第36話 同じ気持ち
「なあ、リゼット」
リゼットに肩を借りつつ歩きはじめると、気まずそうに切り出したのは、ユリアンだった。
「……何?」
「さっき、あいつが言ってたこと。覚えてるか? その、俺が……お前のことを好きだったっていう、あれ」
耳まで赤くしながら尋ねてくるユリアンに、リゼットはにやりと笑った。
「覚えてるよ。ばっちり」
「うっ……」
「一言一句、忘れてないから」
からかうように言うと、ユリアンは片手で顔を覆った。
「気にしなくていい。あれは、その……忘れてくれ」
「え、忘れないよ?」
「なんでだよ」
「だって、嬉しかったから」
あっさりと返された言葉に、ユリアンが顔を覆っていた手を止めた。
「……は?」
「私も。ずっと、同じ気持ちだった」
にこやかに告げると、ユリアンの顔が、今度は耳どころか首まで赤く染まっていく。
「お、お前な……」
「なに?」
「……いや、何でもない」
そう言いながらも、口元は緩みっぱなしだった。
その顔を見て、リゼットも堪えきれずに笑ってしまう。
つられるように、ユリアンも笑いだした。
長く苦しい戦いの果てに、ようやく取り戻せた、何気ない笑い声だった。
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