第8話 誓いの面会
面会だ、と看守が無愛想に告げた。
リゼットは顔を上げなかった。これまでも、何人かが面会を申し込んできた。教会の関係者、物見高い貴族、あるいは彼女を糾弾したいだけの者。会う気はなかったが、今回は看守が強引に立たせる。
「今日だけは、断るなよ」
そう言われて連れて行かれた面会室で、待っていたのは意外な人物だった。
「――リゼット」
その声に、リゼットは思わず顔を上げた。
「ユリアン……」
幼い頃から共に育った、たった一人の幼馴染だった。手には騎士の紋章が刻まれている。
「無事で、良かった」
ユリアンは椅子に腰を下ろすと、まっすぐにリゼットを見つめた。
「どうやら噂が広がっているんだ。お前が、聖女様を手にかけたって」
リゼットは目を伏せる。何も答えられなかった。
「でも、俺は信じない。お前がそんなことをするはずがない。何か、理由があるはずだ」
「……」
「頼む。何か言ってくれ。お前を助けたいんだ」
それでも、リゼットの唇は動かなかった。長い沈黙の後、ユリアンは静かに息を吐いた。
「分かった。無理には聞かない」
一拍置いて、彼はまっすぐにリゼットの目を見た。
「代わりに、俺が証明する。お前の無実を、絶対に」
その言葉に、リゼットの胸の奥が微かに揺れた。長く感じたことのない感情だった。
「捜査官として、正式にこの事件を担当することになった。だから――もう少しだけ、待っていてくれ」
リゼットは何も言わなかった。だが、去っていくユリアンの背中を、初めてまっすぐに見送っていた。
一人になった面会室で、リゼットは小さく呟いた。
「ごめん、ユリアン……」
その声は、誰にも届かなかった。
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それでは、また別の作品でお会いできますように。




