第34話 消えゆく声
「があああああああ!」
耳をつんざくような絶叫が響いた。切っ先が、黒い靄の中心を貫いている。
靄が内側から白く発光し始める。まるで焼かれるように、輪郭がぼろぼろと崩れ落ちていった。
「馬鹿な……この、私が……」
震える声が、次第に力を失っていく。
「……覚えていろ。私は、必ず……」
最後まで言い切ることなく、声は途中で掻き消え、光の粒子となって闇に溶けていく。
やがて、赤く光っていた二つの点も、跡形もなく消えた。
祭壇に、静けさが戻る。
手の中の剣が、粒子となってほどけ始めた。
一度使うと、消える。
セラフィナの言葉を思い出しながら、リゼットはそれを見送った。この剣は、また、どこかの誰かへと引き継がれていくのだろう。
光がすべて消えたとき、リゼットの中で張り詰めていた何かが、ふっと緩んだ。
床に膝をつきそうになりながら、リゼットはすぐに顔を上げる。
「ユリアン!」
倒れたままの体に駆け寄る。
肩を揺すると、ユリアンの喉から小さな呻き声が漏れた。
まだ息はある。生きている。
ただ、目を覚ます気配はまだなかった。
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