閑話3【思えば異世界来たもんだ】
長くなったので2話に分けようかと思いましたが、内容的に1話で完結させたかったので、少し長めになっております。現代の中国と異世界の本編より少し前のお話です。
俺は、何故森にいる?
見上げた空は監獄の薄汚れた天井ではなく、空の青を覆い隠すように茂った木々の枝葉で、足元は土と石と苔と木の根で覆い尽くされた、明らかな屋外。
俺は確かに、居房から作業棟へと、作業班で整列して移動をしているところだった。どこから迷い込んだのか、大きな紫の蝶が飛んでいて……
「これは、どうなってんだ?」
「!!?」
人の声に思考を強制的に中断され慌てて振り返ると、其処には俺と同じ紺の囚人服を着た坊主頭の男が4人、俺の後に並ぶように立っていた。
「ここは、砂俄監獄じゃないのか?」
「看守はどこへ行った?」
同じ囚人服を着た男達が、口々に騒ぐが、誰もその疑問に答えられる者はいない。
「まず、現状を把握しよう」
俺のすぐ後ろを歩いていた男──みんな同じ囚人服を着ていて、同じ坊主頭だから特徴があまりないけど、左目の上に眉の端を割るような傷があるのが特徴──がそう言うと、全員無言で頷く。
「アンタ、先頭を歩いていただろう。何かおかしいと思わなかったのか?」
「ああ、何処から入ったかわからないが、大きな紫の蝶がいたんだ」
「それ、俺も見たぞ!!」
「俺も見た」
俺が眉傷の男に答えると、他にも紫の蝶を目撃したと言う者がいた。よかった、とりあえず幻覚を見たわけじゃなさそうだ。
「その紫の蝶が看守の背中に張り付いたと思ったら、看守の緑の制服が妙に歪んだ気がしたんだ。そしたら、もう森の中にいた」
話している俺自身もよくわかっていない。他の者達も腕を組んで頭をひねる。
「よくわからんが、その紫の蝶ってのが何か関係してそうだな」
このメンバーでは少し太めの男が言う。
「じゃあ探すか?」
とりあえず、今手がかりになりそうなのは全員が目撃した“紫の大きな蝶”のみ。眉傷の男の一言で、全員が蝶を探すべく森を進んだ。
しばらく森を歩き回ったが、何も手がかりは得られず、高い木を見つけて木登りの得意な俺が登ってみたが、見渡す限りの森だった。
「この分じゃこのまま森で野宿だな。今のうちにできることをしておこう」
いつの間にか眉傷の男が俺たちのリーダーのように振舞っているが、こんな時は自然にこういう役割が生まれるのを俺はよく知っている。
「火を起こせるといいんだがな」
坊主頭でも前髪が薄いのがわかる、少し痩せこけた男がそう呟くと、太めの男がニヤリと笑う。
「へへっ、偶然今朝看守が落としたのを拾ったんだ」
そう言って、袖口からマッチを取り出した。
「俺の名は “陳 俊杰” 貧しい寒村の生まれだが、近くを浜洲鉄道が通ってて、遠くの踏切の音が聞こえるんだ。踏切の音が鳴るとみんなで走って行って、貨物列車に手ぇ振ってたな。踏切のそばに咲いてたコスモスを、今でも思い出すよ」
眉傷の男はそう名乗ると、身の上話を始めた。
火が起こせるという安心感は半端ない。まだ日は高いが野営地を決めた俺たちは、焚き火を囲んで話し始めた。
ここにいる全員、同じ類の犯罪で収監された囚人だ。互いの身の上話は興味があった。
陳の話は続く。
「田舎モンはさ、都会に憧れるだろ?だから俺は、15で哈爾濱に出た。上海なんかと比べりゃ田舎だって言うけどよ、東北部の田舎からすりゃ哈爾濱だって大都会よ」
俺たちが収監されていた砂俄監獄は、黒龍江省最大の監獄だ。省都哈爾濱で犯罪を犯したやつも多く収監されていたと聞く。
陳は、富裕層になることを夢見て哈爾濱へ出たが、まずは生きていくために様々な仕事を転々としたと言う。
そんな中、悪い仕事に手を染め、その仕事でヘタを打ったらしい。
「命からがら逃げ出したんだ。もちろん、哈爾濱にもいられなくなって、けど田舎に帰ろうにも金がねぇ。俺は線路沿いを村に向かって歩き始めてたよ。その時さ、運命の女と出会っちまったのは」
陳の「運命の女」って言葉に、全員が息を呑みながらも、少し興奮したようにニヤける。わかってるんだ、この後何が起こるか。ここにいる全員が似たような経験をしているはずだから。
「貨物列車が通り過ぎた時だ。踏切の向こうに、田舎で見たコスモスと同じ色の服を着た女が立ってた。良い女だった。どうせ俺の人生このまま転落していくだけだと思ったらよ、最後にちょっとぐらいって思うだろ?だから俺は、その女に声をかけたんだ。そしたら、その女がいきなり悲鳴をあげたんだ!!」
来たっ!!陳を除く全員が目をギラつかせた。
そう、砂俄監獄の第六区に収監されていた俺たちは、全員が性犯罪者なのだ。当然、犯した罪は性のネタでしかない。
俺たちは、陳の話の続きを固唾を飲んで待つ。
「その悲鳴を聞きつけて誰か来ちゃマズイと思って、俺は女の口を塞ごうと手を伸ばしたんだよ。そしたら、その女は俺の顔面を平手打ちで殴りやがった!!そしたら、お前ならどうする?お前ならどうする!?
そうだろ、カッとなってやり返すだろ。俺も頭に血が上っちまってよ、その女を地面に組み伏したんだよ。そしたら、誰かにこう、頭を踏みつけられたんだ。見ろ、この傷!!その時の傷だ」
言って、陳は左眉の傷を指差す。
「女がデッケェ声で叫びやがったから、人が集まって来ちまってよ。俺はボコボコに殴られたよ。警察が来て、現場は収まったけど俺は手錠をかけられて連れて行かれた。
どうやら、女が俺に犯されたって言ったらしくて、目出度く性犯罪者よ。どうせなら本当に犯して捕まりたかったぜ。それぐらい良い女だったよ」
「嘘言え、本当は犯したんだろうが」
「やってねぇよ。けど、それで罪になっちまうのがこの国だろ」
ふくよかな男が突っ込むが、陳の返答に皆んなが納得した顔をする。
だろうな。俺もそう思うよ。
「違ぇねぇ。俺も似たような理由で捕まったしな」
そう呟いたのは、前髪が薄い少し痩せこけた男。
「俺は金だ。“金 子墨”。俺もアンタと同じ、線路沿いの農村の出さ。13〜4ぐれぇの頃にぁよ、冷てぇレールに耳をあてて、列車が走るレールの響きを聞きながらよぉ、街に出てぇなぁって、遥かな旅路を夢見てたもんよ」
陳に続き、金も身の上話を語り始める。
金は、14歳の頃に村一番の美少女に告白して振られたらしい。その勢いで金は、哈爾濱程じゃないが大きな街へ出て働いたそうだ。大人になり、偶然その村一番の美少女だった女と再会したらしいが、その時には既に結婚していて人妻だった。
女は旦那に不満があり、愚痴を聞くうちに金といい雰囲気になったらしいけど、いろいろタイミングが悪くて結局手を出せなかったそうだが、2人きりで会っていたことが旦那にバレて、何もしてないのに強姦したことになってて警察に捕まったんだとか。
「お前こそ、そんな状況で手ぇ出さなかったのかよ?」
さっき突っ込まれた陳が、同じような突っ込みをすると、男達は手を叩いて笑った。
「俺ぁ、“玉 健周”。そっちの2人と違って俺ぁ町の出身だ。哈爾濱程じゃねぇがよ」
ふくよかな男…玉は生家も裕福な方で、大学の受験も経験している。陳と金を見下したような言い方に俺は一瞬イラついたが、当の本人達が聞き流しているようなので俺も気にしないようにした。
「けどよ、俺の人生は大学合格までだったよ」
玉は、大学合格の祝いに買ってもらった日本車で、意中の女を誘ってドライブに出たらしい。
女に綺麗な景色が見たいと言われて、行ったこともない山道に入って行ったらタイヤがパンク。
ボンボン育ちの玉には、スペアタイヤに交換するなんてことも出来ようはずもなく、女に散々罵倒された。
「付いて来ただけの癖に勝手なことばっかり言いやがるんだ!!挙句にゃ「お腹すいたから、そこの川で魚でも獲って来てよ」だぞ!?けど俺も惚れた弱みで言い返せねぇからよ、仕方なく川に降りたよ」
コイツ、ダメなヤツだ。
「斜面は急だし草ばっかり生えてやがるし、足滑らせて川に落ちた俺を女は腹抱えてゲラゲラ笑いやがるんだ。流石の俺も腹が立って怒鳴り返したさ!!そしたら女は俺に石を投げて来やがったんだ!!」
そこからは聞くも絶えない泥沼だった。
玉は、女にやり返してやろうと転げ落ちた斜面を、女に石を投げつけられながらも何とか登って、女に襲いかかり、揉み合いになった……という話を事細かに玉は語る。
「そのまま押し倒して犯しちまおうって思ったんだが、俺たちの様子をずっと見てた釣り人がいてよ、そいつが止めに入って来たんだよ。でよ、何をどう見てたかしらねぇけどよ、女に「このまま放置するな、強姦未遂で訴えなさい」って言うんだぜ!!おかしくないか!?」
いや、今お前「犯しちまおうと思った」って言ったぞ?
こうして玉は、釣り人という証人を味方に付けた女に裁判で負けて、監獄行きになったという。
「壮絶だな。お前らの話と比べたらツマラねぇかもしれねぇけど、俺の話も聞いてもらっていいか」
これまで静かに聞いてたもう1人の男が、ポツリポツリと語り出した。
「俺は“棒 梓睿”。哈爾濱に近い町の生まれだが、家はあんまり裕福じゃねぇ。それでも高等中学(※日本でいう高等学校)までなんとか卒業させてもらったから、俺は親への恩返しのつもりで働きに出たんだ。それが……」
日本の高校と同じ18歳で卒業した棒は、給料は良いがキツい肉体労働を選んだ。
裕福ではないとはいえ、食べることに困るほどの貧困でもなかった棒は、体は丈夫で肉体労働で体を壊すこともなく、体力をつけていった。
就職して1年ほど経ったある日、棒は親方の娘に遊びに誘われた。
娘は、19歳の棒より5つも歳下の14歳だったが、顔立ちは美しく整っており、棒は誘われるままに遊びに応じた。
親方の娘は、月に1度、多い時でも3度誘われることはなかったが、棒といる時間をとても楽しんでくれていた…と、棒は語る。
「けどよ、ある日2人で入った飲茶の店で、店員が言うんだよ。「娘さん、今日のボーイフレンドもイカしてるね」って。俺は一瞬何の事だかわからなかったよ。俺はその店に行ったのはその日が初めてだった。けど、どうやら彼女は他の男とも来ていたらしいんだ。俺はその場で彼女を問い詰めてしまった。彼女は、弁解するどころかアッサリ認めて、信じられないくらい冷たい顔でサヨナラって出て行っちまった。二十歳になったばかりの俺は15の女に弄ばれてたってことだった」
弄ばれてた…と言えば情けなく聞こえるが、さっきまでどうしようもない男達の話を聞いていたせいか、棒の話はとても純情で悲しくて綺麗だと感じた。
「それでも、それでも俺は彼女が好きだった!!別れを告げられた彼女を責めたりもしたけど、彼女の心を掴みきれなかった俺が悪いんだと、こんなどうしようもない俺なんかいっそ死んだ方がマシだと泣いたよ。恋は一度と信じてたんだ」
あ、ヤバイ。俺も泣きそうだ。
「で、そっからどうやってこんな監獄に来るような事になっちまったんだよ」
棒に共感して涙腺が緩んでいる俺の横で、玉が現実的なこと言う。確かにそうだ。俺たちは性犯罪者、純愛がどうやってそんなことに……
「ああ、今から話すよ。俺は本気で死のうと思って、6階建てのマンションの屋上へ登ったんだ。けど、いざ飛び降りようと思った時に、せめて彼女と恋人らしいことをしてから死にたいって思って、そのまま彼女の所まで行ったんだ」
「恋人らしいこと?」
陳が問う。
「ああ、恥ずかしいけど、彼女とは手も繋いだことがなかった。彼女はまだ15になったばかりだったし、なにより、彼女と同じ時間を過ごすだけで幸せだったからね」
そして棒は彼女の家に押しかけたわけだが、そこは当然親方の家で、呼び鈴を押して出て来たのは親方だった。
娘に何の用だと迫られ、ビクビクしながらも「大事な話があるから」と一歩も引かない棒。次第に双方声を荒げ始め、騒ぎを聞きつけた娘が玄関まで顔を出した。
そして
「彼女の顔を見た俺は、思わず「もう一度抱かせろ!!」って言っちまったんだ。バカだろ?一度も抱いたことないのに、見栄を張ったのさ。けど、それでブチキレたのは親方さ。思いっきりぶん殴られて「まだ未成年の娘に貴様は!!訴えてやる!!」って怒鳴られて、その宣言通り訴えられたよ。運が悪いことに、その時騒ぎを聞きつけて近所の奴らも遠巻きに見てたらしくて、おれの「もう一度抱かせろ」って言葉を皆んなが聞いてたんだ。俺は、手も繋いだこともないのに、未成年への性的暴行で監獄行きよ」
な、なんとも理不尽な………
棒の話を聞き終え、男たちは哀れみの視線を棒へと向けた。
「お前は、どうして“あんな所” にいたんだ?」
陳がそう言って、全員が俺の方を見る。
「俺か?俺はお前らほどドラマチックじゃないよ。旅先で酔った勢いでやらかして、そのままお縄よ」
「もっと詳しく聞かせろよ。お前、ちょっと言葉が訛ってるけど、日本人か?」
「育ちはな。生まれはこっちの農村だが、8歳の時に日本へ渡ったんだ。婆さんが残留孤児でよ。こっちにいた時は張だったけど、日本では婆さんの旧姓の鬼頭って名前になった。ある時、ふと故郷に行きたいって思って、1人で村へ帰るために東京から飛行機で哈爾濱へ飛んだんだ。子供の頃に来たきりだった哈爾濱は思ったより変わってて驚いたよ。懐かしさで目が冴えちまってなかなか眠れなかったから、ホテルで1人で酒を飲んでた。さっきお前らが言ってた浜洲鉄道の警笛とガタンゴトンって走る音を聞きながらよ」
既に陽は地平線に落ちていて、焚き火の炎に照らされた男達の顔が郷里の雰囲気を思い出させる。
「酔いが回って眠くなって来て、電気を消してベッドに入った時だ。ドアをドンドン叩く音と、女が「開けて!!」って騒ぐ声が聞こえて来たんだ。俺は、女が暴漢に襲われてるのかと思って慌ててドアを開けたら、寝間着姿の女がそこに立ってて、急に抱きついてきたんだ」
男達は息を飲む。自分達が未遂で終わったにも関わらず、性犯罪者の烙印を押されてしまったが故に、リアルな性体験を期待して…。
「俺が何事か問いかけるよりも早く、女のキスで口を塞がれた。人に見られちゃマズイと思って咄嗟にドアを閉めたんだが、これが間違いだった。寝ようとして灯りを消してたから、お互いの顔もわからなくなった。長いキスが終わって、女は俺の手を取ってベッドに誘うんだ。素面ならもう少し疑ったんだろうけどな、俺はハニートラップって言葉も思い浮かばず、これはホテルのサービスなんだと思ってそのまま女を受け入れちまった」
「マジか!!羨ましすぎるだろ!!」
「女は美人だったか!?」
「待て待て、話はここからだ。コトが終わった頃には暗さにも目が慣れてたから、お互い見つめ合うと顔がはっきりわかる。女は綺麗な顔をしてたよ。でも、女が突然悲鳴をあげるんだ。状況が理解できない俺は慌てるしかなかったけど、何故か女は「出て行け!!」って言うから、「ここは俺の部屋だ!!」って言い返して部屋番号も言ってやった。女は部屋を間違えただけだったんだ」
「そんなことで、そんなオイシイ思いができるもんなのか?」
「その女が、新婚旅行だったらしいんだ。旦那と飲んでて、部屋にもトイレがあるのに何故かロビーのトイレまで行って、帰ってくる時に部屋を間違えたらしい。あとから裁判で言ってたんだが、旦那にサプライズを仕掛けようと思って一回外に出たんだと。まったく無関係の俺がとんでもないサプライズ受けちまったよ」
男達は俺を羨ましそうに見るが、海外旅行中に故意もなく性犯罪者になって、そのまま現地の監獄に収監された身にもなって欲しいよ。
そんな俺の気も知らず、男達は“コト”の内容を詳しく話せと言うので、話せる範囲で語っていると…
パキッ
と、何かが枯れ枝を踏む音がした。
ここは森の中、野生動物が現れたかと思い、全員が音のした俺の背後へ意識を向ける。
焚き火の明かりしかない暗闇から姿を現したのは…
「妖精?」
誰かがそう呟いた。
そう表現したくなるほど、幼くも整った顔立ちの、西洋人らしき金髪の美少女が、怯えたような顔で立ち尽くしている。
少しゆったりしたデザインの白っぽいワンピースも、妖精っぽさを演出している。
「なんだ、ガキか」
陳が呟くが
「女だ!!」
玉が吠えた。
「生の女なんて見るのは何年振りだろうな」
金の目がヤバイ。
「ここは人里離れた森の中、何が起きても知れることはない…」
棒、お前純愛はどうした?
男達が美少女に向かって一斉に身を乗り出すと、美少女は悲鳴をあげて逃げ出した。
て、陳!!
お前さっき「ガキか」とか呟いてなかったか!?女ならなんでもいいのかよ!!
しかし
「西洋人風の美少女、監獄からいつの間にか深い森……まさかコレは、異世界か?」
出遅れた俺が、現状に関するある可能性に気付いたその時
「うわぁああああーー!!!!」
美少女を追いかけて行った男達が悲鳴をあげて戻って来る。
「どうした…わっ!?」
俺を掠めるように何かが飛んで来て、焚き火に当たると「ジュッ」と蒸発するように消えた。
「熊だ!!」
「弓矢を持った熊が出た!!」
すれ違い様に妙な事を聞いた気がしたが、熊が出たなら逃げるしかない!!
俺たちは、弓矢と水の塊のような物を飛ばす熊──おそらくここが異世界なら、熊型のモンスター──から必死に逃げ続けた。
「つまり、お前の仮説だとここは中華どころか地球でもないと」
熊のモンスターから逃げ切った所で、俺はさっき思った事を皆んなに告げた。
「ああ、日本じゃそういう小説やアニメが流行っていてな。さっきの熊は魔力を持ったモンスターで、美少女はたぶんエルフだ」
陳の問いにそう答える。
さっきまで、年端もいかぬ西洋風の美少女にいきり勃っていた男達は、またさっきまでの沈んだ受刑者らしい表情に戻っていた。
「なんてこった。だがそう思えば、遠くへ来たもんだなぁ」
「このままどこまで行くのやら…」
男達は、口々にボヤいた。
「だが、こんな異世界らしいところに飛ばされはしたが、俺たちは監獄から出られたんだ。脱獄したんだ!!考えようによっちゃ…」
「そうだな!!俺たちは自由だ!!」
俺の言葉を遮るように、玉が目を輝かせて叫ぶと、沈んだ顔の男達に希望が差した。
俺たちは5人で協力して、森の中で生き抜くことを誓った。
ご閲覧いただきありがとうございます。誤字・脱字、矛盾点等ありましたら、ご指摘頂けると幸いです。




