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セント・フリークス  作者: 羊洋士
一章
11/25

自己修練

どうぞ、お楽しみを


夕日は西に傾きだして少し経った。

学園の一日ももうすぐ終わり、自由な時間なりつつある。

一日の最後の講義は担任の女性からのものだ。

講義も半分聞いて、半分は机に片肘を突いて考え込んでいた。

先ほどのジョニィの話を聞いて、結論は固まりつつある。

後はどうするかだ。

後をどうするかと考え出すと意外に気分が悪くない。

先ほどまで不安で仕方なかったのが嘘のようだと思う。

正しいことをやれと諭されて、それにに準じるだけでこんなにも気分がよくなるんだから我ながら単純だと思う。

その自分に楽しさを感じていた。

あとはどうするかだ。

戦闘は極力避けるのは基本方針だ。

ロバートを退けるほどの相手。

だが、積極性を失っては仕事をする意味が無い。

それを"正しい"とは思えない。


「単純に聖術はあったほうがいい」


そう誰にも聞こえないように呟いた。

たとえ弱い聖術であっても、奇を付けば逃げることぐらい出来るかもしれない。

相手は迷わず逃げたのだから、自分を狙っている人間を見つけ出して殺そうとまではしない筈だ。

それらは希望的観測だ。

だが、それでいい。

その方が今はいい。


「んじゃあ、今日はおしまいね。言うことも何も無いからさっさと帰って大丈夫だから。じゃあ明日ね」


そう言って講師は教科書を閉じ、そのまま部屋を出る。

この担任はいつもこうなのだ。

始めのうちこそ生徒はこの担任の素早さに唖然としていたが、今となっては慣れてしまって皆すぐさま自分の行動に移る。

シュウジも帰宅の準備をしていた。

そこにジョニィが声をかける。


「おーいシュウジ。帰るぞ!!」


「ごめん。今日は自己訓練をして帰る」


「おう分かった!!じゃあな」


今日は4人では帰らない。

マリーとロラがそれぞれの用事であるというのだから元々、シュウジとジョニィだけで帰るつもりだったが、シュウジはその時間を自己訓練に使う。

ここでの自己訓練はロバートと行っている基礎体力作りや武道関係ではない。

この学園は放課後に、授業で行った聖術促進領域を開放しているのだ。

シュウジはそこに向かう。

廊下を歩いて授業のあった教室に入る。

そこにはすでに何名かいた。

扉を開けて入ると、講師が振り向いて話しかける。


「シィ!!静かに席について始めなさい」


扉の音がうるさかったようだ。

シュウジはその言葉に対してお辞儀をすると後ろの席に移動して座った。

荷物を床において深呼吸をする。


「すぅ~ふぅ~」


そうして目を閉じる。


「聖術か。そろそろ応えてくれたって良いんじゃないかな?」


そうしてシュウジの聖術訓練が始まる。

焦らない。

ゆっくりやるためにリラックスする。

そして無心になるように心がける。

無心とはなろうとしてなれるものではないとシュウジは思っている。

だからそういう時にやる儀式がシュウジにはあった。

音を聞く。

遠くの音を聞くのだ。

風のざわめきや鳥の声、街の人々の怒声など遠くを意識する。

より遠くへより深く。

そうすると集中しやすくなる。

だから、それをやった。

今日は風が穏やかだな。

小鳥がさえずっているのは学園内の木の上かなたぶん。

そうすると不意に音が消えた。

無音になる。

シュウジは目を開ける。

目を開けると一面の闇の世界で刀が黒い床に刺してある。

いつか見た夢の通りだ。

シュウジはそれに向かって手を伸ばした。

まさかの教師(老婆)ルート突入か!?


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