表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の魔女の憂鬱〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/72

17 青の泉

 午後から悲惨な状態になった畑の整備をしているけど、あ。うん。二人だと早いね。私はドロドロになった野菜だったものや薬草だったものを拾っただけで、彼が抉れた土を直してくれた。


 30分程で平らな地面になった。後は、森から土を運んでくればいい状態にまでになった。なら、今日中に森に行けば明日には種付できるだろうかと思案しているところ、地面に大きな影が落ちた。


 上を仰ぎ見れば、青い鱗を纏ったドラゴンが私の張った結界の上に降り立っていた。


『嫁。長とまたやり合ったんだって?みたかったなぁ』


 キラキラした目を私に向けて、そんな事を言っている青いドラゴンは結界を長い尾でバシバシ叩いている。


「あ゛?嫁?」


 隣から低く濁った声が聞こえてきたが、気の所為だろう。


「何か用?」


 わざわざ、そんな事を確認するために、あの青いドラゴンはココには来ない。何かあるのだろう。


『嫁に客がまた来ている。でも、森で迷子になっているみたい。あと、何人か死にかけてる。やっぱ、人族はこの地に近づけないみたいだね』


 それはそうだろう。普通はここの魔素に耐えられない。しかし、私の客とは誰だろう。


「その客は私の事をなんて呼んでいる?」


『リーゼお嬢様って言っていたぞ』


 その言葉を聞いた私は目を見開く。私をリーゼと呼ぶのはロスナー家かオヴァール家の者たちだ。なぜ、私を訪ねに来た。それも今更。


「それは森の何処?」


『青の泉に居るよ』


 青の泉······真っ青なサファイアを溶かしたような水を湛える魔素が多く含まれる泉だ。普通の人は口に含むと死ぬ。もしかして、その水を飲んだ人がいるのだろうか。


 私は言われた場所に向かう為に足を進める。ああ、このまま森の土を持って帰るのもいいかもしれない。


 家の周りに張ってある結界を抜けたところで、立ち止まり斜め上を仰ぎ見る。


「なぜ、ついてくる」


 赤い髪を風に揺らし、深淵を覗いているかのような目を私に向け、黒にも青にも見える騎士の様な衣服を纏い、腰に私の呪われた大太刀を佩いている人物に問いかける。


「貴女の側に居ると決めたから」


 マジの話だったのか?重苦しいのは勘弁なんだけど。駄目だと言っても付いてくるつもりなのだろうな。


 薬草の煙を肺いっぱいに吸い込み、煙管(キセル)を亜空間収納に放り投げ、ふーと空に向かって紫煙を吐き出す。


「そう、別に構わなけど。時間があまり無いようだから、全力で目的地まで行くけど、いいよね」


 そして、私は返事を聞かず、身体強化を使い足に力を込め、一気に竜の谷を駆け抜ける。


 土と岩場が広がった先には緑深い森がある。いや、山裾に沿い多くの魔素を取り込んだ木々が立ち並び、方向感覚を狂わし、進むことも戻ることも叶わぬ森だ。


 私は山を駆け下りるように、茶色い世界から、緑に満ちた世界に足を踏み入れる。背の高い木に目を向け駆け上がり、そのまま空へ飛び出す。

 あった。毒々しい青い色をした泉。

 空間を蹴り、そちらの方向に方向転換する。


 そして、サファイアを溶かしたような毒々しい泉の側に降り立った。すると、視界に赤い色が舞い降りる。へー。付いてこれたんだ。

 息も切らさず私に付いて来たってことはそれなりの実力はあると思われる。なんであの青いドラゴンにやられた?ドラゴンって言っても子供だ。あの谷で一番弱いと言っていい。やはり彼は何かおかしい。



 私は辺りを見渡して、人の存在を確認する。横たわる人が3人どれも体の一部を保護するようなプレートアーマーを身に着けている。これは辺境の者達が好んで身につける防具だ。


 一人はその3人に寄り添うように座り込み、灰色のローブを身に着け、身の丈程の杖を持っている。魔術師なのだろう。


 最後の一人は筋肉隆々の男が倒れている者達を背にして、私達に剣を向けて立っている。



 私は倒れている3人に向かって歩き出す。しかし、剣を構えた男が立ちはだかった。


「お前たちは何者だ!魔の者か!」


 魔の者? ········あっ。私は髪と目を黒くしていた。そして、その隣には魔王然とした剣士。見た目でアウトだった。


「クロス御兄様。私を呼んでいるとブルードラゴンが言っていましたが、そうではなかったのですか?」


 私に剣を向けている男はオヴァール家の四男のクロスレクト・オヴァール。養女になった私の兄に当たる。血筋的には叔父にあたる人物だ。


「リーゼお嬢様!」


 そう、声を上げ転がるように私の元に灰色のローブを来た人物がやってきた。私の足元に両手を付き頭を下げているその行動によりフードが後ろに下がり、金髪の髪が流れ落ちる。

 私は嗚咽が漏れている足元に視線をむけた。私の足元にいる女性はロスナー家で私に仕えてくれていた5つ年上のカティーだ。

 問題行動が多い私によく付いて魔物討伐で共に戦った仲でもある。


「お願いがあります。私どもがお嬢様に頼める義理は無いのも承知の上で申し上げます。大旦那様をお助けくださいませ!」


誤字報告ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ