第37話 夜明け前に
まだ胸に残る不思議な満足感を抱えたまま、リゼットはふと、祭壇の脇に倒れたままのモーリスへ目を向けた。
意識を失ったまま、動く気配はない。
「モーリス様は……このままにしておくわけにはいかないな」
ユリアンが、倒れたままのモーリスを見やりながら言った。
「操られてただけの、被害者ではあるはずなんだけど」
リゼットは膝を折り、モーリスの容体を確かめた。息はある。
「王宮に突き出せば、魔王に加担した罪で裁かれることになる。でも……」
言葉を濁すリゼットに、ユリアンが頷いた。
「本当のことを一から話すしかない、ってことだな」
「そうだね。私がセラフィナを手にかけた理由も、聖剣のことも、魔王のことも。全部」
これまでずっと隠し続けてきた真実を、ようやく明かせる時が来た。
「一人で抱え込まなくていい。俺も一緒に説明する」
ユリアンの言葉に、リゼットは小さく頷いた。
「ありがとう」
差し伸べられた手を借りて、リゼットは立ち上がる。
夜明けまで、まだしばらく時間があった。
これから話す真実が、どれだけの人に信じてもらえるかは分からない。
それでも、もう独りではない。
そのことが、今の自分を支えていた。
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それでは、また別の作品でお会いできますように。




