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セント・フリークス  作者: 羊洋士
三章
22/25

激闘の二

影とマリーとの戦い。

マリーは押されてついえようとしている。


針が下から出現する。

ロバートと少女を貫くために。

先端は細く、先端から離れるごとに太くなり、太いところで45センチほどだ。

人がまともに貫かれれば確実に死ぬ。


「喰らい尽くせ!レイブン」


黒衣の影の叫びに対してロバートは顔を歪ませる。

間に合わないと感じていた。

針を迎撃すること、針を避けることに対してだ。

針が2人に向かって迫る。

だが、突然それは起こった。

2人の姿が消えた。

針の攻撃は全て空を裂く。

敵を見失った針は自身の体を霧散させた。


「!?」


黒衣の影が疑問した。

なにが起こったのかわからない。

視界は奪われていない。

確実に見えて2人がいた場所を知覚している。

ならばなんだ?

2人がいきなり消えたというのか?

どうやって?

考えていると1人の少年が夜の暗闇から歩いてくる。


「出て来いよ。次は俺が相手」


そういうのは1人の少年。

シュウジだ。

腰には鞘をぶら下げて、手には日本刀を持っている。

黒衣の影は追加で針を出す。

今度は確実にシュウジを狙って。

猛スピードで迫る針に対し、シュウジは体を動かした。

ほんの半歩横にずれた。

ずれた後、もといた場所に針が出る。


「!?」


更に針を追加。

今度は複数。

針は土埃を上げながら床を埋め尽くす。


「今度はだれ?」


しばらくの沈黙の後、黒衣の影が姿を現す。

その問いかけに答える声がある。


「ただのしがない学生だよ。シュウジと呼ばれてる」


土煙が次第に晴れていく。

少年と黒衣の影は向かい合う。

そして、戦闘が始まった。


「レイブン!!喰らい尽くせ!!」


そう叫び黒衣の影が手をシュウジに手を伸ばす。

その手に呼応するように闇の爪が周囲を掻き毟りながらシュウジに突撃する。

轟音を響かせながら走るその爪を前にシュウジは小さく呟いた。


「カネサダ。打ち落とす」


瞬間、シュウジの姿が消えた。


「はぁぁぁぁ!!」


怒声が響く。

その怒声と時を同じくして、無数の爪の先端が裂けていく。


「追加して!!レイブン!!」


闇の爪はどんどん数と勢いを増してゆく。

シュウジはただそれを全て切り落とす。


「うぉぉぉぉ!!」


それを見た黒衣の影は両手を上に向かって大きく振り上げた。

その手と呼応するように大きな闇が出現した。

黒衣の影の聖術である闇が彼女の腕と同じく2つの大きな爪を作ったのだ。


「喰らいなさい!!」


そして影は両手をクロスさせながら振り下ろす。

爪も同様に互いを交差させて振り下ろされた。

シュウジはその攻撃を見ると、刀を構えなおした。

そしてその大きな爪に向かって床を蹴って走り出す。


「ちぇぇぇぇすとぉぉ!!」


シュウジの渾身の力をこめた横振りの攻撃が放たれる。

大きな2つの闇と無数の闇の爪は刀の軌道に合わせて二分される。

そしてシュウジは切った闇の先を見る。


「!?」


黒衣の影がいなかったのだ。


「とった」


静かな声が後方から響いた。

その瞬間シュウジは黒衣の影がどこにいるかを悟った。

攻撃を目くらましにシュウジの後ろに回ったのだ。

手には大鎌が握られている。

黒衣の影はその大鎌でシュウジの首を刈り取る。


「フフ!!」


大鎌を振り切る。

黒衣の影は楽しそうに笑った。

だが、その笑い声は振り切ると同時に止まる。

空振りした。

そして黒衣の影にとってもっと面白くないことが起きる。

ガラスが割れたような音が響いた。

黒衣の影が周囲にまとい、体をまとっていた闇が弾けたのだ。


「うっ!!」


腹部には鈍い痛みが走る。


「カネサダの刃では、切ることはできなかったか」


声は黒衣の影の影の後ろから響く。

どうやってそこまで移動したのかわからない。

だが、シュウジはそれに構わず言葉を続けた。


「だが、投降しろ。お前は包囲されている」


黒衣の影は周囲を確認する。

廃屋の周りや2階部分に人が並んでいるのが分かる。

ギルド員だ。


「なるほど。全員を呼んできたのね。あなた。でも、これくらい突破できないと思って?」


「さぁね。まず目の前の僕を突破しなよ」


そう言って剣を構える。


「なるほど。あなたはあの2人を助けるのね」


黒衣の影が闇を操る。

影を覆うようにして足元から闇の噴出させた。

シュウジは危険を察知し、後方に下がる。

闇に覆われた黒衣の影が言う。


「さようなら」


闇の噴出が止まった後に黒衣の影は無かった。

シュウジはそれを見て、警戒する。

が、その後動きが無いことに安堵し腰を降ろす。


「ふぅー」


そこにロバートが声をかける。


「初めての実戦で使った感想はどうだ?」


「つかれた・・・。それよりロバート無事?マリーは?」


「お前あいつのこと知ってたか。あの娘は無事だよ。全くお前ら手ごわすぎだよ。ガキの癖に」


「そんなことない。俺とマリーが2人そろって取り逃がした」


「あんまり功を焦るな。ともかくここのマフィアも全滅ではないし、多少は恩を売れたけど、総体的には大損だな。アリサに殺される」


「アリサさんなら、悪口言っても、ちゃんとその後取り返しそうだ」


「そこがあいつの嫌なとこなんだよなー」


ロバートが苦笑。

シュウジも笑いを吹き出した。


「シュウジ・・・」


声を掛けられる。

声の主はマリーだった。

マリーはシュウジの名前を呼んだまでで沈黙し、その次の言葉は続かなかった。

ロバートがシュウジに促す。


「ふぅー。お疲れマリー。取り逃がしたけど次があるよ」


マリーは俯いたままだった。


「今回を逃した私には、もう次がない。もう顔がバレてしまった。もうおしまい」


それを見たロバートはマリーに声をかける。


「なぁマリーとか言ったな。ギルドに入らないか?こんな有望な人材を放って置くわけには行かないな。今回の共同戦線ではなかなかの働きをしてくれたし」


マリーが驚く。


「共同戦線・・・?」


今度はシュウジが笑う。

その笑うシュウジを他所に、ロバートは続けた。


「建前的には入団試験みたいなもんだと思ってくれ。シュウジからの紹介ってのはお前のことでいいんだろ?」


「そうだよ」


「まぁ返事は今度でいい。今日は帰って休めよ。後はギルドの俺達が片付けておくから。なー!!役立たず諸君!!」


ロバートが叫んだ声に、周りに笑い声が起こる。


「ロバートさんそれはヒドイっすよ」


「そうだぜ。自分だって死に掛けたくせに」


「俺らがいなかったら死んでたぜ」


「うるせーうるせー。後片付けするから、誰か手伝え!!」


「えー俺ら学生だから正式なギルド員ってわけじゃないし」


「そうだよね。給料低いしー危険はあったしー」


「おまえら・・・」


そのやり取りを他所にシュウジはマリーに話しかける。


「まぁ今日は帰りなよ。また明日学園で詳しい話をしよう」


「・・・うん」


マリーはうなずいた。

これからどうするかは決まっていないし、それはマリー自身ではどうしようもない事だ。

それを覚悟していたからこそ、この次はどうしようかと迷っているのだろう。

とりあえず今日は疲れたので、帰って寝たいとシュウジは考えていた。


「じゃあ帰るか。送っていくよ」


「・・・うん」


終わり・・・・

本当はもうちょっと続きます


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