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銀の魔女の憂鬱〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜  作者: 白雲八鈴


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51 鱗の使い道

 陣形が整ったところで、開戦した。危なかった。足止めをしたけど、本当にギリギリだった。前線で戦っているものは300人程か。足りない。全くもって人が足りない。

 魔術師が後方支援をしているが、彼らは私のように無尽蔵に魔力があるわけじゃない。


 聖騎士団は1万規模だった。それが今ここに居るのが約六百人程。一昼夜戦えるかと言えば無理だ。


「イオブライ小隊長」


「はっ!」


「王都の近くに動かせる小隊はいないの?」


「各地で今までに見たこともない魔物が出現しておりまして、各隊が対応に当たっております。これでも集まったほうなのです」


「ふーん。見たこともない魔物ね」


 聖女とその仲間達がやらかしたことなのに、その本人は一向に出てこない。何が指揮官だ。


 一通りの指示は終わったであろうヴァザルデス師団長が眼下に見える。攻略対象だけあって、キラキラ騎士は見た目はいい。だが、私はとても腹が立っている。往復ビンタではなく、グーで殴れば良かった。


「聖女リーゼ様。ヴァザルデス騎士団長閣下に御用があるなら呼びたてますが?」


「かっか·····閣下ぁ?!偉そうな敬称が付いたものね」


「あ、すみません」


「別にイオブライ小隊長が謝ることはない。ヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長を呼んできて。聞きたいことがあるから」


「はっ!ラズ、ギルス行け!」


 どうやら、第0小隊の者が他にも控えていたようだ。相変わらず彼らの気配は私には全くわからない。


「他に第0小隊の者はいる?」


「はい、全員揃っております」


 第0小隊は全員揃っているか。まだ、遠くに見える前線を見る。これはため息が耐えない。


「2班3班とそうね5班を魔物の動向の調査に向かわせなさい。第3波がどれぐらいで来そうか調べて欲しい。」


「第3波ですか?」


「第2波までは持ち堪えられるとは思うけど、それ以降は難しい」


 そう、人は休まなければならない。剣を振り続けられる生き物ではない。だから、ローテーションするために1万規模。一個師団の聖騎士団を作り上げたのだ。


「おや?」


 イオブライが不思議そうな声を上げた。


「なに?」


「いえ、私が命じる前にもう行ってしまったと思いまして。皆嬉しいようです」


 何が嬉しいのだろう。危機的状況なのに。


 外壁の下へと通じる階段から駆け上がってくる音が響いている。多分、先程呼び出したヴァザルデス師団長だろう。


「お呼びと伺い参上(つかまつ)りました」

「······」


 ヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長が同時にやって来た。魔術師長は師団長の背後霊の様に付いてきている感じだ。大体いつもこんな感じなので、私が何かを言うことはない。


「聞きたいことがあるの」


「はっ!何なりとお聞きください」


 キラキラ騎士。ここでキラキラを振りまかなくてもいい。鬱陶しい。


「あなた達はあなた達が聖女と呼んでいるアルレット伯爵令嬢が何をしでかしているか知っているの?」


「あ、それは自分も何故聖女として慕っていたのかわから「私は聖女という固有名詞については問うてはいない」」


「古い遺跡を巡っておりました」


 魔術師長が答えた。それは理解していたようだ。


「それで?」


「そこに封印されていた古代のアイテムを手に入れて持ち帰っていましたが、そのアイテムをどうしているかは知りません」


「古代のアイテム?そんなに古いものではないはず。大体150年前のもの」


「150年前·······」


「ねぇ、いったいどれほどの封印を解いたの?」


「·······」


「どれほど、封印された魔物を解き放ったの?」


 私は亜空間収納から私の背丈程の鱗を一枚取り出す。


「美しい街だったハイメーラーを氷の大地に変えた魔物。討伐せずに放置したんだって?」


 その鱗を前線に向かって思いっきり投げ飛ばす。前線の更に南、魔物が犇めきあっている場所に突き刺さると、そこから天地を繋ぐような氷の柱が突き出た。


「確かに手強かったと思うけど、聖騎士団が討伐に向かえば勝てない相手では無かった」


 もう一枚、鱗を取り出し南に向かって投げ、氷柱が天を貫く。

 二人の顔が段々青白くなってきた。


「ねぇ。これは何?私が何も考えずに隊を組んだと思っている?」


 三枚目を取り出し投げる。一枚でも空気を凍らす程の鱗だ。取り出しただけで、空気が痛いほど冷えてくる。


「今、小隊が全員揃っているのが第0小隊だけって、どういう事?」


 師団長と魔術師長を責めていた私がいきなり第0小隊の名を出したことで、イオブライが一歩後ろに下がった。別に第0小隊を責めてないし。


「第6、9、10、11どの小隊もバラバラにされている。人には得手不得手があると思わない?各小隊には役割があって、個人の能力が最大限に活かせる小隊に入れたはずだけど?それらを組み合わせることで、どんな魔物でも戦える騎士団を作ったのだけど?」


 4枚目を取り出し、投げる。一瞬だったけど、空気が凍った。この分だと南側には氷の壁が出来て、いい感じに足止めが出来ただろう。魔物の通り道ができればそこを重点的に戦力をつぎ込めばいいだけだ。



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