教会にて
戦闘があけて次の日。
ロラは教会にいた。
教会で1人の少女が祈っている。
膝を突き両指を絡めて目を瞑っている。
俯いている白い顔には表情は無い。
そこに、1人の人が少女に近づく。
背の高い男だ。
「ロラ。精が出ますね」
「神父さま」
ロラが神父の言葉に反応し目を開いて神父を見る。
神父は微笑んでいる。
「今日も来たのかい?」
「はい。私の日課なんです」
ロラは祈るのをやめ、立ち上がる。
そして言葉を発する。
「私はいつもここに来ます。何故だか自分でも分からないんです。こういうのっておかしいですか?」
神父は首を横に振る。
「おかしくなどありません。ここはすべての人のためにあるのです。静かな気分になりたいとき、罪を許されたいときなど様々な理由でここに訪れる人はいます。そして、我らが女神はそのことに対して寛容です」
「女神様は私を許してくれますか?」
「女神様は誰だって許してくれます。そのものが本当に許されたいと願うなら」
「じゃあ・・・」
ロラは立ち上がる。
「じゃあ、今からお前を殺しても許してくれんのか!?」
ロラが武器を取り出した。
大きな曲線の刃を持った武器だ。
それは死神の持つ大鎌に似ている。
「レイブン!あの男を喰らえ!!」
ロラの後方から闇が吹き出した。
闇は水のように広がり、そして神父に向かって収束する。
「ロラ。気に病む必要はありません」
神父がそう言った。
言い終わると同時に闇が止まった。
時間を停止されたかのように、神父の喉下寸前で。
「ロラ。確かに貴女の聖術は知られました。その上でターゲットを取り逃しました。それは失敗と思ってしまっても仕方ない事です。ですが、決して失敗なのではない。貴女の価値は寸分も下がっていないのです」
ロラは険しい表情を表した。
「うるせぇよ!!私の価値は私が決める!!テメーに口答えされるいわれはねぇ!!」
「ロラ。それはいけない。価値とは人との繋がりの結果であり、周りの人々から言われるものです。その事を忘れてはいけません」
「じゃあ価値なんていらねーよ!!」
神父がロラの言葉に対して応じた。
神父は停止している闇の横をすり抜け、一歩ロラに近づいた。
「ロラ。分かっているでしょう」
そうして語りかける。
「こうして力を私に見せるということは、あなたも価値が欲しいと願っている証拠だということを」
「分かんないね!!」
ロラはぐっと大鎌を握る手に力を込めた。
神父はもう一歩と近づく。
「貴女は私を殺せない。それは貴女自身がそう選択したから。選択とは決意です」
「いきなり何を言ってるんだ?」
一歩、一歩。
「選択することは女神により約束された最上の事。貴女はその時点で高潔な人なのです」
また一歩。
ロラの寸前まで近づく。
「だから何言ってる?殺されたくなくてそう言ってんのか?」
ロラは嘲笑を浮かべる。
この神父をいつでも殺せる筈だという自覚がある。
だから接近されても取り乱しはしない。
神父の攻撃より早く、こっちの攻撃を当てる。
しかし神父は構える様子がない。
神父は力の入ってない右腕をロラに伸ばす。
「!?」
ロラが警戒して腰を低くする。
次の神父の行動は、ロラの頭を撫でることだった。
神父はロラの頭の上で右手をゆっくりと左右に振った。
「!?」
「今回も良く頑張りました」
ロラは神父の腕を手で払う。
「さわんな!!」
ロラが神父を見上げるように睨む。
神父は微笑んでいる。
「はー。もうどうでも良いや。寝る」
そういって、ロラは床に前から倒れこむ
倒れてすぐ、寝息を立て始めた。
「やれやれ・・・」
神父はため息をついて、ロラの体を抱き上げた。
そして、教会にある長いすに運ぼうとする。
「ん・・・うんん・・。神父さま・・・?」
運んでいる途中でロラが目覚める。
ロラは目を擦り、神父を呼んだ。
その途端、抱きかかえられているという現状を理解した。
「あ!ごめんなさい!!私!」
「いいのですよ。ロラ。きっと疲れていたのでしょう。しばらく休んでいきなさい」
ロラは慌てて否定する。
「い、いえ!これから学園ですので!!」
赤面するロラを床に降ろす。
「じゃあ、あの、行ってきます!!」
そう元気よく言って駆け出す。
「躓かないようにしてくださいね!」
ロラは大声で返事をして、学園に向かう。
残された神父は教壇の後ろに向かう。
そして後ろにある用具箱から、モップを取り出す。
そのモップで床を拭いだす。
掃除をしながら、神父はため息をつく。
「はぁ。どちらの彼女が幸せなんだろうか」
そんなことは決まっているとも思う。
だが、彼女の置かれた現状と過去はそれを許してくれない。
それに、彼女は彼女の力と行動によって戻れなくなっている。
「でも私は、彼女の為にしてやれることなど・・・」
そういって広い床を端から拭っていく。
満遍なく全体を綺麗にできるようにと。
どぅんどぅん分けわかんない人たちが出てきてるような・・・
この話の主役はロラちゃんです。
シュウジの友達と同じ人です。
影薄かったけど・・・




