下調べ
三章突入
学園での犯人探しと、ロバートとの訓練をしている間に数日経った。
だが、未だに犯人の糸口すらつかめていない。
その日のシュウジは学園にいた。
もちろん授業に出るためだが、それだけではない。
犯人と思しき人物を探す。
シュウジはアリサとロバートの言葉を思い出す。
「まぁ学園生、特に1回生にいるとは思えながな。動機と力がそろってるやつなんで一回生では珍しいだろ」
「わからないじゃない?ロバートが役立たずで弱かったから逃げられたってだけかもしれないじゃない!!」
「お前は俺を役立たず扱いしたいだけだろ」
「そうよ?そのほうが給料安くなるじゃん!!当然でしょ!?」
そう胸を張っていっていた。
アリサの断言はともかくとして、一回生で犯人がいるという可能性は確かに低いとシュウジは思う。
聖術を覚えたての生徒にそこまでのことができるのか?
そこまで自分の聖術の対して理解があるのか?
それが理由の大部分であった。
だが、証拠もそろわらぬこの状態では多くの情報があったほうが良いとも思う。
だからこそ、アリサは自分に仕事を回したのだ。
「とは言ってもなぁ」
シュウジは天井を仰いでそう呟く。
「どうかしたの。シュウジ君」
天井を見ていた視線を前方に向ける。
そこにはマリーが立っていた。
「いや。ちょっと悩んでて」
「ふーん」
マリーが興味なさげに呟いてシュウジの隣に座った。
そして、カバンを机の上において、中身を漁りだした。
取り出したのは教科書。
マリーは教科書を読むことで暇を潰しているのだ。
パラパラとページを開いて適当なところで止める。
「今日は何のページ?」
「聖術の成り立ちについて~賢王の偉大な決断~」
マリーが内容を口に出して答えた。
「この文章ってあんまり面白くないのよね。俺の王様カッコいいぜって自慢してるみたいで」
「教科書の文章なんてそういった教育的なものが殆どでしょ」
「そうだけどね。こんな文章を書いてる人って平民の生活が想像できないんだわ」
「平民の生活?」
「そう。綺麗ごとだけでは誰も付いてこないってこと。軍に入るならともかく聖術師に綺麗ごとの見解なんて必要ないわ」
マリーはつまらなそうにそう呟いた。
なんでも出来てしまう彼女はあまり友達を作らない。
というより、彼女自身が無口なため、周りが近寄りがたいと感じているようだ。
それでも、僕やジョニィに対しては辛辣とも思える口調で接するので、人との関わりをたつというほど極まってはいないようだ。
ふとシュウジは疑問に思ったことを口にする。
「マリーは学園がつまらない?」
「そうかもね。でも全部がつまらないって訳じゃない。この学園にいたら本も読み放題だしね」
彼女は感情の起伏が読み取れない話し方だった。
本当になにも感じていないのかもしれない。
「そうね。悪くないって思ってると言った方が正しいかもしれないわね・・・」
マリーはそう付け加えた。
目は教科書に向けているが、視線は教科書より遠くのほうで焦点を結んでいるようだった。
「ねぇマリー。この前殺人事件が起きたのって知ってる?」
「どの殺人事件よ。人死になんてそんなに珍しいことじゃないじゃない」
「そうだけど、ほら、生徒達が良く話してるやつ」
マリーは少し考えるように間をおいた。
「・・・ああ。ロラちゃんが怖がってたやつね。聖術師が犯人か持って噂」
聖術師が犯人かもしれない事件というのはそれなりの頻度で起きる。
聖術師も、その名の"聖"の付く人物だけではない。
物を考え、生きていこうとする1人の人間なのだ。
だが、この件だけが注目されるのはおそらくは学園にいるギルド員が調査しているからだろう。
話の流れでそう触れ回って、情報を集めているのだ。
噂になったほうが話を聞きやすいと、そういう判断をしたのだ。
「でも、なんで注目されてんのかな?そんなの対して珍しくないじゃない」
「そうだね。聖術師が相手なら、自分が襲われても対抗できないって思ってるんじゃない?もしくは捕まえて名を挙げたいとか」
「名を挙げるならともかく、相手に対抗できないからってのは分からないわね。対抗できないから怖いって言ってるんだったら、この世の全てを恐れなくちゃおかしいわ」
「そうだけど、殺人犯は怖いからじゃない?何考えてるかわからないから」
「何考えてるのかわからないのは殺人犯に限ったことじゃないと思うけどね。誰だって人を殺せるし、私たちはその力を持っているんだから」
マリーはそう言った。
1人で呟いているとも取れる声だった。
マリーは言い終わると、教科書からシュウジの目に視線を移した。
「ねぇ、シュウジ君。もしかしたら私が犯人かもよ?」
シュウジは鼓動を早くした。
マリーの声が酷く落ち着いていて感情が篭っていなかったように感じられたからだ。
そして、その落ち着いた声に気押される自分を自覚した。
「どうしたの急に」
「別に意味なんて無いわよ。でも私は人を殺すかもしれないわ。私が人を殺すのは嫌だと思ってくれるかしら?」
「わからない。わからないよマリー」
「そ」
マリーは納得したように教科書に目を戻した。
シュウジの鼓動はまだ収まらなかった。
なんでそんな質問をするのか、シュウジには分からなかった。
シュウジ君は見つめられてドキドキしてます。
かくゆう私も彼女が出来たことが(ry
すみません、どうでも良かったです・・・




