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セント・フリークス  作者: 羊洋士
一章
8/25

夜の邂逅

やっと物語、動きます。

夜の街。

明かりは満月の月と、ポツポツと吊るされている街灯のみ。

暗いこの街の石畳を1人の男が歩いている。


「はぁ~暗くなってしまったな」


ロバートだ。

ロバートはシュウジとの修練の帰路についていた。

考えるのはシュウジの今後。

人に物を教えるということに慣れていないロバートは頭を悩ませる。

どうしたものか。

どう教えれば上手くいく?

シュウジのことは気に入っている。

あの位の年齢の若者は皆どういう人生を過ごすか分からない。

可能性があるといえば陳腐に聞こえるかもしれないが、自分とは違う人生を歩くかもしれない。

自分はギルドに属し、それを正しいと考え進んできた。

それはこれからも変わらないだろう。

だが、彼らは彼らの時代をこれから始めていく。

それは時代が変化ということだが、自分の知っているものとは全く違う世界になる。

そのことが少し楽しみだ。


「はぁ。俺も老けたな」


ロバートはタバコを取り出し火をつける。


「いつも一緒にいる仲間はタバコってか。それだけじゃ満足できなくなってきたってことは、それそろ老後を考えるかね」


少し気が早い気もする。

だが、遅いよりもいいだろうという気もする。

さしあったてはシュウジの事。

教えるという事。


「自分はどうだったっけ?」


自分にも師はいた。

だが、それは多くの門下生ような師で、自分が聖術を覚えたのはどちらかといえば仲間の存在が大きい。

仲間と夢を語り、仲間と競い合い、仲間と協力する。

シュウジにはそれがいない。

彼の周りにいるのは、彼よりも進んだものばかりだ。


「ライバルがいないってのは、どういう気持ちかねぇ」


自分に置き換えて考えてみる。

今のシュウジの立場だったら。

もしかしたら、周りより遅れていることに対して拗ねていたかもしれない。


「今でも若干、拗ね気味だしな。あいつら全員かわいい嫁貰いやがって」


そうしてロバートは苦笑。

聖術とは心の御業。

若い頃の記憶はその後の人生に直結する。

ロバートは、躍起になって修行して、今とは違う力を手にしていた可能性もある。

だから、正しい方向に導いてやりたいという気持ちがある。


「正しいなんて、おこがましいったらありゃしない」


さて、どうするか。

また考え始めたときにロバートは声を聴いた。


「うわぁぁぁ!!」


叫ぶ男の声だ。

もう声帯は枯れ始めている印象があった。


「!?」


ロバートは考えるより前に声のするほうに走った。

周りに注意を張り巡らせ、武器を出す。

三十センチほどの長さの棒だ。

棒の先には錘が付いている。

急ごしらえの武器だ。

だが威嚇にはいいだろう。

足に括りつけていたそれを出し、速やかに声の方向に走る。

角を曲がりそこで見たのは、血を撒き散らし倒れている男性。


「おい!!そこのお前、動くな!!」


傍らに佇む小さな影だ。

影は黒い布で全身を多い、顔が見えない。

背も体も小柄だった。

その小柄な影はこちらに気づいて飛んだ。

数メートルの距離を上に飛び、民家の屋根に乗った。


「聖術師か!?」


影は飛び乗った屋根から、別の屋根へ跳躍。

ロバートもすかさず、相手を追うために跳躍。

追撃が始まる。

影は2つ3つと屋根を飛ぶ。

ロバートもそれについていく。


「なめんなよ!!」


ロバートが加速した。

2人の間はみるみるうちに縮まってゆく。

影はロバートに気づく。


「っ!!」


振り切れないことを誘うと影は失速した。

そして振り返ってロバートを正面で捕らえる。


「いい度胸だな!!」


ロバートが影に迫る。

影はそっと唇に人差し指を添える。

静かにといっているような仕草だ。


「俺がうるせぇってか!?」


投げかけた怒声をよそに影は唇を動かした。


「サイレント・コール」


途端にロバートの視界が暗転する。


「!?」


ロバートは驚いた。

こりゃなんだ!?

だが次の瞬間にはロバートの頭は冷やした。

危険な状況になればなるほど落ち着くのは長年の経験ゆえだ。

やつの聖術か。

効果は何だ?

目は見えないが、風を感じる。

足には飛んだときの屋根の感触を覚えている。

音はする。

鼻は・・・今は分からん。

つまり、視力を奪われたということか。

やっかいなだな。

なら、次にやつの取ってくる行動は?


「来るか逃げるかだな」


そう1人で呟いた。

瞬間に腹部に感触を得る。

そこで視界が戻った。

見ると影が宙を移動しているロバートの腹部にナイフを突き立てていたのだ。


「やっぱそっちか」


反転して止まったのは攻撃をする意思だろうと思った。

でなければ、反転したときにフェイントで攻撃するか、反転しないかだ。

これは直感だった。


「だがお前。術を解くのが早かったな」


影はナイフの感触に驚いた。

手ごたえが無いのだ。

その理由を影が見る。

刀身が解けていた。


「ドローワールド。それが俺の力の名前だ。もう逃げられねぇよ。さて、どうしてくれるか」


ロバートはまず、布を剥がそうと手を伸ばす。

手が届く前に影が言葉を話す。


「予想外だけど、これはこれでアリね。サイレント・コール」


若い女の声がした途端、ロバートは手を伸ばせなくなっていた。


「!?」


気がついたら影は目の前からいなくなっていた。

正面には空間に亀裂が入っていた。


「ドローワールドの境界。逃げられたか。」


何をされたかを考える。

視力が暗くなった。

それは突然のことでだが、あれがやつの能力だったかもしれない。

視力を奪う能力。

だが、2回目の発動はこちらの動きを止めた。

どういう聖術かわからないが、ひとまず


「恐ろしい力だな」


と思った。

そうしてロバートは武器をしまった。



夜の街。

月の光も届かぬ場所に1人の影がある。

先ほどロバートと逃走劇をやってのけた影だ。


「はぁはぁ、ぐぅ!!」


影は苦しみに耐えている。


「聖術を使いすぎた。まさか見られるなんてね。でも終わるわけにはいかない」


影は上空を見た。

建物で空は切り取られ、星々の一部しか覗けない夜空を。


「まだ、復讐を果たすまでは・・・」


その声は人影のいない夜の街に溶けていった。


行き遅れ気味を感じるロバート君ですが実は年は若い。

周りが早いだけです。

そういえば、初めて聖術使いましたな。

聖術の名前は使用者が好き勝手付けるので名前どおりではないことが多々ありますっていうか、いつも名前どおりじゃないと思います。

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