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創作(タイトル未設定)  作者: ゼロ_Rose
序章-プロローグ「ロゼ」
13/22

(13) さあ、冒険に出よう

まずはみんなで、周辺の人に聞き込みをすることにした。


 一人目、暇そうな女の人。

「あの、すみません」

「今忙しいから……。他の人にしてもらえる?」

「わかりました……」


 二人目、機嫌が良さそうな老人。

「あの、こんな子って見かけませんでしたー?」

「ああ、見たよ。」

「どの辺りで見ましたか?」

「はて、どこじゃっけのぉ……さっき遺跡の道の近くを歩いてた気がするなあ」

「えっ、遺跡に?! ありがとうございます!」

「気を付けてな~ふぉっふぉっふぉ」

「……老人の記憶って大丈夫か?」

「……一応、もうちょっと人をあたろうか。」


 三人目、ホットドッグ屋の前で踊ってる変な人。

「すみません。この写真の子って見かけましたか?」

「んん?! その子見たネ! 遺跡の方の道に行ってたヨ!」

「ほんとですか! ありがとうございます。」


 情報収集が終わり、みんなで作戦会議に移った。少しまずい……どうやらあの母親の予感が的中したらしい。

「ど、どうしよう。あの子、本当に遺跡の方行ったのかも……」

「遺跡って最近魔物が出るんだろ? どんなやつだ? 俺たちでも倒せねーのかなあ」

「うーん、確か……大きなヒツジンだったりがいるって聞いたような……」

 遺跡の魔物出没情報はあるが、どんな魔物だとか詳しい情報はあまりない。元々あの遺跡は、子供が道に迷うかおふざけで忍び込むか、マニアの人とかじゃない限りあまり人が近づかないから情報が少ないのだ。

「ヒツジンくらいなら俺たちでもなんとかなりそうじゃないか?! 行ってみようぜ!」

「ちょっと危ないと思うけど……コリン君が心配だし、偵察はしたいね」

「それじゃあ迷子探索にしゅっぱつだー!」

「待てハル、素手で行くつもりか? なんか適当な武器とか持って行こうぜ。その辺に武器屋くらいあるだろ」

「あっ確かに! レイにしては頭回るんだな、ナイス」

「褒められてるのか貶されてるのかわかんねえぞ……」

「あはは……。さ、武器屋さんに行こうか。向こうにそれらしき店があるよ」

「は〜い!」

 武器屋に向かって歩いていると、さっきの母親に会った。

「あら、あなたたち! どう? 何か手がかりは見つかったかしら?」

「コリンくんのお母さん! ええと……」

「あらっ、名前言ってなかった? フィーネよ。やだわぁ~まだまだ若いのにもう抜けてるところがあるなんて……」

 まだ若いからほんとに大丈夫。

「物忘れは誰にでもあるから大丈夫ですよ、フィーネさん。」

「やだっ小さいのに紳士すぎる……うちの旦那と大違い……。じゃなくて!」

「何人かに聞き込みをした結果、コリン君は遺跡の方に行った可能性が高いんです。」

「嘘っ……! 悪い予感が当たっちゃったわ。」

 ロゼの話を聞いて、彼女の顔が青ざめた。

「そそ。だから俺たち、初心者用の武器を買って遺跡に行ってみるつもりなんだ」

「そうなの?! でも、子供だけじゃ流石に危ないわよ……」

「だいじょーぶ! 俺たちその辺のヒツジンくらいなら倒せるし! 偵察だけだから! ヤバかったら帰るよ!」

「そう……? ほんとに危なかったらすぐ引き返してね? それまで、この辺りに捜索をお願いできそうな大人とか探してくるから。あっそうだ、武器買うならこれ持ってって! ある程度のものはこれで買えるはずよ。」

 そう言って、フィーネさんは私たちにお金をくれた。必要な分を買い揃えられるくらいのお金。とてもありがたい。

「いいんですか……ありがとうございます。」

「お、おう……ありがと。」

 まさかお金をくれるなんて、という小さな驚きと、感謝の気持ち、そして丁寧に伝えることの恥ずかしさからくる、レイなりの感謝だった。

「いいのよ、これくらい。余ったらお菓子でも買うのよ。それよりも、くれぐれも危険な真似はしちゃだめだからね!」

「は~い!」

 フィーネさんって、優しいお母さんなんだろうな。母性があふれ出ている。私の親も、こんな感じだったら……。

 フィーネさんと別れ、武器屋に入った私たち。店主は小さな子供が入ってきたことに対して少々珍しそうにしていたが、私たちはそれを気にすることもなく武器を選んだ。

 私が今まで使っていたのは、畑や果樹を荒らす動物を追い払うためくらいのものだったので、本格的な「武器」に触れたことはほとんどなかった。一応、何回か戦闘訓練に似たことをした経験はあったはずだが。結局、本格的ではない。年齢を考えると別におかしな話ではないが。そんな私が武器など振れるのだろうか?そもそもどんな武器を買えばいいのか?だんだんと不安になってきた。もしかしたらみんなは、例えば冒険者志望で素振り練習とかしている人なのかもしれないし……。

「ロゼ、俺どういうの買えばいいのかなぁ。武器っていっても色々あって迷うよ~」

「うーん……そうだね。子供用・初心者用の軽い武器であれば、あとは好きなものを選んでいいと思うよ。直感でもいいし。」

「なるほど! じゃあこれかなー!?」

「俺はかっけぇからこれにしよ。」

「……俺はこれでいいか。」

 みんなそれぞれの武器を選んでいる。私も早めに決めないと。ナイフ、小型の弓矢、片手剣……色々な種類の武器があるから難しい。持ってみたいもの、いやそれよりもみんなの足を引っ張らないものは……。

「これかな……」

 片手剣。小さすぎず大きすぎない、いたってシンプルなもの。子供用として更に軽めに作られており、私でも振れそうだ。戦いに慣れるための第一歩としては、これくらいのものから始めるのがいいのかもしれない。

 ロゼも片手剣、レイは……なんだろう、これ。両端に刃がついてる。ダブルセイバーというらしい。そして、ハルは斧を取った。普段見かけるような薪割りなどの家庭用タイプではなく、戦闘用のやや大きめな斧。それぞれの個性が出ていて、なんだかかっこいいなと思った。

「私、剣とか振ったことないけど、大丈夫かなぁ」

 頼もしいみんなの姿を見ながら、私は不安を少しこぼした。

「大丈夫だよ! パチンコとは違うけど、んー……こん棒や斧と同じような感覚で使えばいいし! とりあえず振ればいけるんじゃね!」

 ハルが私の肩をぽんと叩いてそう言った。

「あ、確かに。使ってる人見たことあるし、真似できそうかも!」

「無理しないでね。あんまり女の子に戦わせたくないし……。いざとなったら、俺が守るから。」

「うひょ~っ、ロゼかっこいー!」

 横からハルがニヤニヤと冷やかしてくるせいで、余計に頬が熱くなった。

「わ、わかった……! でもみんなの足引っ張りたくないし、私もちょっとは頑張るよ!」

「おお、いい意気込みだな。」

 恥ずかしさを誤魔化すように意気込む私に、レイがにっ、と不敵に笑ってみせた。


 こうしてそれぞれの武器が決まり、精算を済ませ、みんなで遺跡に向かうことになった。

「さて……これから遺跡に行くけど、どんな魔物がいるか正確にはわからないから、気を付けて行こうね。危険だと判断したら引き返す。そして、戦うよりも優先すべきことは……」

「コリンくん探し!」

「きっと見つけような!」

「お~!」

 全員で声を揃える。こうして、偶然が重なった人探しが始まるのであった。


 まずみんなで、遺跡への道を進みながら軽く戦闘の基本やうまい逃げ方などを練習した。道にいた魔物は小ヒツジンばかりでさほど強くなかったので、スムーズに遺跡に辿り着くことができた。

「ここが遺跡か? 文字通り古っぽくてなんか出そうな雰囲気だな」

「な、なんかって……」

 ごくりと唾を飲む。

「そりゃオバケに決まってんだろ。な~ハル?」

「うん! このニオイ……これはきっと出るぞ~! 探検のしがいがあるなぁ~」

「どういう匂い……?」

 ロゼが軽く突っ込んだ。

「うう、わ、私オバケとか苦手だからね……、みんな絶対一緒に行動しようね?! 置いてかないでね?!」

 私は一人で震えあがってしまった。……そう、オバケとかそういう……怖いものが大の苦手なのだ。本当に苦手。苦手以外に言うことがない。

 子供の多くが怖がったり面白がったりする、想像上の存在でしかないとは聞く。実際に見たわけでもない。とは言っても、怖いものは怖い。ホラーなものである以上、それが存在しても存在していなくても関係ない。私の感情は勝手に恐怖一色で染まってしまう。

「大丈夫だよレイカ。お化けがいるなんて科学的根拠はないし……それに、俺が側にいるから。」

 そう言ってロゼが優しく微笑むと、私の恐怖は一瞬で吹き飛んでしまった。

「ロ、ロゼ〜……!! ありがとうっ!」

 さっきまでの怯えはどこへやら、今度は私の頭の中がロゼ一色で満たされてしまう。なんて単純なんだろう、私の頭は。

(やっぱりロゼって大人っぽくてかっこいいなぁ……。って、ダメダメ! デレデレしすぎて引かれちゃったらどうしよう……!)

 心のなかでぱしりと顔を叩き、切り替えを成功させよう。

「(ねえレイ、レイカってちょっとわかりやすいよな……)」

「(さっきからずっとお花のオーラが舞ってるように見えるぜ、俺)」

 二人がひそひそと話していたことに、私は気づいていなかった。

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