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銀の魔女の憂鬱〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜  作者: 白雲八鈴


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21 ドキドキ壁ドン・・・

 そう化け物という言葉がふさわしい。10年しか生きられぬ身で今まで生きているのだ。


「私は簡単には死なないし、死ねない。私と今朝遊んでいたドラゴンがいたよね。そのドラゴン曰く、私の魔力の受け入れられる量は()のドラゴンと同等。これが意味するところわかる?人の身でドラゴンの魔力量を持っているということ。例え私自身の魔力で体を破壊しても直ぐに再生される。破壊と再生を繰り返すだけ。だから簡単には死なない」


 だから、化け物。

 だから、赤黒いドラゴンに人の身は難儀だと言われてしまう。


「やっぱり、いいなぁ」


 ん?


「キラキラしていたのは魔力が魔素に接触して爆ぜていたのか」


 え?なんの事?


「アリアって呼んでいいか?」


 おっふ。敢えて名乗らなかったのに名前がバレてしまった。


「グランシヴァリスだ」


 あれ?何か何処かで聞いたような?


「シヴァと呼んでほしい。アリア」


 私、アリア呼びは了承してないけど?しかし、グランシヴァリスって何処で聞いた?凄く嫌な予感がする。

 あれは確か王子妃教育の時に······はっ!絶対にヤバイ。関わってはならない人物ほぼ確定だ。


「剣士さん「シヴァだ」······」


 被せてきた!


「け「シヴァ」はぁ」


 名前で呼ばないと話を進められないらしい。


「シヴァさん。まずは下ろしてほしい」


 名前を呼んだのに不満そうな顔をして『呼び捨てでいいのに』と言いながら下におろしてくれた。


 煙管(キセル)を咥え、肺いっぱいに吸い込む。どうしたら、これ以上関わらないようにできるかと考えながら、紫煙を吐き出す。


「取り敢えず再生した手足は普通の人より定着がいいようなので、もう完治したと判断してよさそう。だから、貴方がここにいる必要はない」


 うっ。深淵を覗き込んだ目で睨まないでほしい。私はジリジリと距離を取っていく。


「私も領地へ戻らなければならなくなったから丁度良かったと思う。今日中に出ていってもらっていい。と言うか出て行って」


「それは駄目だ」


 何が!ジリジリと距離を取っているのに彼との間にある空間は一寸たりとも変わっていない。


「剣の弁償をしていないしな」


 ああ、それはそれなんだけど、私の肉切り包丁よりも、このままだと色んな意味で身の危険を感じる。


「それはいつでもいい。急いでいない。私の剣はそれだけじゃないから、お気に入りが無くなってしまっても何も問題ない」


「封印されていた地竜と戦うなら、役に立てると思うが?」


 それもそうかもしれないけど、私は一刻も早くグランシヴァリスという人物から離れたい。

 後ろに下がるように足を進めていると背中にトンと当たる感触がした。え゛?

 後ろに視線を向けると岩の壁が!

 顔をかすめるように彼の右手がガッと音を立てながら岩に食い込む。

 ヒィー!あの乙女ゲームでドキドキシチュエーションになるはずの壁ドンが、恐怖でドキドキする。とても命の危険を感じてしまう。


「アリアにとって何が駄目なんだ?」


 何が駄目って。かがんでまで視線を合わせないでほしい。


「俺が側にいてはいけない理由はなんだ?」


「そ、そんなものクアドラ国の第1王子と同じ名を持つ人と一緒にいると面倒になることが目に見えているじゃない!」


 そう、この人物は隣国クアドラ国の第1王子だと思われる。表舞台には一切出てこないため、その人物の容姿等は噂に上がらないが、表には出せない国の裏事で色々動いていると言われているグランシヴァリス第1王子。

 それは容姿の噂は流れないだろう。このような姿では、人前に出られない。


「ほう。知っていたのか。どちらかというと弟の方が有名だと思ったが?」


「これでも元婚約者がこの国の王子だったので、知識としてはある」


 目を細めてクククッと笑わないでほしい。悪巧みをしているみたいで怖い。


「ああ、安心するといい。この国に来る時に王族である俺自身を抹消して来た」


 抹消!抹消って何?いや意味はわかるけど、そこまでする必要ある?ないよね。もし、呪いを解くためにこの国に来ただけなら、王族であることを捨てる必要はない。


「これで問題ないよな」


 あるよ。凄くある。絶対に攻略対象だ。よくある隣国王子枠だ。

 聖女やその周りのヤツらに絡まれるのはとても面倒。ん?いや、さっさと攻略してもらえれば、私から離れていくのでは?

 そう、その方針でいこう!


「はぁ。問題は色々あると思うけど、なんで私に付いてこようとする?ああ、剣の弁償のことは横に置いといて」


「それは、アリアを気に入ったからだ」


 そうですか。魔王様に気に入られても、内心戦々恐々だけど?


「だが、一番はやはり、アリアの側だと俺は人として呼吸ができる」


 人としてか。とても重い言葉だ。今まで、どの様に過ごしていたかは私には分からないが、普通の在り方ではなかったのだろう。

 かがんで未だに私の目を見ている彼に呆れた視線を返す。


「残念ながら私は人の枠を逸脱した化け物だけど、それでも付いてくる気?」


「もちろんだが、アリアは化け物ではなく美しい天の使徒だ」


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