世界人がこの地球に侵略するとすれば、まず、戦争地を狙うでしょう、そしてテロリストとして世界中に散らばり情報を集める。そして独裁国家で外部から身を守り、商売相手を探す。そして、新興国と言われる、貧富の差が大きい国で財を築き、大国とのルートを絞る。そして、経済てきにも発展した中堅国で政府を乗っ取ろうと企み、民まで洗脳する。最後に大国のリーダーと接触までこぎつける。・・・でも、もし、大国で、独裁国家で属国のような独立国や新興国があり、中堅国を抑えてる国があったら・・・ははは、酒の席の話ですからあくまでも。」
「なるほど、あたってるぞMr.スズキ。我が国は古くから、なんでこんなに幻獣伝説みたいなものが多く残ってると思う。強い異世界の魔物が住み着きやすかったんじゃろう。また、弱い異世界人は周辺国に行ったのかもしれん。J国の妖怪もそのくちじゃろ。そして、狡猾な妖の類はK国やT国の役人にでもとりついてたりしたりしてな。ははは。」
「C国にいる勢力の中に異世界人がいれば、粛清せずに保護したほうが今後の陳さんの役に立ちますよ。ご協力しますよ。」
「J国は保護した異世界人に限らず幻獣の研究をしたいのじゃろ。わかっておるわい。協力してやるから、近隣の国も異世界侵略から守らねばならんぞ。」
「いやいや、すでに無理かもしれませんよ。陳さん。近隣国政府の中にいるかもしれませんからね。でも、C国のフィクサーならどうとでもなるでしょうがね。」
「いやいや、白昼夢で予言されてたのはスズキではないか。救う役割かもしれんぞ。」
「こりゃ一本取られました。ははは。」
「しかし、陳さんが懸念している、勢力がもし、異世界人なら厄介ですぞ。陳さんの側近も気をつけられたほうが良いですぞ。もしかして、C国役人にも・・・」
「切り出せば、A国だってどの国だって怪しく思えてしまうな。だからニック殿は地球連合国家を作られたのかもしれんな。」
「でも、その言う意図で作ったのは間違いないですし、これからの地球が異世界侵攻か親交かわからないが大きい夢物語にならんようにしないとな・・・地球が侵略させる前に・・・」
「タヌキ親父のスドウとはこんな話はできなかった。・・・もしや、わかってて言わなかった可能性もあるぞ。あやつめ。わしはスズキお主が気に入った。どうだ、C国のフィクサーをやってみないか。」
「お酒を飲みすぎてますぞ。陳さん。私は地球のフィクサーになる男ですから!」
「お主も酒を飲みすぎておる。ホホホ。」
こうして、新たな関係が生まれた。ついに、J国の野望とC国の野望が重なり、次の局面に移るのであった。
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