ノートの内容
きさらは事務所を出ると、すぐその場でしゃがみ込んでしまう。
先程の程度の悪い管理者のおじさんの対応が凄く嫌でストレスになりそうで疲れ切った顔である。
今までもきさらは今回の様な偉そうな対応をされた事がある。
小学生の頃からお祓いをしているんだから、やはり今回の様な嫌な思いをしてきた事は腐るほどある。それでも大きくなるにつれて酷い対応をする人は減ってきた。
でも今日は久し振りに酷い対応をされた・・・。何だか涙が出てくる。
きさらは言うべきことはハッキリ言うが基本的に気弱な女の子だから今回みたいな対応をされると心に傷が付く。
しゃがみ込んで涙目になっていたが少し落ち着くと立ち上がって心霊現象の部屋へと行ってみる。
階段を上がって5階・・・最上階の階段の側にある部屋である。
この社員寮で唯一の空き部屋が今回の依頼の部屋だ。
「とりあえず部屋の周りには何もない様だけど・・・」
部屋の周り、通路、通路の照明を見る限り何も変なところはない。
とりあえず渡された鍵を使って部屋に入ってみると・・・殺風景な部屋であった。
誰も住んでいないから当たり前ではあるが寂しい部屋である。
きさらは部屋に入ると電気を付ける。
「小さな部屋だね。キッチンとトイレ、小さな部屋にはもともと置いてあるベッドがあるね。あと冷蔵庫とテレビももともと部屋にあるんだ・・・」
ここは大手自動車工場の社員寮で住み込みで働く人もいるから部屋は小さいけどエアコン、ベッド、冷蔵庫、テレビと生活必需品はもともと備わっている。
ただお風呂だけは無くて、ここの社員寮に住む人は近くにある温泉に毎日行くらしい。大手自動車工場だからそこら辺の手当てもあるらしい。
「ここの会社、お父さんとお母さんも期間工で働いていたから分かるけど物凄くホワイトなんだよね。天下の自動車メーカーさんだから手当てもいっぱい付くらしいし」
さて、きさらは一旦荷物を置くとベッドに転んでさっに管理者のおじさんに渡されたこの部屋で起きた心霊現象が書かれているノートを読む。
それを読むとこの部屋では5年ほど前に自殺が起きたらしい。精神病を発症した期間工で働いていた男性が夜中の12時過ぎに突如奇声を上げて部屋で暴れ回って自ら心臓を包丁で刺して死んだらしい。
それで、その後すぐに近くの神社の巫女さんにお祓いをしたという。
しかしそこに書かれている神社の名前を見るときさらは「あぁ・・・」と声が出てしまう。
そこに書かれている神社は、この近辺では一番大きい神社だがお祓いとか全く効果が無いとお客さんからは有名な神社である。
恐らくこの企業は有名な神社だからという理由でお祓いを頼んだのだろう。
ちなみに起こっている心霊現象は誰も部屋に居ないのに電気が付く、笑い声が聞こえる、ドンドンと暴れる音が聞こえる、急に窓ガラスが割れる・・・という現象が起きている。
そして全ての心霊現象は夜中の12時過ぎという。




