第14話 重なる接触
それから数日のうちに、ユリアンは何度も大聖堂に足を運んだ。
訪れるたびにモーリスに笑顔で迎えられ、世間話を交えながら丁寧に相手をしてきた。
「捜査官殿は、律儀な方だ。忙しい合間を縫って、こうも足繁く通ってくださるとは」
「聖女様のためです。それに——リゼットのためでもあります」
モーリスは目を細めた。
「良い相棒がいて、あの娘も幸せ者だ」
夕刻近くになったころ、書類の確認を終え、ユリアンが辞去の挨拶をすると、モーリスは机の向こうから手を差し出した。
「今日も、ご苦労様でした。また何かわかりましたら私にもお知らせください。いつでも力になりますので」
「――こちらこそありがとうございました。モーリス様のおかげで少しずつ前に進めている気がします。今後ともよろしくお願いします」
ユリアンはその手を握り返した。
一瞬、部屋の空気がわずかに重くなったような気がした。
ユリアンの目が焦点を失ったように宙を泳ぎ、手を握ったまま数秒、その場に立ち尽くす。
「……捜査官殿?」
モーリスの声に、ユリアンは瞬きをして顔を上げた。
「――失礼しました。少し、立ちくらみが」
「無理はなさらぬように」
「大丈夫です。今日は失礼します」
一礼して部屋を出るユリアンの背中を、モーリスはしばらく見送っていた。その口元に浮かんだ笑みは、それまでのものより、ほんの少しだけ深いものだった。
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それでは、また別の作品でお会いできますように。




