第25話 掴めそうな証拠
夕方、リゼットが図書館から戻ると、少し前に先に帰ると言っていたユリアンが家の前で待っていた。
「いいところに帰ってきた」
珍しく、声に張りがある。
「どうしたの?」
「掴めたかもしれない」
そう言うと、ユリアンは声を潜め、周囲を確かめるようにしてから続けた。
「聖女様の身辺を洗い直してたら、当時、頻繁に面会に来ていた下位の司祭が一人いたことが分かった。名前はダレン。今は郊外の礼拝堂に飛ばされてる。こいつがリゼットに罪を擦り付けた可能性が高い」
「……なんで、そんな人が」
「分からない。だが、記録から名前が消されていたことがわかった。誰かが痕跡を消そうとした形跡があるんだ」
リゼットの心臓が、静かに跳ねた。
私が犯人なのだから、そんなはずはない。ただ、もしかすると、自分が追い求めている相手がその人物という可能性もある。一度会ってみる価値はありそうだ。そうリゼットは考えた。
「会いに行きたい」
「危険かもしれないぞ? もちろん、一人で行かせるわけにはいかないから俺も一緒に行くが」
ユリアンは笑ってそう言った。まるでその言葉を待っていたかのような、妙にニヤついた笑い方が、リゼットの気持ちに小さく引っかかった。
「明後日の夜、礼拝堂に呼び出せそうだから、段取りをつけておく」
「……ありがとう」
礼を言いながらも、リゼットの中で、何かがちくりと引っかかった。
あまりにも、都合が良すぎる。
だが、この機会を逃す理由もなかった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もし「面白かった」と思っていただけましたら、下の☆☆☆☆☆から評価をいただけると、とても励みになります。ブックマークや感想もお待ちしています。
それでは、また別の作品でお会いできますように。




