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銀の魔女の憂鬱〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜  作者: 白雲八鈴


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61 わたくしは貴方様をお慕い申しております

 私は血と肉片にまみれた聖女に尋ねる。皆を先導して、魔物の討伐をするわけでもなく、民の安全を守るわけでもなく、仲間を守るわけでもない。


 遺跡を巡り、魔物を解き放ち、人々を苦しめる神が認めた聖女。


「ねぇ、国を滅ぼしたいの?」


「なっ!わたくしはこんなになってまで、国の為に戦っていますのに!どこの誰だかわからない貴女に言われたくありませんわ!」


 ん?この姿で私が誰だかわからない?ああそう言えば、直接こんなふうに話をしたことはなかった。

 でも、この聖女の目的を聞いておかなければならない。


「ねぇ、遺跡を巡って封印の要を奪っていって何がしたいの?封印された魔物を解き放って何がしたいの?この三つ首竜も貴女が解き放ったものでしょ?」


「封印?何のことかわかりませんわ!私は被害者でしてよ!」


 は?封印を解いたと認識をしていない?どういうこと?もういい、話すだけ無駄。

 私はきっと血を被ったようになっていると思うので、浄化の魔術を使い身なりを綺麗にする。


 この三つ首竜をもらっていこう。大きな体を亜空間収納に入れ、私は地面に降り立つ。そのまま、踵を返すと後ろから声をかけられた。


「ちょっと!私も綺麗にしなさいよ!」


 は?それぐらい自分でできるでしょ?聖女と名乗るのであれば、治癒と浄化の魔術ぐらい簡単に使えるでしょ?私は無視をして足を進めると、赤い色が視界をかすめる。

 魔王様、もうちょっと待てませんか?

 まぁ、第4波がどのようになっているか確認しにいかなければならないので、いいか。


「南に行「グラン様!」」


 あ゛?


「グラン様!助けてくださいまし!」


 いや、この状況で何を助けるというのか?キン○ギドラはもう倒したし、お仲間を助けてということだろうか?いや、それは聖女であるアルレット伯爵令嬢が治せばいい。

 そう言えば元王子はいなかったな。戦力外通告でも受けたのだろうか。親衛隊とかいう人数も合わないな。


「そこの女がわたくしを殺そうとしたのです!」


 いや、どこをどう見たら私が貴女を殺そうとしたと?目が腐っているんじゃないのか?

 確かにさきほどの瞬間を切り取った絵的には、聖女は血まみれで地面にへばっており、仲間は皆さん満身創痍だし、私といえば見た目が悪い血吸丸を持っていることから、私がこの惨状を作り出したかのようにも見えなくもない。

 でもそれを聖女がここに来たときから一部始終見ていた彼に言うのはどうかと思うけど?


「お前を殺そうとした?よくも平気で嘘を言えるものだ」


 地獄から響いて来たような声が隣から聞こえる。殺気も混じっていることから、アルレット伯爵令嬢の顔色は真っ白になっていた。


「いいえ。いいえ。わたくしは嘘など」


 おお、嘘を指摘されても、自分が正しいと言い張る根性はすごいな。

 でも、アルレット伯爵令嬢に付き合っている時間が惜しい。こんな茶番に付き合っている暇なんてない。

 私は、北門に向かって歩いていき、外壁の上に飛び乗る。


「グラン様!お待ちになってくださいまし!わたくしは貴方様をお慕い申しておりますわ!わたくしは貴方様を苦しみから解放できますわ!」


 うぉ!凄い寒気が襲ってきた。寒気の原因をちらりと横目でみる。私と同じ様に外壁の上に飛び乗ってきた魔王様からだ。

 仮面を被っていてどういう表情をしているか伺い知れないが、凄く怒っているだろうということはわかる。


「貴様に名を呼ばれるのは不快だ。何も知りもしない貴様に!」


 そう、魔王様が言い放ったと同時にアルレット伯爵令嬢の手前の地面に大きな亀裂が走った。


「ヒッ!」


 血まみれの聖女様がのけぞりながらガタガタ震えている。腰を抜かしているため動けないので、なるべく距離を取りたいとの行動なのだろう。本当にアルレット伯爵令嬢が、何をしたいのか私には理解できない。


 隣の彼を仰ぎ見る。一瞬だけど、呪いの力が増幅した。これはあまり良くない。私は彼の腕を取り、南に向かおうと指し示す。

 すると、片手で抱きかかえられてしまった。いや、自分で向かうし。


「門兵さん」


 私は、この場で全てを見ていた5人の門兵に声をかける。5人は外壁の石の床に跪いていた。


「悪いのだけど、アレの後始末をお願いできる?それから、私はここには居なかったということで」


「しかし、聖女様がこちらにいらしてくださらなければ、多くの命を失っていたことでしょう。嘘の報告など我々には」


 ああ、上司への報告ね。それなら


「嘘ではない。私は聖女ではないでしょう?聖女はあちらの血を被ったアルレット伯爵令嬢。見知らぬ冒険者が倒していった。それでいいのでは?」


「了解しました」


 納得してくれたようだ。私は髪と目の色を黒に染める。アルレット伯爵令嬢を脅すために元の色に戻したのに全く意味がなかった。確かに直接会ったのは一度きりで遠目ではあった。

 ん?いや、乙女ゲームをプレイしているのなら悪役令嬢の顔ぐらい知っていそうだけど?


 まぁいい。私は私を抱き上げている彼を仰ぎ見て、下ろしてほしいと訴えてみるが、無視され王都の北から南に移動し始めた。 


 私、自分で動けるよ!


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