第23話 蝕まれた聖女
モーリスは、いつも同じ場所に立っていた。
礼拝堂の奥、祭壇の前。
セラフィナが顔を上げ、疲れたような笑みを浮かべる。
「今日も、ありがとうございます、モーリス様」
「いえ。聖女様のお勤め、日々のご負担も大きいでしょう。それをお支えするのも、私の役目のうちです」
何度も繰り返された、ただの祝福の儀式。
セラフィナは、儀式のたびに、頬がこけていく。
「モーリス様、最近、少し力が抜けていくような気がするんです」
「それは、加護の代償でしょう。歴代の聖女様が皆、通られた道です」
そう答えたモーリスが自分を蔑む目で見ていることに、セラフィナは気づかない。
「セラフィナ様、明日もよろしくお願いいたします」
そう言うと、モーリスは両手を前に出し、セラフィナの手を優しく包み込み、祈るように目を閉じた。
「はい、モーリス様もお体を大切にしてください」
セラフィナは、先ほどよりも顔色を悪くしたまま、大聖堂から出ていった。
「ふふふ……あと少し。あと少しで、聖女を我が手に」
その声が、誰もいない大聖堂に響いていく。
それから数日後、聖女が殺されるという事件が起きるとは、王国内で誰も知る由もなかった。
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それでは、また別の作品でお会いできますように。




