南西
「やぁやぁ。よく来たね!待っていたよ。」
ご機嫌な声でイザヤを迎えてくれた南はそのテンションのまま喋りだした。
「最近は碌でもない事件が多くて嫌になっちゃうねぇ。何にもないけど、ゆっくりして行きなよ。あ!そういえば最近入手したなかなか評判の良い茶葉があるんだけど、どうかなぁ?きっと気に入るよ!」イザヤが一言も発することを許さないかのようによく動く舌はきっと紙で出来ているのに違いない。
おっと…それは自分もか。
「ところで、用件は何かな?僕割と忙しいんだけど。」
お茶を注ぎながら南は用件を尋ねた。
「ん。ちょっと確認したい事があってな。」差し出された茶を手に取り、一口…
「…………。」
よくまぁ顔に出さなかったものだと自分を褒めたくなるほどこの茶は不味かった。
例えるならばここに来る時に見た猫の『カラカラ』の糞を乾かしてからからに乾かして粉末にしたような味だった。よく毒味役も耐えた物だ。
(俺あてのもてなしか?)
あまりの不味さに体が拒絶反応をおこして胃の中から逆流してきそうな様を耐えながらイザヤは放火犯から聞きだした『ノヴァ』と言う男について尋ねた。
「ノヴァ…ねぇ。聞いたことあるような、ないような。」立ち上がり唐突に棚をガサゴソ漁り始める南。
ここぞとばかりにイザヤは紅茶の中身を自分のと入れ替えてやった。ざまぁみろ。
「知っていることがあれば何でも話せ。」
「オヤオヤ、随分と余裕がなさそうだね?」
「だろ?だから余裕綽々なアンタにこうして聞きに来たんだよ。余裕過ぎて無防備にも白衣の中も素っ裸のアンタにな。」
「ふふっ、大変だねぇ。疑われちゃうと。」
(アンタのせいだっつの。)
イザヤはニコリとしながらも心の中で悪態ついた。
イザヤの辞書に『苦手』という言葉を引けば奴が出てくる事だろう。(きっと奴も同じだろう。)
奴は血に手を染めようとしない。それはイザヤ的には悪い考えだとは思わない。
しかし全部が全部それで解決しようとする姿勢はこの世界では間違っている。いつどこで刺されてもおかしくない世界だ。
そして何より頭がキレるのにどこかそうでないように演じている事が何となく自分とキャラが被っていることをイザヤを苛立たせた。
彼は資料を見つけるとそれをペラリとめくりながら糞味の紅茶に口をつける。
「昔チョロッと聞いた噂話なんだけどね。」
半分のみ干したのにもかかわらず全く変わらない顔つきにイザヤはつまらなそうにため息をついた。
(これだから変人は…。)
* *
ヒョウはある強い感情により息をするのも忘れていた。目の前の壁一面に、時計の図形が描かれていたからだ。正面、横向き、どれも精密かつ的確に。
ヒョウは時計にこそ興味はなかったが、『この場所(地下)』でこんなにも沢山の図を描いた人物に、強い興味とそして感動した。
更に奥へ足を進めると部屋の隅に猿のように腰を丸めて必死に手を動かしている男の姿を見つけた。
「あの…。」
この人がこれらを一人で描き上げたのだと思ったら声をかけずにはいられなかった。
しかし返事がない。
「あのっ!」今度は声を張り上げる呼びかけてみる。だがやはり返事はなかった。
もう一度声をかけようか悩んだが、やめた。人に集中しているときに話し掛けられるのが嫌なのはヒョウも同じだからだ。
暇になったヒョウは、その辺にあった望遠鏡の凝縮版のような物を手に取った
…その瞬間だった。
ガンっ!
と後頭部に痛みを感じて頭を抑えると共に怒声が聞こえた。
「勝手に触るなっ!!」
「………っ。」
ムッとして声の方へ振り向くと、ヒョウはまた、呼吸が止まった。
そこには、自分がいたからである。
いや正確にはヒョウではない。髪の色なんて白馬のような銀髪だし、眼鏡もかけている。ヒョウと似ても似つかないがその雰囲気が『自分と同じ』だと思ったのだ。
向こうも驚いたかのように目を見開いた。
が、すぐに逸らしてヒョウに投げつけた鈍器…時計を回収した。
「あ~あ。また作り直しだよ。全く…。」
見たところ20代前半くらいの若いモヤシのような男はまるでヒョウが悪者であるかのように言い放ち作業を続けた。さすがのヒョウもムッとして言い返す。
「君が投げつけてきたんだろう?」
「投げさせたお前が悪い。」
(なんちゅー屁理屈だ。)
ヒョウは呆れて言葉も出なかった。こちらを見ずに男は尋ねる。
「なんか用?」
「イザヤが君なら知りたい情ほ」「誰だよそいつ。」
「…西の頭首だ。」
思い出すように固まり、やがて納得したように肯首すると彼は作業をやめず言った。
「僕は地下について何も知らねーよ。別の奴じゃないのか?」
「でも、南の頭首も君が『ケイ』だって言って部屋まで案内してもらった。」
「……。」
なんとも言えない表情をする男。どうやら反応的に彼が時計屋の『ケイ』で合っているようだ。
「…時計、好きなのか?」
「好きなんてもんじゃない。僕は芸術作品を生み出しているんだ。」
(……?)
言っている意味がよく分からないが、とにもかくにも時計は好きなようだ。
「地上について聞きに来たんだ。」ヒョウ長かった前置きに終止符を打ち、本題に入った。
「地上…?」ピクリと顔が強張った。芋虫を食ったかのような顔だ。
「俺は地上に行きたい。だからどんな些細な事でもいいから情報が欲しいんだ。」
「…分かった。」
もっと渋るものだと思っていたヒョウは目をぱちくりさせた。
「何だよ。」
「…いや頼む。まず、ここから出る方法を試した事あるか?」
「ある…けど、全部不発弾に終わった。」
彼曰く、壁にナイフを刺し続け登ろうとしたり、鈍器を紐に結びつけ幾度となく投げ続けたそうだ。そして飲食も忘れてバタリと倒れた所を(デジャブ?)西の頭首…なんとイザヤに拾われたそうだ。
そこからはなんやかんやで今は南にいるとのこと。
「僕がどれだけ頑張っても無理だった。羽根でもない限りあの穴から出る方法はない。」
「…そうか。」
けれど決して諦めるつもりはない。
今のヒョウにとってそれが生きる目的なのであり原動力なのだ。どんなに困難な事であってもおいそれとやめる事は出来ない。
「……あ~~~クソ。また駄目だ!」
頭をガシガシと掻きながら時計屋は大きな紙をグシャリと丸め捨て、机にうずくまった。何やら停滞気味のようだ。
ヒョウはゆっくりと近づいて静かにグシャグシャの紙を開き、それをみた。
「…何が駄目なんだ?よく出来た懐中時計じゃないか。」
「駄目なんだよ!何もかも。全部不発弾だ。………ん?」
「時計は不発しないだろ?格好いいからって多用するな。」
「…ちょっ…今、お前今。なんて言った?」ワナワナと震えながら自分に似た男は問う。
「懐中時計。不発しない。多用す」
「なんで懐中時計の事を知っているんだ!?」
言葉を被せるように大声で言う時計屋に思わずはぁ?という顔が出てしまった。
「だって。持ってるから。」そう言うや否や時計屋は目を丸くした。
そして「うおぉぉぉぉーーーーーっほっほっほぉ!!」と発狂しだした。
「……!精神安定剤。」小躍りする時計屋を背にヒョウはバックから注射を取り出そうとした時、待てと時計屋に制止された。
「い、いらない。……フハハハハッ…ハハッ…ふふっ。」
「………。」
フーフーと息を整え、ようやく落ち着いた時計屋はそれでもニヤけた顔をこちらに見せながらこう尋ねた。
「お前さ……一色家の人間?」
「!」
その反応を見て更にニヤける時計屋はこう続けた。
「もしかしたらお前の懐中時計。僕のじいちゃんが作ったのかも知れない。」
ヒョウは誇張なしに体が強張り頭が真っ白になった。
「…お、…お……お」
「お?」
「おおおぉぉぉ!!」時計屋ほどではないが大きな声を出したヒョウがそのあと時計屋と共に小躍りしたのは言うまでもない。
* * *
「さっきは投げて悪かったな。…そのつい、カッとなって。平気か?」時計屋は謝った。
「いや俺も、勝手に触ったから…こちらこそごめん。時計も。」
「いいよ。また失敗作だったから。……さて、どこから話そうか。」
ケイの祖父は修繕屋だった。
彼は派手な物が好きでいつでも最先端な物を身に纏っていた。気の合う仲間と楽しく話すその後ろ姿は父よりも若々しく見えた。ケイはそんな祖父を格好いいと思っていたし、尊敬していた。
なぜなら彼こそが時計の素晴らしさを教えてくれた恩師であるからだ。
上国には時計や時間という物が存在しない。あるのは決まった時間に決まった本数なるベルの音のみだ。そんなベル時計を不便に思いながらも誰一人として変えようとは思わなかった。
それが当たり前だったからだ。
そして、その不便を知っていながらも時計を作っていながらも、それを世に生かそうとするつもりは祖父にはサラサラなかった。
一度その理由を聞いたことがある。
「わしはな、何も儲かる為にやっとるんじゃあないんだ。修繕屋で小遣い稼ぎ程度に儲かった金で時計をイジるのが好きなんじゃ。」
「え、なんで?じいちゃんが時計を作ってあげたら、みんな喜ぶよ?」
「ワシの作ったのは不完全な“不発弾”なんじゃよ。そんなもん、人様にはあげれやしない。」
「え、じゃあなんで『イッシキさん』にはあげたの?」
「………。」
「ねぇ、なんでー?」
「うっさいわー!」
「アハハハハッ!!やめっ…やめろぉ~。」
脇をコショコショとくすぐられケイは身をねじらせた。
まだずいぶんと幼かった自分は『あの言葉』の重みを理解出来なかったことだろう。
祖父は優れた時計屋だった。誰がどう言おうともひいき目が入っていると言われようと独学でここまでやって来られるのは本当にすごい事だった。
いつの頃だっただろうか、気がついた時にはもうルーペを目につけて祖父の真似事のように時計をイジっていた。
けれど、父が来たときは別だ。
父は祖父の小さな店を忌み嫌っていた、ケイが祖父に懐く事もまた同様に。
祖父の話になれば毎回のように悪くいう父親とケイはよく戦っていた。
しかしあるときを境に、戦うことをやめてしまった。無駄だと悟ったからだ。
父の言葉をどんなに否定してみても、どんなに祖父は素晴らしいかを伝えても、父の気持ちは石のように固く変わることはなかった。
抵抗をやめてからはケンカする回数は目に見えて減少した。父の言うことに答えもせず、反抗もせずとにかく聞き流した。
なぜ柔らかく、優しい祖父から頑固で融通の聞かない父が生まれてきたのかが不思議でしょうがなかった。そしてなぜこれほどまでに祖父を悪く言うのかも、分からなかった。
祖父の亡き後、父は祖父の宝の城をケイの承諾なしに売り払った。
そこでケイの中の堪忍袋の緒が切れ、何年ぶりかに大げんかして家を出た。
今思えば、父は決して悪い人ではなかった。融通も聞かず、面倒臭くは合ったがその生真面目さを心の底から嫌う事は出来なかった。
けれど、あの家には二度と帰るつもりはケイには更々ない。
家出をして早数年、金を稼ぐため昼夜膨大な量の仕事をこなす傍ら、ケイは大好きな時計作りに打ち込んだ。苦しい事には変わりなかったが、それでも前よりはうんと幸せだった。
やがて金を貯めたケイは祖父のように「修繕屋」を開いた。儲けれるかだなんて問題ではなく、『好き』の為に始めたのだ。
それは昼飯を買いに外に出たときの事だった。店の近くで小さなツインテールの幼子が座り込んでいたのだ。
けれどケイは「待ち合わせか」程度で前を通り過ぎた。
そして何時間かして買い物から戻って来ても、まだそこにたたずむ少女を見て、ケイは内心イライラしていた。少女がいる場所は丁度、店の前である。
「お嬢ちゃん。そこにいたら商売の邪魔だよ。どっかいきな。」多少乱暴な言い方だと思ったが童顔のケイはこれくらい言わないと子供からでも子供扱いされてしまうのだ。
「駄目なんだよ。」少女は真っ直ぐな視線を動かさずに座り込みながらポツリと言う。
「何でだよ。別の場所に行けばいいだろ?」
「残念だね。でも駄目なんだよ。」
「はぁ?他にも場所あるだろう?そこで待ってろよ。」
「そうしたいんだけどね。駄目なの。」
全く言うことの聞かない少女にケイは眉をひそめた。最近の子供は皆こんななのだろうか。
「さっちゃんがね。ここに来るのね。だから待ってるんだよ。」
「…いつだよ。」
「それが分からないんだよ。」
「………。」
少女はどうやら時間が分からないようだった。そもそも時計というものがないからだ。待ち合わせをしているのだが、いつまで経ってこないそうだ。
友達を待ち続ける健気な少女を見て、不思議とケイの心の中に父親に向けて思う哀れみとは違う憐れみが生まれた。
ケイは部屋に戻ると引き出しから一つの時計を取り出した。祖父の時計を真似た最近作り上げた傑作だ。
急ぎ足で彼女の元に戻ると、それを差し出した。
「ここの針が12になれば昼飯の時間だ。友達と約束したければ、これからは2の時に集まれ。そんでこれで見ろよ。」
少女はキョトンとした顔でケイを見ていたが時計の針が動くにつれて段々目を輝かせた。
嬉しそうに時計を触る少女を見てケイも思わず笑みを浮かべた。
その二ヶ月後、男達が突然ケイの家に押しかけてケイを拘束、及び逮捕した。
訳も分からないケイに男達はいつか少女に渡した時計を見せつけた。
そして引きずり込まれるようにある建物に連れて行かれ、取り調べという名の拷問を受け、どこで時計の存在を知ったのか、どうやって作ったのかを根掘り葉掘りと追及された。
祖父のこと、独学で勉強した事実を全て素直に述べても、もっと深く聞き出す所か殴りたくてしょうが無い男達を見て、ケイは怯えを通り越し怒りに満ちていた。
なぜ自分がこんな目に逢わなくてはならないのか、よく分からなかった。
長時間の尋問の後、四人の男に押さえつけられながら望みもしてない入れ墨を一本、右腕に入れさせられた。
悪人を捕まえた正義の味方気取りの男はケイをお縄につけて楽しそうに言った。
「時計はもうあるんだから。お前は用済みだ。」
「……あ?どういう意味だ!?」
「とうの昔に時計なんかはもう作って貰ってるんだ。だからてめぇがいくら時計を作ろうがそれは『必要』がねぇんだ。」
「……はぁ?」
二人の男はケイを強引に外に連れ出して街の中で自分を見世物にするように歩き出した。
「やぁね、息子と同じくらいの歳なのに」
「外国の規制品を売ってたんでしょ?それでお金を稼いでたとか…」
「しかもそれにウイルスつけてねぇ、だから最近病が流行ってるのかしらね」
「少女趣味なんだろ?ソイツ」
「誘拐を企ててたとか」
「少女の似顔絵を部屋中に飾っていたって聞いたぜ?」
「気持ち悪~」
「早く『地獄』へ行くべきよね」
周りの人々の声は嫌でも耳に入る。頭はモヤがかかったように歪んでいて何も考えら
れなかった。
(違う…それは、僕じゃない。)
人にどう思われてもどう言われても構わない。けれどもやっていないことをやったと濡れ衣を着せられるのは許せなかった。
「最低だな。」
「最悪だ。」
「あの偏屈じいさんの孫なんだろ?どうりで…ふふっ、おかしいわけだな。」
唇を噛みながらそれを聞き流していたがケイにはもう限界だった。
セミのように鳴く群衆に耐えきれずケイは、叫んだ。
「僕は、何もしてないっ!!」
一瞬だけ静まり返ったが、すぐにその静けさも終わる。
「犯人っていつもそう言うよね。」
「おー怖…何もしてなかったら捕まる訳ないよな。」
誰一人としてケイを悪だと信じて疑わない様を楽しむような笑みを浮かべる男は「罪人を信じるわけないだろ?」と小声で言うと、再びケイを引きずった。それはいまでも鮮明に思い出せる醜い顔だった。
(あぁ………そうか。)
ケイはそこでさっき男が言っていた意味を全て理解した。
祖父が昔、国に雇われた元時計職人だった事。そして自分は『規制品を売りさばいていて少女を誘拐しようと企てたいた』罪を着せられた事。
そして何より祖父が作った時計は国民には渡されずこんなクズの集まりのような上の人間のみが使っている事。
ケイを引っ張る男達の胸元に昔祖父が設計したであろう時計が一瞬だけ光った気がした。
(腐っている。…こんな国は。)
ケイは今から地獄へ行く。罪人がもう助けてくれと叫び懇願するあの地だ。死より苦しい罰が与えられると云われるあの場所だ。町を抜け、川を渡り、森を抜けた先には大きな穴がぽっかりと空いている。
穴の前に立たされ、言い残す事はないかと言う質問を無視をした。
瞬きした次の瞬間には下へ下へと落ちるケイにスポットライトのような光が背中に力強く差した。
(…じいちゃんはこんな世界だから時計を諦めていたのか。)
幼き頃に聞いた祖父のあの苦々しい顔をスッと思い出した。
* *
話を聞き終えたヒョウはひたすら黙っていた。なんといったら良いか分からなかったからだ。
「地上なんざ止めておけ。」全て話し終えたケイは顔を上げて真剣なまなざしでこう言った。
「時は止まってるんだ。あそこは。」
じっくりと数秒使い「今まで考えたことないのか?帰りたい、とか。」とたずねた。
「最初は思ってた。でも…もういいんだ。諦めたとかじゃなくて、こっちがいいんだ。」アッサリとそう言うケイにヒョウは俯いた。
「……俺は地上の政府に会いたいわけじゃない。家族に会いたいだけだ。それが果たせなきゃここにいても死ぬに死にきれない。生きるに生ききれないんだ。……ゴメン。」
「別に僕には関係ないんだから謝らんでも良いのに。…フフッ、律儀な奴だな。」
おかしそうに笑うケイにヒョウは肩をすくめた。
それから二人は沢山のことを話し合った。
きっと互いに地上国から来たという共通点があったからだろう。最初の出会いが嘘のように喋り尽くした。
医療がどうだの時計がどうだの女の好みから胸の大きさ、地下の食事から地上のマル秘グルメまでどうでも良いことから深い話まで頭が真っ白になるまで話し盛り上がった。
気づけばもう夜が明けていて、西から光が差し込んでいた。
「あ、もう朝だ……ゴホッゴホッ。」喉が乾燥してヒリヒリと痛い。
「おかしいなぁ、お前と僕は初めて会ったはずなのに全然そんな気がしない。」
「…俺もだよ。」
ごろんと寝っ転がり横を向きながらケイは尋ねた。
「なぁ、僕たちって何なんだろ?」
「……何の話だ?」
「いや…だからっ…お前と僕は……た、例えるなら今はどうゆう関係に値するんだ?」
「はぁ?なんだよいきなり。」
「な、なんだって良いだろ?…答えろよ。」
突然そんな物語でいいそうな台詞が出てきた事にヒョウは驚きながらも、彼の言いたい事はなんとなく分かった。
お互い空気が読めず、すぐ思ったことを口にしてしまう質なので久しぶりに本音を言い合えたのが楽しくてつい、確認したくなってしまったのだ。お互いの存在の在処を。
「親友………とか?」
二人の間に沈黙が走り、少し気まずくなる。
「いやいやいやいや。それはないな。親友ってのは親しむと、書いて友だろ?僕たちはまだ半日しか経ってない。まだ友達だ!そんな程度だよ!……ったく。」
満更でもなさそうに笑いながら拒むモヤシのような男にヒョウも「そうか。」と頷いた。
「うん。親友はないなっ。親友は。」
「そうだな、俺も風呂を3日間入らない奴とは親友になれない。」
「うっせ。俺も傷口フェチな親友なんざいらねーよ。」
そうして、二人は顔を見合わせて笑った。
南と西はバリバリで仲が悪いです。




