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創作(タイトル未設定)  作者: ゼロ_Rose
序章-プロローグ「ロゼ」
15/22

(15) 冒険にハプニングはつきものだろう?

ひょんなことから始まった、迷子探し。みんなで武器を持って戦うことになった時は少し不安だったけれど、無事にコリンくんを見つけ、危険な魔物たちからこの子を守った。救助が少しでも遅れていたら、今頃コリンくんは魔物の餌食となっていたかもしれない。そう思うと、自分たちが成し遂げたことの大きさがじわじわと実感し始めて……でも、本当に自分たちがやったんだよね?と心の中で何度も確認してしまう。

 こんなに立派なことを成し遂げたのは、今まで経験したことがない。もしこのことを話したら、家族や学校、町の人に褒められ、誇られ、認められたり……するのだろうか?

 もしそうだったら……。いや、やめておこう。今は私たちと、あの親子だけが知っていればいい。


 大仕事が終わってしまって、一同はすっかりやることがなくなってしまった。全くないわけではないのだが、終わってしまった後の喪失感というのか、どこか寂しい気持ちに包まれている。とりあえず、ベンチで休憩することになった。

「一件落着だね、よかった。」

「だな~。あのチビ、もう危険なところに行かないといいんだが」

「大丈夫じゃないかなぁ。フィーネさんからも言われたし。」

「そらそうかぁ。」

「……んで、俺たちこれからどうする? まだ時間あるし、どっか行きたいところとかあったら行こうぜ〜」

 行きたいところか。むむむ……つい深く考えてしまう癖が出る。そういや、さっきの遺跡……もっと探検してみたかったかもしれないな。そう思っていたら、ロゼが先に口を開いた。

「それなら、さっきの遺跡に行きたいかも。まだ見ていないところもあったし、探検したいな」

「ロゼも気になってたんだ! 私も行きたい!」

「よっしゃ行くか」

「れっつご~!」

 偶然、ロゼの行きたい場所と私の行きたいところが被っていて、なんだか嬉しい。もしかしてロゼも遺跡とか古代って感じのものが好きだったり……?!いや、探検することが好きなのかな?もちろんそれも好きだ。

 つい先程行ったばかりなので、遺跡にはすんなり辿り着くことができた。しかし今度の目的は違う。純粋な好奇心と冒険心だけでここへやってきた。

「わあ……よく見たら床や壁にこんな模様ついてたんだなぁ。ちょっとかすれてるけど。同じようなのが多いや」

 ハルが不思議そうに見つめる。

「もっとこう、いかにもな壁画とか、あってもよさそうじゃね?」

「確かにね。もっと奥も見てみようか」

 更に深く探索していく。途中で魔物に遭遇したりもするが、同じ魔物しか出てこないのでさほど脅威ではない。

 先程は見ることができなかった部屋もたくさん探検していく。さすが遺跡というところか、一般的な部屋らしい部屋というのはほとんどなかった。相変わらず壁には、私たちには理解もできない文字なのか記号なのかが書かれていたりもして、さっぱり。よくわからないテーブルや家具があったり、そもそも家具が一つもない部屋もあって、この部屋は一体何のために存在しているのかわからない。

「こういう何もない部屋に宝箱があったりして」

「そんなゲームみたいな展開ねえよ、多分。」

「ちぇ~っ……」

 やっぱりこういうダンジョンに来るならば、宝探ししたくなるよね。

 

 暫く探索していると、ロゼが気になることを言った。それは研究のためなのか、盗賊が盗んでいったのかわからないが、多くの書物が取られてしまったガラガラの本棚が並ぶ部屋を探索していた時だった。

「……これ……」

「ロゼ、何かあったの?」

 ロゼが何かをじっと見つめている。彼の目線の先には他と何も変わらない、ひとつの本棚があった。

「いや……。気のせいかな、なんだか、この本棚の奥に何かがあるような気がして」

「奥? ひょっとして隠し部屋とか……!?」

「うおーっ、きっとそうだよ! 俺そういうの本で見たことある!」

「本かよ」

 もしかしてファンタジーでよく見る、本を押したり何かに触れたら仕掛けが発動するみたいな──

「……あ」

 ロゼが残っていた本にそっと触れた瞬間、本棚が重厚な音を立てて横にずれ始めた。

「う、うわわ……っ?!」

 本棚に隠れていた扉が姿を現した。どうやら彼の予想は当たっていたようだ。

 扉には何かの模様が描かれているが、相変わらず何を意味しているのかはさっぱりわからない。

「す、凄い……本棚が動いた……!」

「この扉……一体どこに繋がっているんだろうね」

「入ってみるっきゃねえよな! で、これどうやって開けばいいんだ?」

 確かにこの扉にはドアノブらしきものがなかった。よし、ここは押してみるしかない。

「押してみようぜ! う〜〜ん……」

 試しにハルが全身の体重をかけて扉を押し込むが——微動だにしない。

「あれ? おっかしいなぁ。もっと強く押せばいいのかなぁ」

 「んー、んーっ、」と踏ん張って扉を押すハル。しかし扉は、やはりびくともしない。

「やっぱりだめだぁ……」

「俺もやってみるね。」

「うんっ」

 ロゼがそっと一歩踏み出し、触れたその瞬間——扉に刻まれた不思議な模様が、まるで脈動するように淡い青白い光を放ち始めた。

「あっ……」

「うお……?!」

「まじかよ……」

「す、凄い……。ロゼ、どうやって開けたの……?!」

「俺もわからない……。」

 ゆっくりと開いていく扉の先は、薄暗くてよく見えない。通路になっていることくらいしかわからなかった。

 (……これはきっと、この先に何か凄いものがある。)

 ごくりと唾を飲みこむ。私たちは無言で頷き合い、先に進むことにした。

 通路に入ると、ぼんやりとした灯りのおかげで辺りが見えやすくなり、階段があることがわかった。そう長い階段ではなさそうだ。どうやらここは地下に繋がっているらしい。いかにも秘密の地下室という感じで、ワクワクする。

「足元、気を付けてね。」

 階段を降りきると、そこそこ広い円形の広間に出た。中央には謎の石造りの装置のようなものがあるが、よくわからなかった。どういうものかと言われても、うまく表現できない。機械ではないのだけ確か。わかりやすいスイッチとかもなさそうである。

「これ、なんだ……?」

 ハルが不思議そうに首をかしげる。

「何かの装置……なのかなぁ。 どうやって動かすんだろう……。」

「俺はさっぱり……ロゼ、なんかわかるか?」

 全員がロゼに注目する。

「……詳しくはわからないけど、何かを感じるような気がする……」

 何か、か。先ほどの隠し扉のことといい、ロゼには何か不思議なことが起こっているのかもしれない。何故なのだろう?ただ凄いとか、不思議だと思うばかりで、そこから先の考えには至らない。

「うーん……またロゼが触ってみたら何か起こったりするかな?」

「……そうかも。やってみる」

 みんながごくりと息をのむ中、ロゼがそっと装置に触れる。

 ——すると。

「……!」

 装置はやはりロゼに反応したのか、光り出した。起動したんだ。水色なのか青色か、とにかく青系統の光が私たちまでも包む。

「わっ……な、なに……?!」

 次の瞬間、あたりの空気が一変した。

 柔らかな光の玉と、星屑のような粒子が無数に舞い上がり、部屋全体を満たしていく。まるで満天の星の中に放り出されたかのような、幻想的で神秘的な光景だった。

 あまりの出来事に皆は息を呑み、言葉を失う。本来なら怖がるべき状況なのかもしれないが、眩い光の中でハルとレイは少年らしく目を輝かせていた。

「すげ〜……どうなってんだ! なんか夢の世界みたいだな!」

「うおお……なんか光が浮いてるぞ!」

 ハルは目を輝かせている。年頃の男の子って感じだ。レイも楽しそうに周りをきょろきょろ見ていて、ちょっと面白い。私も同じようにきょろきょろしているのだが。

 それはそうと、ロゼはどうしたんだろう?さっきから何も言わないし、ずっとぼーっと立ったままだ。いつも冷静な彼だから、考え事でもしてる?でも、これはなんだか違うような……。

「ロゼ? どうかしたの?」

「……」

 ロゼの方を見て話しかけても、彼は変わらずぼーっとどこかを見つめていた。ロゼは何を見ているんだろう……?なんだか遠いところを見ている感じがする。私たちみたいに、今見えるこの不思議な空間に注目することなく……。"今見えるもの"?

 ロゼは私たちと見えているものが違う……?いや、まさか。もう一度話しかけてみよう……。

「……ロゼ?」

 虚空を見つめる彼の目。

「……聞こえる……」

 ぼそり、と小さく呟かれた言葉。

「え? な、何が?」

 その時、辺りがまた光に包まれた。

「うわっ……今度はなんだ!?」

 眩しくて目を瞑る。ロゼもそうしていたかはわからなかった。

 光が収まり、目を開けると、最初に光に包まれる前の部屋……つまり、元いた場所に戻っていた。

 私は真っ先にロゼの方を見た。

「ロゼ……、?!」

 彼はさっきと同じようにぼーっと立って……いや、違う。光……彼の周りからやや薄く光が出ているではないか。一体これは……。

「ロゼがなんか光ってる……?! どうしちゃったんだ!?」

「お、おい、大丈夫か……?」

 少しすると、ロゼの周りから出ていた光が消えていった。

「……。あれ、俺……」

 はっとしたようにして、ロゼがそう言った。どうやら我に返ったようだ。

「ロゼ……! 大丈夫?」

「……ごめん、なんだかぼーっとしてたみたい。もう平気だよ」

 困ったように微笑んでみせたが、その笑顔はどこか苦しそうで、無理をしているように見えた。やっぱり、何かあったのかな。

「綺麗だからって見惚れすぎだぞ〜?  ほどほどにしろよ~」

「あはは、ごめんごめん。……さ、もう装置も動いてないみたいだし、そろそろ戻ろう」

「……。」

 私は何も言えなかった。

「だな。しかしさっきの、なんだったんだろーな。凄そうな雰囲気はしたけど、ただその辺が光ってただけだし。」

「そうだよなー。わざわざこんなところに隠すんだから、秘宝の在り処みたいな凄い情報くれたっていいのに!」

 みんなで来た道を引き返す。結局、私たちは謎の空間に入っただけで、特に何か大発見をしたわけではなかった。いや、そもそもこの隠し部屋や装置を見つけた時点で既に大発見なのかもしれないが。私たちが期待していたのはその先のことだった。遺跡だし、古代の記録とか遺産の場所とかが出てくると思っていたのだ。だから少しだけがっかりしている。とはいえ、隠し部屋に謎の綺麗な空間など、驚きの連続ではあったのでこれだけでも満足はできる。もっと調べてみたら、何かわかるかもしれないし……。

 ……もしかして、その"凄い情報"も特別な人にしか見えなかったり……?

 ロゼは一体、何を見ていたんだろう。本当にただぼんやりしていただけなのか、何かをずっと見ていてそうなっていたのか……。しかし、何か見えたのなら私たちに共有してくれそうな気もする。私たちには教えたくないような内容だったということもあり得るが。まあ、そう深く考えなくてもいいか……。

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