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銀の魔女の憂鬱〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜  作者: 白雲八鈴


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20/72

20 親衛隊って

「それで、封印していた玉がなくなってしまったから、再封印も無理だということ?」


「ミエーヌは何も悪くない!」


 地面に膝を付いている筋肉隆々の男からおかしな言葉が聞こえた。ミエーヌ?どこかで聞いた名前だ。


「クロスレクト様。まだそのような事をいっているのですか!あの女はオヴァール領に甚大な被害をもたらしているのです!」


 ああ、聖女様の名前か。ん?ということは


「クロス御兄様も誑かされた一人?」


「はい、そのとおりです」


 恐ろしいな。恐ろしいが、これはこれでおかしい。


「カティー。お祖父様とロスナー子爵は聖女様と直接会った?」


「はい。大旦那様とはオヴァール領に来た時に挨拶をされ、ロスナー子爵様とは訓練の様子を見学したいと言われた時に挨拶をされています」


 ふーん。なんだろうな。彼女の好み?私は立ち上がり、立ち上がれないでいる男に近づき、頭に一発裏拳をぶちかます。


「お嬢様!」


 慌ててカティーも立ち上がって私の側に来て、義兄クロスの様子を伺いみる。


「魅了だね。多分無意識かな?お祖父様もお父様も厳ついよね」


「ええ、まぁ」


 私の同意を求める言葉にカティーは言葉を濁す。この義兄の顔はいい。お祖母様似なのだ。因みに現当主で伯父にあたるアルスガルデはお祖父様似である。


 うーん。これはヤバい?地竜の件はなんとかできると思うけど、関わりたくないなぁ。どんな強制力が働くかわからないし。


 あの高位貴族達が魅了によって良いように扱われているのなら、最悪この国ヤバくない?あと第5王子ラートウィンクルム殿下がどれだけ権力があるか·······いや、もし王太子まで魅了されていたら、最悪だ。この国を去るのが一番良いような気がしてきた。


「彼は今はどうのような立場?元婚約者のラートウィンクルム殿下は」


 近くで『婚約者?』と地獄から響いたような声が聞こえた気がしたけど、気の所為。

 カティーは若干青い顔をしながら教えてくれた。


「ラートウィンクルム様は廃嫡されています」


 思ってもみない言葉が返ってきた。廃嫡!多分国王陛下は思惑を潰されて、とてもご立腹されたのだろう。


「今は聖女親衛隊の隊長です」


 え?なにそれ。親衛隊って


「くふっ。あはははは!あの馬鹿王子。王族じゃなくなって親衛隊って面白すぎ!え?何するの?剣も魔術も全然駄目な王子が何を守るの?」


「隊長ですので指揮をとるのでは?」


「いやいや。それも無理でしょ!あーお腹が痛い。」


 ヒィヒィと呼吸困難になるほど笑わせてもらった。あー。久しぶりにこんなに笑った。

 昔に戻ったみたいだ。カティーがいるからだろうか。


「カティー。ありがとう」


「なんですか?いきなり」


「ロスナー家の総意を無視して私の所にきてくれたのでしょう?」


 するとカティーは目を忙しなく動かし始めた。オヴァール領の為でもあるかもしれないが、私を心配して来てくれたのだろう。こういうことでも無い限りこんな所に来ることはできない。

 紫煙を吐き、カティーに声を掛ける。


「地竜の件は対処しましょう。お祖父様の治療は本人が望めばで。コレばかりは本人の覚悟が必要になるので、他の人の思いを押し付けるわけにはいかない。」


「はい」


「それから、聖女には絶対に会いたくないので、私が対処しているときに、もし聖女が来たら、阻止してほしい。あとこれは絶対に周知徹底してほしい。私を聖女とは呼ばないと」


「承知しました。安心してください。オヴァール領ではお嬢様のことを誰もそのように呼んではおりませんよ。お嬢様は昔から魔女リーゼですから」


 あっ。それも恥ずかしい。魔女っ子リーゼだと遊んでいた黒歴史が思い出されてしまった。


 カティーはお帰りをお待ち申し上げますと頭をさげ、目が覚めた3人と魅了が解けた義兄クロスと共に帰って行った。あ、ちゃんと竜の森の出口まで送って行ったよ。迷子になって出られないとなったら可哀想だからね。




 亜空間収納にごっそりと魔素を多く含んだ土を取り込み、竜の谷に戻る。しかし、地竜か。それも5代前の当主が封印しなければならない程の······5代前か。ざっと計算すれば150年になる?150年前。魔竜王が居たという時代。これは偶然か?

 その頃に何かあった?魔物が活性化するような何かが。

 思考の海に没していると隣から声を掛けられた。


「聞いてもいいだろうか」


 私の横を歩く彼が遠慮気味に聞いてきた。


「何?」


「インフィーヌなのか?」


「その言葉を知っているってことは、剣士さんはそれなりの家の出ということだね。でも、私がインフィーヌだからと言って剣士さんには何も関係がないと思うけど?」


 そう、何も関係がない。空中に漂う煙に視線を向けていると、横に引っ張られるようにして抱きかかえられていた。


「言ってくれないとわからない。ソレ(キセル)を失うと命に関わることだとか、魔力を使わないと体に異常をきたすだとか、それが死に繋がることだと」


 黒く濁った目が私を見る。心配そうな表情をしているが、そんなこと私が気をつけていればいい。私は義兄が言っていたように『化け物』なのだから、そんな顔をする必要はない。



誤字報告ありがとうございます。

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